日本アルプス全山縦走 
間山 2585m
北薬師岳 2900m
薬師岳 2926m
スゴ乗越キャンプ場→1:10→間山→1:45→北薬師岳→50分→薬師岳→40分→薬師岳山荘→1:00→薬師峠キャンプ場

今日は一日中、霧の中の登山であった。天気予報では午後から回復するというので期待していたのだが、薬師岳山頂も真っ白で何も見えなかった。でも、山頂から下って行くと、どんどん晴れてきて、キャンプ場に着いたときは青空が広がっていた。もう少し山頂でねばればよかったと思った。
薬師岳

 スゴ乗越から北薬師岳へ 1998年8月の登山記録


スゴ乗越小屋


指導標と白い杭があった


間山山頂


崩落の斜面をトラバースする


岩の急斜面を登る


北薬師岳山頂

BACK 五色ヶ原からスゴ乗越へ

2008815

天気予報では午後から天気は回復するようなので、ゆっくりの出発にした。パッキングを終えてテント場を後にしたのは6時半。テントは一つも残っていなかった。スゴ乗越小屋で水を補給して歩き始めた。
霧の中で視界はない。黙々と緩やかな尾根を登って行く。左には黒部の谷が見える。下はなんとか見ることができるのだ。お花畑の稜線を登って行くと40分ほどでハイマツの広い尾根になった。あいかわらず霧の中で視界がきかないのだが、その霧の中で登山道を散歩している雷鳥ににあった。親鳥と雛鳥が2羽、ちょこちょこと私の前を歩いて行くのだ。雛鳥がかわいらしい。私が近づいたら、突然羽を広げ飛び上がって、ハイマツの枝にとまった。雷鳥って地面や岩場を歩く姿しか見たことがなかったが、木の枝にとまっていると普通の鳥と変わらない。
砂礫の道を緩やかに登って行くと、道ばたに指導標と白い角柱がたっていた。ここが間山かと思ったら、ただの指導標であった。まだ歩き始めて50分しかたっていないのだ。
ここから登りは急になる。お花畑の間に岩屑の道が続く。このあたりのお花畑の規模は大きくて、黒部の谷側の斜面には一面に白い花が咲いていた。
花を眺めながら急な道を登って行くと、意外とあっけなく間山の山頂に着いてしまった。750分であった。
間山山頂には三角点もある。ここで休憩していると霧が薄くなって、すぐ下に小さな池があることに気がついた。晴れていたら、この池とその向こうに裏銀座の山並みが見えてすばらしいのだろうが。
間山からはハイマツの広い尾根を行く。傾斜はほとんどなくて快適な縦走路である…、と思っていたら10分ほどですごい崩落地をトラバースしなければいけなかった。赤茶けた岩屑の急斜面で、そこを横切る道は細くて不安定で、油断すると足場が崩れてしまう。これを慎重に渡ると、再び広い稜線歩きになった。よかった。
霧の中に、ほとんど樹木のない砂礫の尾根が続いている。
傾斜が急になるとハイマツが現れて、その急斜面を登ってピークを越すとお花畑の道になった。シナノキンバイの鮮やかな黄色の花が咲き乱れている。小さなアオノツガザクラも大群落をつくっていた。きれいな花たちを眺めながら行くと、道には大きな岩が重なるようになった。ついにはこの巨岩が累々とする急斜面を登るようになて、岩につけられたペンキ印に従って登って行く。途中、雨になってしまって雨具を着込まなければいけなかった。風も強い。岩に覆われた道が続く。ようやく痩せた尾根になると、傾斜が少し緩まる。霧の中をザクザクの岩屑を踏んで歩いて行く。尾根の上にはいくつかのピークがあって、霧の中に次々と浮かび上がって、その都度これが山頂かと期待するのだ。
北薬師岳山頂に着いたのは10時であった。霧の中であるが左側は絶壁になっているのがわかる。山頂には私一人であった。昨日、テント場で一緒だった人たちはかなり先行しているようで、ここまでまったく登山者に会うことはなかった。




山頂からは岩稜を行く


雪田の横を行く


岩屑の急斜面を登る


薬師岳山頂


遭難碑のケルン
 北薬師岳から薬師岳山頂へ


北薬師岳からは痩せた岩尾根が延々と続く。霧で何も見えなくて、どのあたりまで来ているのかまったくわからないのだ。

いったん、緩やかに下ると鞍部の左には雪渓が残っていた。そこから急登になった。岩礫の急斜面を登って行く。岩を踏んで登って行くので踏み跡がはっきりしないのだが、岩にはペンキ印がつけられている。ようやく傾斜が緩やかになると、霧の中に石垣で囲まれた祠が浮かび上がった。ここが薬師岳山頂であった。時間は1055分であった。
今日は午後から晴れるというので、時間を調整して歩いてきたのだが、期待していた薬師岳山頂でも、やっぱり霧の中であった。
祠の正面に回り込むとガラス戸で、中に納められた仏像を見ることができる。金ぴかの薬師立像もあるが、その左右に並ぶ古い石仏に惹かれてしまう。宝剣や地蔵さまなどがたくさん並んでいるのだ。山頂には登山者が一人いて、しばらく話をしていた。
登山者は先に出発して行って、私一人が山頂に残された。天気が回復するのを待っていたのだが、霧で何も見ることはできなかった。ふと気づくと祠の横に三角点があった。3頭が分の1くらい欠けてしまったかわいそうな三角点であった。山頂では意外なことに携帯が使えた。さっそく天気を確認したら、午後は雨になるのだという。朝の予報と違うではないか。おまけにこれから3日ほどは悪い天気が続くという。雲の中を歩いてもちっともおもしろくないし、どうしようかと悩んでしまった。1時間ほども山頂でのんびりしていたのだが、結局雲は晴れそうもないので、下山を開始した。
岩礫の広い尾根を下って行く。10分ほど下ると、左の尾根の上になにかしら建物のようなものが立っていた。何だろうと思って行ってみると、コンクリートで固めた大きなケルンで、その中に仏像が納められていた。これは昭和381月に愛知大学13名が遭難した祈念碑なのだ。昔、その遭難のことを読んだことがあるのだが、ここでは尾根が分かれていて、間違った尾根に入り込んで遭難してしまったのだ。確かにこのあたりは尾根が広くて、冬山でホワイトアウトになったら道に迷ってしまうかもしれない。今、私は霧の中を歩いているのだが、道はしっかりしているし、ケルンも所々にたっていて迷う心配はない。
この慰霊のケルンに手を合わせた。



 薬師岳から薬師峠へ
ケルンのたつ広い尾根を下る


広い尾根をジグザグに下る

薬師岳山荘に着く


岩屑の斜面をジグザグに下る


薬師平に着いた


すごい下に登山道が見える


ガラガラの涸れ沢を急下降する


青空が広がる


広い尾根の斜面をジグザグに下って行く。下るにつれて霧は薄くなってきた。山頂から
30分ほど下ると、下に赤い屋根の小屋が見えてきた。薬師岳山荘であった。薬師岳山荘は二棟あって、その間を登山道は通じている。小屋でこの先のテント場のことを訊いた。薬師峠のテント場を管理しているのはこの小屋かと思ったのだが、太郎平小屋なのだそうだ。
さっき山頂で会った登山者はここでうどんを注文していた。
小屋の前の広場には「国指定特別天然記念物 薬師岳の圏谷群」という石碑がたてられていた。ここから薬師岳を振り返ったが雲に隠れてほとんど何も見えなかった。薬師岳の雄大なカールを見たかった。
広い尾根を緩やかに下って行くと、次第に霧は晴れてきて、下がよく見えるようになった。左に大きな雪田があった。岩屑の道をジグザグに下って行くと、お花畑になった。この頃から登山者とたくさんすれ違うようになって、登ってくる登山者がさかんに写真を撮っていた。振り返るといつのまにか山にかかっていた雲が晴れて、薬師岳山頂が見えるようになっていた。でも、すぐ下から見るものだから平坦な尾根にしか見えない。
広い尾根になって、木道を行くようになると広大な草原が広がった。ここが薬師平である。振り返ると薬師岳を山頂が見えた。うっすらと青空も見えるようになって、天気予報とは反対に晴れに向かっているような気がする。
薬師平の草原から窪地を下るようになると、すぐに急な涸れ沢の下りになった。すごい下に登山道が見えて、広い尾根の向こうには太郎平小屋が見えた。尾根には日が射している。
この眺めで、キャンプ場へはすごい下りをしなければいけないことがわかった。岩がゴロゴロする急な沢を下って行く。崩落してザレてるところもあって、すさまじい下りであった。もうすぐキャンプ場だと思ってしまうものだから、焦りもあってペースが乱れ、バテてきた。下っても下ってもキャンプ場に着かない。涸れた沢だったのだが、途中から水が流れるようになって、流れに沿って急下降してゆく。この流れが水場の水になるだったら、煮沸しなければ飲めないなぁと思ったりもした。
樹林の中を下って行くと、ようやくテント場が見えてきた。この頃には頭上に青空が広がってカンカン照りになった。テント場に着いたのは13時半である。
テント場のすぐそばにトイレがあると思ったら、これはテント場の管理寮であった。太郎平まで手続きに行くのかと思っていたらそうではなかったのだ。
水場にはテント場から少し下るのが、蛇口が並んでいて水は豊富であった。さっき下ってきた沢の流水でなくてよかった。この水場の端にトイレがあるのだが、これは新しい水洗トイレであった。テント場としては最高に快適である。
天気予報では雨になるというので、テントの周りに溝を掘った。昨日は豪雨でテントの下を水が流れたりしたので、それに備えるのだ。
でも、本当に雨が降るのかと思ってしまう青空が広がっている。真っ白な入道雲がモクモクと湧き上がっている。
テントの中でご飯を炊いて、食事を済ませてのんびり読書していたら本当に雨になった。強い雨で、テントの周りを水が流れて行く。掘った溝が役にたった。
ラジオで天気予報を聞いたら、やっぱりしばらく天気はよくないのだ。
昨日・今日みたいに雲の中を歩くことになるのだったら、縦走はここで中断してしまおうと思う。私は毎日が日曜日なので、悪天の中を登山しようという気はまったくないのだ。薬師岳山荘で折立からのバス時間を確認してきたのだが、9時半の富山行きがある。これに乗って、帰ってしまうことにした。
夜中にまた雨になった。


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