甲信越の山百選 
ひらがたけ

標高 2141m
登山口→10分→林道分岐→50分→前坂→1:10→下台倉山→1:00→台倉山→1:00→白沢清水→1:20→姫池→30分→たまご石→50分→平ヶ岳山頂→40分→姫池→50分→白沢清水→1:00→台倉山→40分→下台倉山→45分→前坂→45分→登山口

平ヶ岳へはともかく遠い。往復で11時間半もかかるのだ。でも、展望の痩せた岩稜歩きや、山頂に広がる美しい湿原、奇岩たまご石、苦労は十分報われる山である。
池ノ岳の尾根から見る平ヶ岳

 登山口から下台倉山へ 1997年の登山記録

登山口のバス停・駐車場


12分ほどで流れを渡る


痩せた岩尾根を行く


松・杉が茂るピーク


鷹ノ巣山


稜線が見えて来た


下台倉山山頂

BACK 燧ヶ岳

201084

御池の有料駐車場から平ヶ岳の登山口に向かったのは5時頃。この山は往復で11時間以上かかるので、6時前には歩き始めなければいけないのだ。私が以前、この山に登ったのは1997年のことで、このときはテントを背負って行って、山頂で野営したのだ。今回は日帰りをするつもりなのだ。
車を走らせて行くと、正面に岩場をいっぱい抱えた山が見えてくる。これが平ヶ岳である。(正確にはその前衛の稜線なのだが)そして燧ヶ岳も見えた。今日は快晴である。
国道沿いにある登山口に着いたのは540分。車が5台ほど停まっていた。私も急いで身仕度をして、出発は545分。明るいうちに戻ってきたいと思っているのだが…。
登山口からは林道が続いていて、入り口は鎖で閉鎖されている。12分ほど歩くと沢の流れを渡る。ガイドブックでは、ここを水場として紹介している。この上にも3カ所の水場があるのだが、涸れることが多いらしい。
沢の流れを渡って、杉林の中を5分ほど歩くと指導標がたっていた。ここで林道から離れて、右に登って行くのだ。指導標の横に「これより間もなくやせ尾根、充分気をつけて!」という木札があった。
すぐに急な登りが始まる。ほとんど直登するように登って行くと、樹林の間から燧ヶ岳を見ることができた。10分ほどで林から抜出して、展望が広がる。車からみたたくさんの岩場を抱えた稜線が見える。平ヶ岳はすごい岩山なのかと思ってしまう。
松の生える狭い尾根を登って行くと、これからたどる長い痩せ尾根が展望できる。松が茂るピークを越えると、その先はすごい痩せた岩尾根であった。この細い尾根が稜線に向かってうねるように続いている。
尾根はほとんどが露岩なのだが、砂礫の滑りやすい所も多くて気が抜けない。痩せ尾根の途中にはロープが下がる岩場もあって、緊張の連続である。

それにしても、この痩せ尾根からの眺めはすばらしい。目指す稜線にはいくつもの巨岩がそそり立っていて、振り返ると燧ヶ岳がくっきりと聳えている。今日は快晴ですばらしい展望なのだ。…でも、たまらなく暑い。まだ6時半だというのに、日中になったらどうなってしまうんだと心配になった。(そのとおりなのだ)
痩せ尾根を1時間ほども登ると、行く手には松などが茂るピークが見えてきた。これに向かって急登してピークに着くと、この先は樹林の中を行くのだった。赤土の溝の道を緩やかに下って、そして登り返す。樹林から抜出すと、稜線の右に巨岩をいくつも抱えた険しい山が見えた。これが鷹ノ巣山なのだ。ガイドブックではこの鷹ノ巣山と同じ高さまで登ったら台倉山に着くと書いてあるのだが、まだずいぶん高いではないか。
広くなった尾根を登って行く。さっきの痩せ尾根よりも傾斜はずいぶんきつい。松の木が聳えるピークが迫る。時間からするとこれが下台倉山だろうとがんばって登って行く。大きな岩をロープにすがって越えると、その先にも、まだ急な登山道は続いていた。灌木の急斜面を登るとようやく緩やかになって、稜線を少し行くと平坦な道の途中に指導標が立っていた。ここが下台倉山であった。まるで山頂という感じではない。でも、ともかくここで休憩。…しようと思ったが太陽はカンカンに照りつけて、ここで休むのは暑すぎる。もう少し行って、木陰のあるところで休憩することにする。本当に汗だくで、早く水をたくさん補給しなければ熱中症になってしまいそうだ。下台倉山からはすぐに登りになっている。仮にも山頂なのだから、一旦は下りがあってもいいはずなのだが…。
行く手に樹林のピークが見えるのでこれに向かってがんばって登って行く。ようやく道が樹林に入ったところで座り込んだ。そうとう息が切れている。これはほとんどバテる寸前ではないかと思う。
2リットルのポリタンに水を満タンにしてきて良かったと思った。




長い稜線を行く


台倉山山頂


白沢清水


樹林から抜け出した


池ノ岳への登り


姫ノ池に着いた
 下台倉山から姫池へ


再び歩き始めたが、ペースをぐっと落として、呼吸を整えながらゆっくりと歩いて行った。この先はほとんど平坦な稜線歩きなのだが、小さなアップダウンでも、その登りがすごくきつく感じた。

稜線の道の展望はすばらしくて、燧ヶ岳の眺めがすばらしい。燧ヶ岳の右奥には日光白根山も見えた。
道は樹林の中に入ったりもするのだが、そこには木道がしかれていたりする。泥濘になっているのだ。アップダウンを繰り返して行くと、稜線の右に平らかな緑の山が見えた。これが目指す平ヶ岳であった。すごく遠い。

下台倉山から1時間ほど稜線を歩くと、小さな広場があって、その真ん中にポツンと三等三角点があった。台倉山という小さなプレートが樹木につけられていた。下台倉山には立派な標識があったのに、三角点の山頂に標識がないのは不思議である。
行く手には樹木のピークが見える。これに登るのかと思ったら、登山道はこの山の右を捲いて下って行くのだった。稜線はここから右折して西に向かうのだ。樹木の中をどんどん下って行くと、台倉清水と書かれた指導標が立っていた。ガイドブックでは涸れていることが多いと書いてあるのだが、ともかく行って見ることにした。登山道から急な細い道を下ると小さな沢の流れに着いた。ここが水場で、オホコ沢の源流なのである。幸いなことに水は流れていた。コップにすくって飲んだら、冷たくておいしかった。この暑い中では冷たい水はなによりの救いなのだ。長めの休憩をしてしまった。
針葉樹の深い林の中を歩いて行く。緩やかな登りがあって、それから緩やかに下る。道はけっこうぬかるんでいて、木道が敷かれているのは助かった。40分ほどで白沢清水に着いた。登山道の直ぐ脇にある湧水なのだが、水はほとんど流れていなくて、小さな埃とアメンボウが水面に浮かんでいた。これを飲む気にはならなかった。
背の高い笹藪の間を歩いて行くと、次第に傾斜が増してきて、緑の草原の山が見えてきた。草原の中にまっすぐに山頂に向かう登山道が見える。この草原のピークの右に岩場を抱えたりっぱな山が見える。これが池ノ岳のようである。
笹の草原を登って行く。かなりきつい登りで、山頂に向かって真っ直ぐに登って行くのだ。振り返ると、今たどってきた樹林の広い尾根を眺めることができる。
ようやく傾斜が緩まると、ここからは右に曲がって、池ノ岳への急登になるのだ。この登りからは左に平らかな緑の山が見えた。これが平ヶ岳であった。
痩せた尾根を登って行くと、行く手には巨岩が重なるピークが見える。これが山頂だと思ったが、そうではなくて、この先にも急な登りが続いていた。
ようやく傾斜が緩まると、灌木のあいだに木道が続いている。ハイマツの中に木道が続く。池ノ岳の山頂っていったいどこなんだと思いながら歩いて行くと、突然、灌木から抜出して目の前に湿原が広がった。池塘がいくも散らばっていて、その向うに平ヶ岳が聳えている。池には青い空と白い雲が映っていて、すばらしくきれいだ。ここが姫池で、池ノ岳というのはこの一帯をさすのだ。1130分になっていた。



 たまご石から山頂へ
たまご石への道


たまご石


水場


平ヶ岳山頂への道


平ヶ岳山頂


平ヶ岳山頂


姫池の指導標には平ヶ岳山頂まで
1.1km、たまご石までは1kmと書かれていた。
まず、たまご石に寄って、それから山頂を目指すことにした。池塘の横の木道を歩いて行くとすぐに分岐があった。右のたまご石の道をとる。広大な草原を歩いて行くと、緩やかな下りになって、三叉路に着いた。左に下ると水場を経由して山頂に至るのだ。たまご石はここから往復することになる。木道は緩やかな登りになって、広い尾根の上をを行くようになる。ところどころに池塘があって、その周りにはワタスゲの白い綿帽子がいくつも揺れている。すごくきれいな散策路である。
広い尾根の先端のピークに登ると、そのすぐ下にたまご石があった。たまご石の下は地塘が散らばる湿原である。すばらしい眺めである。大きな露岩の上に座って、しばらくこの美しい景色を眺めていた。
木道を引き返して、分岐から水場に下る。この途中にはテント場がいくつも設けられていた。昔、私が平ヶ岳に登ったときはここにテントをはったのだ。でも、ガイドブックには平ヶ岳周辺はキャンプ禁止となっているから、今もここで野営が可能なのかはわからない。
水場は流水なのだが、コップにすくって飲んでみた。けっこう冷たかった。1220分になっているが、山頂まではもう少しなので休憩することにした。
水場から木道を登ると分岐があった。これが姫池からの道である。帰りはこれを戻ったらいいのだ。
樹林の中に入って、階段を上って草原に出る。ここからは木道を緩やかに登って行くのだ。木道のまわりはお花畑なのだが、咲いている花は少なかった。
木板が敷かれた舞台のようなところが山頂であった。1255分になっていた。山頂には説明板が立っていて、正面には燧ヶ岳が見える。山頂三角点はここから右に少し入ったところにある。樹木に囲まれた小さな広場に平ヶ岳山頂の標識があって、その下に二等三角点が置かれていた。
山頂からも木道が続いているので行ってみた。終点には池塘が散らばって、畔にニッコウキスゲが一輪だけ咲いていた。
あとは引き返すだけである。下りは休憩抜きで4時間40分かかるのだ。急がなければいけない。
姫池に戻ったのは13時半、池ノ岳の急な尾根を下って樹林のなかの台倉清水には15時に着いた。下台倉山に戻ったのは16時で、ここで2リットルのポリタンの水はなくなった。あと1時間半の下りで登山口に戻れるからと、残りの水を飲み干してしまったのだ。
下台倉山からの急な尾根の下りはすごくきつかった。痩せ尾根は砂礫のザラザラ道で、いかにも滑りそうなのだ。慎重に痩せ尾根を下って、登山口に戻ったのは1740分でああった。明るいうちに戻ってこれた。
次は巻機山に登るつもりなのだが、この山も10時間以上かかる。今日の登山で本当に疲れ果ててしまったので、明日は休養日にして、温泉にでも行って体力の回復をはかりたいと思う。

道の駅に泊ったら、すさまじく暑かった。車の後部の窓は左右とも網にしたのだが、風はまったく入ってこなくて、車の中は蒸し風呂のようであった。


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