七つ小屋山から15分ほど下ると小さな湿原があった。ここから振り返る七つ小屋山はすごく堂々とした山である。
展望の稜線歩きは続き、尾根の左には槍ヶ岳のように鋭く聳える大源太山が見える。いつか必ず登ってやると決意を固めた。
湿原から25分ほど登ると、指導標がたっていた。ここから西に尾根が続いていて、その途中には岩塔が聳えたっている。かなり険しい尾根である。地図を見ると、コマノカミの頭とかシシゴヤの頭などと書かれている。私の地図では、この道は廃道と書かれているのだが、登山道がはっきりと見えた。本当に通れないんだろうか。
ここから少し下ると、小屋が見えてきた。これが蓬峠の蓬ヒュッテである。避難小屋かと思ったらそうではなくて、ちゃんとした営業小屋なのだ。小屋の前では3人が立ち話をしていた。うち一人は小屋の主人である。小屋の前に蛇口があったので、水を補給しようとしたら、これは雨水で飲めないという。水場はここから10分ほど下らなければいけないのだ。悩んだが、ここで水を補給するのは止めた。まだ0.7リットルほど残っているし、ここで水を補給したら、それを担いで茂倉岳まで登ることになる。茂倉岳山頂直下の避難小屋に水場があるので、そこで水を補給することにした。
行く手には高く武能岳が聳えているのだが、その山頂に立つ指導標が朝日を反射させて光っているのが見えた。なんか近く感じてしまう。(そんなことはないのだが)
ヒュッテのすぐ先は湿原で、池塘も散らばっている。湿原の向こうには七つ小屋山と稜線が見えた。この眺めもすばらしい。
すぐに土樽との分岐があった。武能岳へは笹原の広い尾根を登って行く。この頃、逆光でシルエットでしか見ることのできなかった朝日岳に日があたり始めた。いかにも立派な山である。登って行く尾根の右に、三角に鋭く聳える山が見える。万太郎山のようで、稜線がさらに仙ノ倉山に連なっている。昔、私が縦走した山並みである。
急登してようやく山頂に着いたと思ったらそうではなかった。稜線の向こうに山頂が見えた。細かなアップダウンを繰り返して、ようやく山頂に着く。武能岳山頂から行く手には吊り尾根で結ばれた二つの峰が見えて、谷川岳は隠れていた。この二つの峰は茂倉岳と一ノ倉岳である。来た道を振り返ると、七つ小屋山はずいぶん下に見えて、そこから長い尾根がここまで続いているのが見える。七つ小屋山の奥に横たわるのが巻機山、すばらしい眺めである。
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