越中沢岳からは急下降であった。砂地の崩れやすい道で、ロープが下がっていたのでこれにすがって下った。時々岩場も現れて、ペンキ印に従って岩を越えて下る。道の右は岩峰で、それをトラバースするように下って行く。行く手には鋭い岩峰がそびえているのが見えたりする。でもその基部を巻いて行くのでほっとした。山頂から40分ほど下ると雲の下に出たようで、下に黒部川が見えるようになった。
さらに下って行って振り返ると、いつのまにか雲がとれて、越中沢岳の山頂が見えた。鋭い三角の山であった。行く手の雲も晴れてきて大きな山がそびえているのが見える。これがスゴ頭のようである。この山の間には大きく落ち込んだ鞍部があって、まだかなり下らなければいけないのだ。このスゴの頭の右奥には大きな山塊がが見えるのだが、その尾根の途中に小屋が小さく見える。これが今日の宿泊地スゴ乗越小屋である。乗越といったら鞍部のはずなのだが、どうしてあんな尾根の上にあるのだろうと不思議に思った。
下って行く道から眺めると西側は晴れていて、日が射している。
大きな岩が点在する急な尾根を下って行くと鞍部が見えてきた。そしてその向こうにはスゴの頭が高くそびえている。その急な道を目でたどるといかにも険しい。せっかく稼いだ高度を下ってしまって、また登り返すのだと思うとなんか悔しくなってしまう。
鞍部に着くと、東側の雲も晴れていて南岳から烏帽子岳・三ツ岳へ続く稜線が見ることができた。
鞍部から再び急な登りになる。上るにつれて傾斜はきつくなって岩礫の中にロープが下がる急登になった。でも、道の両側はお花畑である。イワカガミやチングルマが咲いていた。鞍部から20分の登りでようやくスゴの頭山頂に着いた。10時15分であった。山頂の広場はピークよりも少し下にある。その本当のピークに登る踏み跡はないのかと目で探してみたが、面倒になって止めてしまった。
休憩していると下が晴れてきて黒部の谷を見ることができる。でも、山の中腹より上は雲に隠れてしまって見ることはできないのだ。鞍部から見ることができた越中沢岳も雲に隠れて全く見えない。
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