BACK 筒上山
2007年11月7日
筒上山山頂から行く手には手箱山に続く稜線が緩やかな起伏をもって続いている。これなら、あまり苦労せずに山頂にたてそうだ…、などと甘い考えを持ったのは大間違いであった。筒上山からの下りはすさまじいものだったのだ。笹原の急斜面をジグザグに下って行く。途中には石の祠が置かれていて、いかにも信仰の山らしい。下に小屋が見えてきたのだが、それがほとんど真下にある。断崖を下るような道であった。
岩壁にロープと太い鎖が下がっていた。これにすがって絶壁を下れというのだ。ゲッと思ってしまうのだが、下るしかない。ロープにすがり、木の根につかまったりして、慎重に下って行く。下を見ると足が震えてしまう。
ようやく鎖場が終わって、普通の道になったら、本当にため息が出た。あとは鳥居をくぐって、下の小屋に向かって下って行く。広い敷地の中にある小屋は大峰宗覚心寺派の修行道場なのだ。ただし、有刺鉄線の柵で囲われていて中に入ることはできない。水場があって、そこが手箱山への登山道である。まっすぐ下ると、筒上山を捲いて丸滝小屋に下ることができる。帰りはこの道を歩くつもりだ。
鳥居をくぐって石段を登って行く。傾斜が緩まると笹原の中の道になって、稜線の左下を斜めに登って行くのだ。振り返ると、筒上山が坊主頭のようなかっこうで聳えている。その右下に岩黒山が見える。標高が100mしか違わないのにずいぶん下に見える。
稜線に出ると、ここからは展望の開けた笹原の道である。周りの山々を眺めながら快適に歩いて行く。
行く手に鋭峰が迫ってきて、これを越えるのかと思ったら左に捲いてしまった。この後、いくつも鋭鋒が聳えているのだが、これはすべて右に左に捲いてしまうのだ。助かった…。
断崖絶壁を持った鋭鋒の左を捲いて、その向こうに出て、少し行くとお堂のたつ山頂であった。あっけなかった。10時50分であった。
赤い御堂の前は広場になっているのだが、探しても三角点がみつからない。お堂の後が少し高いようなので、探すと踏み跡があった。笹薮に覆われた踏み跡をたどると、笹が少しだけ切り開かれて、そこに三角点があった。山頂というのは三角点があるところだと思っているので、三角点がないと落ち着かないのだ。
お堂の前に戻ってゆっくり休憩した。
あとは引き返すだけなのだが、私が走ろうと思っている林道は工事中で16時まで通行できないのだ。石鎚や瓶ヶ森を眺めて、ゆっくりと休憩して、出発は11時20分であった。帰り道は美しい樹林の写真を撮りながら下った。空は真っ青で、本当に景色は最高なのだ。
覚心寺道場がある手箱越に戻ったのは11時40分である。
ここから石垣に右を下って樹林の中に入る。岩の門のようなところを抜けて、けっこう急な下りが続く。桟の急下降もあった。
小さな沢の流れを渡って、さらにどんどん下って行くと登りとの分岐に着いた。手箱越から30分の行程であった。
ここからは登りである。小屋の断崖を見て急登すると15分で小屋に着いて、さらに恐る恐る桟を渡って、黒岩山の登りになる。途中、捲き道の分岐があるのだが、これがよくわからない。明るい笹原の道を登って、樹林の中に入ってさらに登って行くと左に道があった。ところがこの道は引き返すように下って行くのだ。これは林道に下ってしまう道ではないかと思って、さらに登って行く。ほとんど行く手に山頂が見えるくらいになったが、分岐がない。山頂まで行ってしまって、登った道を引き返したほうが早いような気もするが、同じ道を歩くのもつまらない。もう一度引き返して、さっきの分岐から下った。土小屋の方向とは逆の方へどんどん下って行く。やっぱり、これは林道に下ってしまうのかとあきらめていたら、指導標があった。T字路になっていて、左が丸滝小屋、右が土小屋となっていた。これを右に行くのが捲き道なのだ。でも、ここからまっすぐ丸滝小屋に通じているとは知らなかった。丸滝小屋の前は十字路になっていたが、あの道がここに通じていたのかと気がついた。
ともかく捲き道を歩いて行く。この道がすばらしくきれいな樹林の道なのだ。わざわざ引き返してよかったと思う。紅葉もきれいだし、樅の林のあった。道には自然石が石畳のように敷きつめられていて、うつくしい紅葉とあいまって、日本庭園を行くようである。ついつい立ち止まってシャッターを押してしまう。そんな具合で、けっこう時間がかかってしまって、登山口の車の前に戻ったのは13時25分であった。
16時までは林道が通行止めなので、土小屋にある神社を参拝することにした。この時間、観光客が溢れていた。
土小屋ロータリーの真ん中には、標高1492mと書かれた石柱と土小屋と刻まれた碑が置かれている。そこを過ぎて、石段を登って神社の本殿の前にたつ。この神社は「石鎚神社土小屋遥拝殿」というのが正式な名前なのだ。中に入ると広くて、無料のお神酒が置かれていた。運転をするというのに、つい杯一杯を飲んでしまった。本殿に手を合わせて、今日の登山の無事を感謝した。
石段を下ると、正面にはお土産屋さんの建物が三棟あって、その後には高く岩黒山が聳えていた。
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筒上山三角点のあったピークの鳥居
すさまじい急下降になった
これを下るのだ
修行道場、立ち入り禁止
稜線に岩峰が聳えていた
手箱山山頂
道場の右を下って行く
捲き道の分岐
捲き道はきれいな樹林の道
神社にお参りした |