私の近畿の山百選
おおとうさん

標高 1121m
大塔橋→40分→ウエウオの滝→10分→ハリオの滝→1:10→古座川源流点→1:10→主稜線→40分→大塔山山頂→30分→赤倉辻→1:30→905m峰→40分→舟見峠→40分→トンネル入口→1:00→大塔橋

大塔山はほとんど秘境といっていい山奥に聳える山である。山頂へは古座川源流を何度も徒渉して、溯行するのだ。ところが、山頂は新しく張られたネットに囲われていた。これはいったいナンナノダと叫んでしまった。
足郷山への稜線から見る大塔山

 大塔橋から大塔山山頂へ
大塔橋の登山口


沢に下る。これが古座川


滝の分岐


大塔山3kmの標識があった


再び沢に下った


なぜか檻があった


杉林の急登


ネットに沿って行くと山頂


大塔山山頂

BACK 峰ノ山

2009515

昨日は登山口の橋の袂に車を停めて泊まったのだが、真っ暗であった。まわりに何もないものだから本を読むしかなくて、おかげで三島由紀夫の「春の雪」を読み終えた。
今朝は5時半に目が覚めた。予報では天気が良いはずである。
身支度をして歩き始めたのは6時半であった。今日は8時間10分もかかるロングコースなのだ。
ここ数日は沢を徒渉する登山が続いているのだが、今日の登山道も沢に沿って続いている。登山口からまず沢に向かって下る。沢の右側につけられたコンクリートで固められて道を行く。徒渉を繰り返す荒れた道を予想していたのだが、これなら安心ではないかと思った。でも、すぐに徒渉があった。水量が少ないので簡単に渡ることができる。
道は時々コンクリートのしっかりしたものになるのだが、徒渉は続くのだ。昔は整備した道だったのかもしれないが、一度増水して沢が荒れるとそんな人が造ったものはたちまち壊されてしまうのだ。

沢を35分ほど遡行すると二俣に着いて、そこに二つの指導標がたっていた。左がウエウオの滝で、右がハリオの滝である。私は滝が大好きなので、もちろん見て行くことにした。
まず、ウオウエの滝に向かう。この滝は左の沢が滝となって流れ落ちいるのだ。少し歩くと沢の河原に降り立つ。その奥は両側に絶壁がそそり立つすさまじい函になっていた。滝はこの奥にあるらしい。岩壁の左岸をへつって滝に向かうしかないのだ。引き返してしまおうかとも思ったが、大好きな滝を観るためにこれを行くことにした。流れは浅いので、もしスリップしても靴の中に水が入るだけで、最悪全身ずぶ濡れになるだけで、死ぬようなことはない…、と割り切った。恐る恐る函を通過すると、狭い岩壁の間から滝が流れ落ちていた。すばらしい滝である。来てよかったと思った。

登山道に引き返して、今度は右の沢にあるハリオの滝にむかった。こちらの滝は意外と近かった。すぐに黒い断崖から滝が落ちているのが見えてきた。水量が少ないので、迫力はない。でも、静かに眺めていると、それなりに趣のある滝なのだ。
二つの滝に満足して、登山道を登って行く。道は二つの沢に挟まれた尾根を行くのだ。階段の道がジグザグに続き、かなりの急登である。小さなにピークに着くと、大塔山3kmの標識があった。このピークを越えると緩やかな下りになった。
道は沢に向かって下って行く。沢の遡行は終わったと思ったのだが、また沢に沿った道になってしまった。この沢はウオウエの滝の上流である。

徒渉を繰り返して沢を溯行して行くと、広い河原に檻が置かれていた。これは熊のためのものなのかと思ったら、怖くなった。
この沢筋に入ってから35分ほど歩くと、いつのまにか流れの音がしなくなっていた。異様に静かである。大きな岩がゴロゴロする沢筋を登っているのだが、もう水の流れはなくなっているのだ。この沢は古座川の源流なので、その源流点を確認したかったのだが、見逃してしまった。
急な道を登って行くと、杉林の急登になった。これはすごい登りで、細かなジグザグで登って行くのだ。

ようやく尾根に登り着くと、そこには山頂まで1kmという指導標がたっていた。845分になっているので、ここで休憩した。
尾根を登って行く。すぐに杉林から抜け出して、自然林の緑の中を行くようになった。尾根は林の中の急登で展望はない。ひたすら尾根を登り続けて、30分ほどで行く手が明るくなって山頂が近いことがわかった。ところが、新しく張られたと思われるネットが見える。
たどり着いた大塔山の山頂はネットの柵で囲まれていた。いったいこれは何ナノだと思ってしまう。大塔山はほとんど秘境の山と思っていたのだが、間違っていたのかと思った。
山頂には林野庁の看板がたっていて、それによると大塔山は本州最南端のブナ林を有しているのだという。大正12年に「大塔山モミ・ツガ・ブナ植物群落保護林」に指定して大切に保護してきたのだが、近年、南と西の樹木を誤って伐採したために植生に変化が生じて危機に瀕しているという。裸地になったために、風が吹き抜けるようになって乾燥化したり、新芽が鹿に食い荒らされたりし、おまけに登山者が新芽を刈り払ったり踏みつけたりで植生の回復が規定できなくなったというのだ。そのため柵を設けて暴風や鹿や登山者の侵入を防ぐ柵を設けたというわけである。そういう趣旨ならやむを得ないと思って納得した。
柵越しにも展望は得られるのだ。西に聳えているのは明日登るつもりの法師山で、左に連なる尾根の上に突き出ているのが入道山らしい。東の方には海が見えた。熊野灘である。
山頂に立つ三角点は三等三角点であった。三等とは少し物足りない。

30分ほども山頂でのんびりしていた。



 足郷山
足郷トンネルの分岐


赤倉の辻


905mピーク


中間点の標識


足郷山山頂


帰りは東に延びる尾根を下る。ネットの柵の間を急降下するのだが、このネットの向こうはブナの林である。本州南限のブナ林と知ったので、写真を何枚も撮ってしまった。

それにしても緑がすばらしくきれいである。
けっこう痩せた尾根を下って行く。最初は急な下りであったが、すぐに緩やかなになって、そこには「足郷トンネル」とかかれた指導標がたっていた。緩やかなアップダウンが続く。20分ほど歩いたところで、急な登りになった。木の根が網のように張りだした尾根を急登すると、展望の開けたピークに着いた。振り返ると、ブナ林におおわれた大塔山山頂を見ることができた。
このピークから下って行くと、大塔山ハイキングコースという指導標があって、山頂まで1kmと書いてあった。1kmの道を私は30分かかって下ったことになる。時間がかかりすぎなのだが、途中何度も立ち止まって写真を撮っていたのだからしかたがない。
ここから200mほど行くと赤倉岳との分岐があった。ここがガイドブックにある「赤倉辻」のようである。
きれいな樹林の尾根が続く。赤倉辻から20分ほどのところには「山頂まで2km、登山口まで5km」という指導標があった。登山口ってどこのことなのだろう。船見峠のことだろうか。
さらに照葉樹林の尾根を20分ほど下ると、ピンクの花が咲いているのを見つけた。シャクヤクの花であった。このあと頻繁にシャクヤクを見ることができるようになった。ガイドブックにはアケボノツツジなどが見られると書いてあるのだが、これを見ることはなかった。もう花の時期は終わったのだろうか。
シャクヤクの咲く尾根を少し急登したら、少しだけ展望が開けたピークに着いた。釈迦岳・玉置山・笠捨山などと見える山の名前が書いてあるのだが、どれがどれなのかよくわからなかった。ここがガイドブックの
905mピークかとも思うのだが、私の高度計では870mほどしかないので、確信がもてない。ここには山頂まで3kmという標識もあった。
このピークから下って行くと杉林に入って、杉の切り株の上に「中間点、あと3.5km」という標識が置かれていた。
ここまで尾根の上を忠実にたどってきたのだが、尾根の右を巻くところがあった。足郷山の山頂は捲くと書いてあるので、もう足郷山かと思ったら間違っていた。再び尾根に出て、急な道を登って行くのだ。行く手にはかなり高い山が聳えている。地図をよく見ると、山頂を捲くのだが、それは山頂のすぐ傍まで登ってのことなのだ。急な登りが平坦になって下りになるところに左に踏み跡があった。これが足郷山山頂への道だった。山頂といっても、標識も何もないかもしれないのだが、一応行って見ることにした。
尾根を
100mほど緩やかに登ると、三角点があって、その奥に足郷山880mと書いた標識がたっていた。樹林に囲まれているが、りっぱな山頂である。記念写真を撮った。
山頂から少し奥に行くと南側が開けていて、山々を見ることができた。



 足郷山から登山口へ
下に林道が見えた


足郷トンネル、ここから新宮市


林道から大塔山が見える


大塔橋の私の車


道の駅志原海岸


足郷山山頂から登山道に引き返して、尾根の右側を下って行く。杉林からは抜け出して、灌木の間に続く真っ直ぐな道である。この下りにツツジが咲いていた。ツツジを見るとことはできないのかとあきらめていたのだが、最後に見ることができてうれしかった。
すぐに、下に林道が見えてきた。あとは林道を
1時間ほど歩くだけである。林道に降りたって振り返ったら、お地蔵様が見えた。そういえばガイドブックには峠にお地蔵様があると書いていた。登山道をもう一度上ってお地蔵様を見に行った。
林道を下って行く。山襞に沿ってカーブを繰り返すのだが、けっこう急な下りであった。峠から30分ほど下ると舗装された道が見えてきた。この舗装道との合流点には大塔山登山口という指導標がたっていて、このすぐ右には足郷トンネルがあった。
私が車をおいた登山口は、このトンネルをくぐった向こうにあるのだ。足郷トンネルはけっこう長くて、しかも中は真っ暗であった。LEDの灯りをつけて歩いて行ったが、車が来たらどうしようかと思った。(結局、登山口に戻るまで車にあうことはなかったのだが。)
ひたすら林道を歩いて行く。急な下りである。
西に突出した尾根を回り込むと、北のほうに高く聳える山が見えた。これが今登ってきた大塔山であった。林道から下を見ると深い谷で、山腹は鮮やかな新緑に覆われている。天気もよくて、すごく気持ちがいい。
東から落ち込む深い谷があって、これに沿ってどんどん下って行き、谷の奥でターンする。すごく遠回りするのだ。谷を左に見て下って行くと、この谷のすごく高いところにガードレールが見える。これは私が下ってきた道なのだ。
途中、青い標識があって、そこには「紀伊山地カモシカ保護区域 文化庁」と書かれていた。このあたりにもカモシカが棲んでいるのだ。
次の尾根を回り込んで谷を左に見ながら下って行くと、大きな橋が見えてきた。ここが私が車をおいた登山口であった。13時少し前であった。帰って来れるのは15時くらいと思っていたのだが、ずいぶん早く戻ることができた。


携帯で予報を見たら、明日から二日間は天気がよくない。私は時間は有り余っているので、悪天のなか登山しようという気はまったくない。次に登る予定の法師山登山口で二日間もつぶすのは退屈なので、街まで下ることにした。熊野灘沿いに「道の駅志原海岸」がある。
結局ここで二日過ごすことになった。
幸いなことに、ここから2kmほどのところにはスーパーもあって、買い出しができるのだ。


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