指導標に従って車道を下って行くと、林道が交わるところに出た。直進して緩やかに上って行くと、九鬼山の指導標があって、ここから車道を離れて登山道に入るのだった。よかった。
いくつかのピークを越え、30分ほどで高指山の山頂に着いた。樹林に囲まれていて、まったく展望はない。
次がいよいよ九鬼山だ。もうすぐ…と思ったのは甘かった。ここからが本当に大変な道で、九鬼山までは2時間半もかかるのだ。(私はこのとき地図を持っていなくて、簡単なイラストマップの記憶だけで歩いていたのだ)
いくつものピークを越えて行くのだが、道ははっきりしなくて、油断すると道を間違えてしまう。
35分ほど行ったところに「鈴ヶ音峠」という指導標があってホッとしたのだが、この先、本当に道がわからなくなった。背丈ほどの藪をかき分けたり、倒木を迂回したり、これが本当に九鬼山への道なのかと心配になってしまう。かすかな踏み跡を探して登って行くのだが、次々にピークが現れて、行けど行けど九鬼山には着かない。高指山から1時間ほど来たところのピークに九鬼山の標識があった。ここが山頂なのかとと思ったが、荒れ果てた感じでとても山頂とは思えない。標識をよく見たら、矢印が書いてある。九鬼山はこの先ということだ。がっかりした。でも、これで、今歩いているのは登山道に間違いないことがわかった。藪に隠れたかすかな踏み跡をたどって、さらに25分ほど行くと、ようやくちゃんとした指導標が見えた。ここが禾生駅から登って来る道(杉山新道)との合流点であった。指導標には、私が登ってきた方向を指してちゃんと鈴懸峠と書かれていた。とんでもない道だったのですが…。
この先は道がしっかりして本当に歩きやすい。少し行くと広場があった。丸太のベンチも置かれていて、ここが富士見平であった。ここからは富士山を展望できるのだ。でも、この時は雲がわき上がり、遠くは白く霞んでしまっていて、何も見えなかった。
富士見平からひと登りすると九鬼山山頂であった。時間は14時40分になっていた。山頂にあるのは二等三角点であった。ここで休憩して息を整えた。あのとんでもない道で息があがってしまっている。
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