はっかいさん

標高 1778m
八海山の岩場は怖かった。
帰りに軽い気持ちで登った荒沢岳も岩稜の山だった。
大日岳

    


登山口、早朝でまだ暗い


清滝小屋の中


下界を振り返る


八海山の岩峰


六合目の神像


千本桧小屋


岩場の説明板があった


地蔵岳山頂


大日岳山頂


この下が長い鎖場


最高峰入道岳(なぜか凡ヶ岳だった)


荒山の指導標


オカメのぞきへの道


御月山山頂


祓川のテント場

1999年10月9日

芝原5:45→6:46清滝→8:33屏風岩→7:24五合目→8:07六合目→8:33七合目→9:42千本桧小屋10:00→10:45大日岳→11:18入道岳11:30→13:01荒山→13:43オカメノゾキ→15:30黒沢ノ頭→17:15祓川

朝、食事をして出発。朝飯は家から持ってきたご飯を食べた。これが意外といい。

いつもはコンビニでおにぎりを買うのだが、けっこう値段的には高くついてしまうのだ。
それに最近、あまりうまいと思わなくなってきている。

家で炊いたご飯が結局一番うまいのではないか。

山でテントを張るつもりなので、荷物は重い。

まず、沢に向かって下りていくと、増水したときに渡れるようにとロープが渡されていて、吊り篭が下がっていた。乗ってみようかと思ったが、そんな暇はないので止めた。

沢は水が少ないので、飛び石で簡単に渡れた。

沢を渡ると、登山道は雑木林の中をいく。

まず清滝に着くが、ここは水場になっている。水を補給。

避難小屋もあったので入ってみると、中には不動明王とかの石仏が並んでいた。ここで泊まるのはちょっと恐いような気がする。

清滝からはいよいよ急登が始まる。この屏風コースは最短で登れるコースなのだが、岩を攀じるようなとんでもなく険しい道なのだ。

登るに連れて、鎖場があったり、岩を攀じ登ったり、予想していたとおりである。

前方に聳えていた屏風岩が段々迫ってきて、ようやく基部にたどり着く。この岩壁がどうたら登れるんだと思ってしまうのだが、登山道はうまくできていて、少し下って巻いたりしながら何とか登っていけるようになっている。

6合目のところでは少し道から脇に入ると、展望が開けて、修験道の神様を祭っている祭壇のようなところがある。
空は真っ青で、山もようやく色づき始めていて山肌がきれいに映えている。下を見ると、断崖絶壁で崖に近づくのが恐いくらいである。沢がはるか下を流れていて、その上流に目をやるとその沢が何段もの滝になっている。すばらしい景色である。

ここから更に1時間ほど行くとようやく登りも緩やかになって、尾根の上に山小屋が立っているのが見える。これが千本桧小屋である。9:42到着。

この小屋から尾根沿いに下を見ると、多くの人が登ってくる。これは八海山ゴンドラを使って登ってきた人達だということに気がついた。
これだったら楽に山頂に登れるよなと思ってしまうが、自分の足で登らなかったら、山頂で味わう満足感は薄いんではないかと思う。

しばらく休んで、いよいよ今日のハイライト、八海山の岩場に取り掛かる。

ガイドブックを見ると、八つの峰の鎖場の状況が細かに書いてあって、かなりヤバそうにおもえる。

最初の峰は地蔵岳である。ここは尾根に出てから少し戻らなければいけないために人があまりこない。地蔵岳山頂からは、すぐ下に千本桧小屋が見えた。

次々と鎖場を越えて、八海山最高峰の大日岳に着いたのは10:45。

ここで少し長い休憩をとった。記念写真を撮ったりして、ゆっくりていたら人がどんどんやってきて、自分が下ろうと思ったときには、行列ができていた。というのはこの大日岳からの下りには、このコースで一番長い鎖が下がっているのだ。この鎖を頼ってしか下ることはできない。この長い鎖で時間がかかるのだ。

この鎖場の下降はけっこうきつかった。下に着いたときは正直、ほっとした。
ここから20分ほど登り返すと入道岳で、この尾根上では一番高い山である。

このピークにはなぜか「凡ケ岳」という石標が立っていた。登ってくる人がみんなそれを見て、ここは入道岳ですよね、と確認している。別名が凡ケ岳なのだろうか。
ともかく、これで八海山の岩場はほぼ終了である。

ほっとしたのだが、実は大変なのはこれからだった。

入道岳からすさまじい急下降である。降りたところに分岐点があって、右に行く道は新開道に通じている。

ここで男性の二人に会って頼まれごとをされた。荒山の手前で足を怪我した仲間がいるので伝えて欲しいというのだ。新潟県警と連絡がついて、ヘリコプターの手配がついたという伝言であった。ヘリはまだ飛び立ってはいないようである。

30分ほど歩いて行くと、その怪我をした人に会った。男性が一人付き添っていて、連絡がついたことを喜んでいた。このあたりでは携帯電話が通じなかったらしい。怪我をしていたのはおばさんで、別に骨折したとか捻挫したとかと言うわけでもないらしい。足が引き攣ったという程度のものらしい。そんなことでヘリを呼ぶのか、と思ったりするのだが…。お金がかかるだろうに。

私が荒山に着く頃にヘリが飛んできた。

ヘリは結構長い間尾根の上にとどまっていた。怪我人がいるところは登山道に木がかぶさるようになっていて、これを釣り上げるのは大変なのではないかと心配してしまう。それと、霧が出始めていて作業はいかにも難しそうである。

とはいえ救助活動をいつまでも眺めているわけにはいかないので先を急ぐことにした。
荒山はピークという感じはなくて、ただ単に尾根の一角にすぎない。登山道の脇に四角の石標があって、荒山という山名が刻まれていた。それ見て初めてここが荒山と分かった次第である。
オカメノゾキを目指して急な岩稜を下って行くと、すれ違う人が、ヘリが飛んでいるがなんかあったのかと聞かれた。あとで考えてみると、この人たちはすごい道を通ってきたわけだから誰かが滑落しても当然と言う考えがあったのかもしれない。

オカメノゾキはとんでもないところで、ここにたどり着くまでに鎖場や危ない岩稜をいくつも通過しなければ行けなかった。しかも下りで怖さは倍加している。オカメノゾキは最下点なのだが少し登るとまたナイフリッジの下りになる。要は鋸の歯のような尾根が連なっているということである。

このあたりで疲れが出てきた。登りの一歩一歩が実に重たい。

ともかく、ガイドブックでは黒沢の頭までが危険な個所らしい。ここさえ通り抜けたらと必死で登る。前方を見ると凄まじいばかりの痩せ尾根が続いていて、あんなところどうしたら通れるんだろうというような岩壁が連なっている。息が切れる。ほとんど息も絶え絶えである。

途中、女性も混じっている学生のパーティに追いついた。装備を見るとすごく大きなザックを背負っていて、かなりのベテランのパーティなのだろうと思ったら、素人も混じっているようで、どうということのない岩場で時間をかけている。追い抜かせてもらった。
ちょっと話を聞くと、今夜泊まるのは自分と同じ祓川だという。
結局、祓川で彼らには会わなかった。こんな痩せ尾根で野宿したのだろうか。祓川まではテントが張れるような平らなスペースは一切なかったのだが…。

急な林の中を左に回り込むようにして登って行くと、突然視界が開けて黒沢の頭に出た。

助かった、と本気で思った。

ここでかなりばててしまったのは水が十分に飲めなかったということもある。今日のキャンプ地は水場があることになっているのだが、それがガイドブックでは雪渓に頼っているような書き方で、秋の深まったこの時期、雪渓なんてあるはずがない。もしかしたら水が得られないかもしれないという心配があったから水は節約してきたのだ。

この黒沢の頭からは確かに緩やかな尾根道になった。息を整えながら登って行く。それでも踏み出す一歩が重たい。完全に疲れ果てている。

それに時間との勝負にもなってきた。

今の時期、暗くなるのは5時半頃だろう。それまでにキャンプ地の祓川に着けるだろうかと言う心配である。黒沢の頭に着いたのは3時半である。ここから御月山に登って、そしてさらに30分ほど下らなければいけない。

御月山までは穏やかな尾根が続くのかと思ったら大間違いで、直前がすごい急な登りになって、鎖場まで出てきた。

山頂は予想した広い平坦地ではなくて、結構狭いところであった。

ここから下りである。下りきったところがキャンプ地、何とかなりそうである。

祓川に着く頃、霧に巻かれてしまった。それでも下るに連れて沢の水音がしてきた。何とか水にはありつけそうである。
沢に水が流れていて、さっそく
ポリタンに水をつめた。十分水も飲めた。生き返った気分。

この水場のあたりが祓川で、草原に覆われたところである。しかし、キャンプ地が見当たらない。
先入観として、誰か絶対にテントを張ってるだろうというのがあった。(ところが実際は自分以外はここでテントを張ってるのはいなかったのだ。)

10分ほど登ったが、どんどん山道になって行く。これは間違ってると思って、引き返すことにした。キャンプ地は水を汲んだ沢から少し下ったところにあった。

テントを張っていると、みるみる暗くなってきた。

今日は本当にクタクタである。

柿の種でコニャックを飲んで、夕食は持ってきたご飯でフリーズドライの中華丼を食べた。

これはうまかった。いつもはおにぎりを買うのだが、家で炊いたご飯もけっこううまいではないか。

ろうそくで夕食。まわりはすでに真っ暗である。霧で何も見えない。

聞こえるのは沢の水の流れる音だけである。

8時頃に眠ってしまった。



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