私の近畿の山百選
いけごややま

標高 1395m
宮ノ谷林道終点→1:10→高滝→1:30→奥の出合→1:45→池木屋山山頂→1:30→奥の出合→1:00→高滝→50分→宮ノ谷林道終点

登山口からはすばらしく美しい渓谷を行くのだ。大小の滝がいくつもあって、徒渉も何度かしなければいけないのだ。渓谷からの登りはすさまじいとしかいいようがなくて、険しい岩場を急登するのだ。山頂には山名の由来となった池があって、静かなたたずまいはすごくいい。
池木屋山山頂

 登山口から高滝へ
林道終点の登山口


通行止め、ここから沢に下る


渓谷を歩く


室生赤目青山国立公園の標識付近


長い桟を歩いて行く


休憩舎があった


風折の滝の分岐

BACK 迷岳

2009510

今日の登る池木屋山はかなり険しい山で、過去何度も滑落死亡事故が起きているのだ。しかも、沢に沿って登って行くため高捲きや徒渉があって、尾根に取り付くと今度はすさまじい急登の連続になる。往復7時間45分もかかるすごくハードな山なのだ。
昨日は1時頃に登山口の着いてのんびりしてしまった。私が着いたときは車がたくさん停まっていたのだが、ちょうど帰った人がいて、駐車することができた。薄暗くなるころに車はほとんどいなくなったのだが、1台だけ朝まで停まっている車があった。まさか、遭難してるんではないかと心配してしまった。
出発は640分である。砂利道の林道を下って行くと、すぐに山道になってジグザグに下ると、滝があった。名もない滝なのだが、私は滝が大好きなので写真を撮ってしまった。この滝の下で流れを渡る。すぐに階段の登りになって、赤い手すりの着いた橋がかかっていた。「犬飛び岩」という標識があったが、谷川は遙か下を流れていて、これを見るためにはそこまで下らなければいけないようなので止めた。
下に流れているのは宮の谷川である。この谷にたくさんの沢が流れ込んで、それらが滝をつくっている。本流も巨岩の間を白いしぶきを上げて流れていてすばらしくきれいなのだが、木がジャマしてよく見えないのが残念である。

10分ほど歩いたところで、通行止めの標識があった。遊歩道から外れて沢の中を60mほど歩かなければいけなかった。谷川に下ると、この眺めもすばらしい。対岸に滝がかかっているのだ。沢の中であるが道はちゃんと整備されていて、大きな平らな岩が並べられて歩きやすい。ただ一カ所だけ、岩場をへつるところがあって、これは慎重に渡らなければいけなかった。
コンクリートの石段を上って遊歩道に戻る。遊歩道にはちゃんと橋がかけられ、階段が設けられているのだが、これがけっこう怖い。橋は谷川から20mほども高いところにかかっていて、それが細くて踏み板が金網なので下がよく見えるのだ。慎重に渡って行く。橋のすぐ横に滝が流れ落ちていたりして、変化に富んでいて飽きることがない。
苔むした大岩が累々とするところを通ったり、深いコバルトブルーの淵があったりで、つい立ち止まって写真を撮ってしまう。

道端に「室生赤目青山国定公園」の標識がたっていた。私は三重県の山に登っているつもりだったのだが、ここは奈良県かと思ってしまった。
このすぐ先に「六曲屏風岩」という標識がたっていた。見上げるとすさまじい大岩壁が聳えている。でも、樹木がジャマをしてその大岩壁は一部しか見えなかった。

この200mほど先には「切石河原」という標識があった。渓流には切り出した石のような巨岩がいくつも重なっている。きれいな渓谷である。
河原を歩いて行くと、突然見上げるような巨岩に梯子がかかっていた。これを越えたら、今度は谷の絶壁に桟が架けられていて、それが長く続いている。これも一種独特な眺めである。ただ、この桟は渓谷にかなり張り出していて、下を見るとかなり怖い。
長い桟を歩き終えて、少し登ると小屋が建っていた。休憩舎と書かれていて、中にはベンチがあるだけである。昨日帰らなかった車の人はここに泊まったのかと思った。でも、下ってくる人とはすれ違わなかったけど…。
この先は長い橋が真っ直ぐに続いていて、これを渡って行く。沢の合流点であった。突き当たりには「岳魂」という石碑がたっていて、指導標には左が風折の滝40分、右が高滝20分と書いてあった。寄り道せずに高滝を目指す。
渓谷も急な流れになって、これに沿って行くので急登が続く。
行く手に鉄の梯子(階段)が三連でかかっているのが見えた。すごい登りが続くのだ。ガイドブックには高滝までは整備されて遊歩道がつつくと書いてあるのだが、険しい山道であることは間違いない。普通の観光気分では高滝まで来ることはできないのだ。

崩落したザレた急斜面が現れ、これをロープにすがって越える。渓谷は何段もの滝をつくって流れ落ちる。その奥にすごい落差の滝が見えてきた。これが高滝であった。すばらしい滝である。もちろんたくさん写真を撮った。
ここで休憩。



 高滝から山頂へ
すごい登りが始まる


お地蔵さまがあった


奥の出合


徒渉する


トラバース道を行く


木の根が網のように張り出す尾根


アケボノツツジが咲く尾根を行く


山頂直下


池木屋山山頂


この先は高滝を高巻くのだが、この登りで滑落死亡事故が何度も起きているのだ。少し息を整える必要がある。

まず目の前の流れを徒渉しなければいけない。水は激しく流れていて、靴をぬらさずに渡るのはけっこう大変であった。岩が濡れているので、スリップしてしまいそうなのだ。なんとか徒渉を終えると、急登が始まる。テープに導かれて登って行ったが、途中からすごい登りになった。振り返ると滝壺には虹がかかっている。きれいだと感動しているヒマはなくて、足がかり、手がかりもないすさまじい登りになった。ぶら下がった木の枝にすがって、急斜面を越えた。途中滑り落ちそうになった。この道を下るのはほとんど不可能だと思った。でも、なんとか小さな平坦地に立ったら、右からしっかりした道が上がって来ていた。私は道を間違えて、とんでもない急な斜面を登ってしまったのだ。でも無事越えることができてよかった…。
この先はロープがちゃんとつけられていて、これにすがって急登し、断崖のような急斜面につけらトラバース道を越える。これはかなり怖かった。ロープにすがって登った所にトタンの小さな御堂があって、その中にお地蔵様が収まっていた。無事下山できますようにと手を合わせたが、ここも断崖の上で落ち着いてお願いすることはできなかった。
トラバースして行くと、行く手に再び大きな滝が現れた。これが猫滝である。滝があると、これを越えるために高巻かなければいけない。この登りが大変なのだ。
ロープにすがって急登する。ようやく下りになって、谷底に向かって下って行く。平坦地に着いたときは本当にほっとした。河原を歩いて行くと、今度は徒渉が待っていた。しばらく考えたがどうしても靴をぬらさずに渡るルートが見つからない。仕方がないので靴を脱ぐことにした。靴を脱いでしまったら渡るのは簡単である。靴下を脱いだり履いたりするのが手間なのだが、悩んでいるよりはこのほうが早かった。
沢に沿って歩いて行くと函が見えてきた。谷川の両方が岩壁になっている。これも高巻かなければいけないのだ。この高巻きはそんなに険しいことはなかったが、谷に再び下ると今度は徒渉しなければいけなかった。さっきの徒渉からそんなに歩いていない。帰りはこの間、靴下を履かずに歩こうと思った。
徒渉を終えると再びすごい滝が行く手を遮った。この高巻きも大変であった。木の根などにすがって急登を続ける。あまりにも険しくて、登りはなんとかなっても、これを下ることは不可能である。これが一般道のはずはないと思った。ともかく必死で登って、ようやくトラバース道に出た。しっかりした道が左に続いているのでこれを行ったら下りになってしまった。そこで、これが一般道だということに気がついた。さっき登り着いたところをよくみると、左に小さな岩場を越える道がある。これが正しい道なのだ。また道を間違えてとんでもない危険なコースを登ってしまったのだ。
高巻きから下って河原に降り立ち、少し行くと二俣に着く。ここが「奥の出合」である。ここでも徒渉するのだが、これは簡単に渡ることができた。ここにはテントが張ってあった。昨日帰ってこなかった車の主はここで野営したらしい。遭難してなくてよかった。
ここで少し休憩。時間は935分になっている。3時間歩いたことになる。でも、ここから頂上までは1時間45分かかるので、山頂到着は11時を過ぎてしまいそうだ。
奥の出合からは左の沢に沿ってトラバース道を行く。すぐに急登が始まるのではないのだ。10分ほど行くと徒渉する。これは流れが狭いので簡単に飛び越えることができた。
この先が急登の連続であった。沢を離れて急斜面をジグザグに登って行く。10分あまりの急登で尾根の上に着いたが、ここから傾斜が緩まるわけではないのだ。前にも増してすさまじい急登が続く。痩せた尾根で、道には木の根が網のように張り出している。これがちょうど階段のようになって、足場は確保できる。
これでもかこれでもかという険しい登りが続く。でも、道にはピンクのシャクナゲやアケボノツツジが咲いていて、このきれいな花にほっとさせられるのだ。
痩せた尾根には二回ほど巨岩が立ちふさがった。最初の巨岩を回り込んだところでは尾根が合流した。
標高1100mを越えると傾斜が緩まった。…といっても比較の問題で、今までがすごすぎたから、普通の急な登りになっただけなのに緩やかになったような気がするのだ。
途中で若い女の人とすれ違った。下ってくる人にあったのは初めてなので、赤い車の人かと訊いたらそうだという。遭難してなかったのだ。ちょっと安心した。この人が奥の出合でテントを張っていたのだという。
急な尾根を登って行くと岩塔のように聳える岩を右から回り込んで越える。これがガイドブックの「シャクナゲ坂の大岩」かもしれない。
この先も急な登りが続くのだが、アケボノツツジがたくさん見られるようになった。花を眺めながら楽しい気分になって登って行くと、杉の巨木に蛇のように巻き付く木があった。こんな変わった木も私はかなり好きなのだ。
再び、木の根が網のように張り出す痩せ尾根の急登になった。でもシャクナゲやアケボノツツジの花もたくさん咲いている。岩混じりの痩せた尾根が、いつのまにか緩やかな草つきの尾根になって、樹林もまばらになって明るくなった。この明るい尾根を
10分ほど登ると山頂であった。



 山頂から下山
山頂から池に向かう


山頂の池


風折ノ滝分岐まで戻った



池木屋山山頂はまばらであるが木に囲まれていて、展望はよくない。山頂には三角点があった。
でも、疲れた。困ったことに食べるものがない。今日はミニアンパンを
2個持ってきたのだが、途中で1個食べたので、山頂では残りの1個を食べるだけである。明日はもっと食べるものを持って来よう。
少し休んでから、池を見に行った。池木屋山の名前の由来となった池が北西の尾根下にあるのだ。踏み跡があって、テープもつけられている。明るい林の中を下って行くと、5分ほどで池の畔に着いた。明るい林に囲まれた静かな池であった。
山頂に戻って、あとは登って来た道を引き返すだけである。登りで苦労した急峻な痩せ尾根は、下りでは倍苦労した。ともかくスリップしたり躓いたらいけないので、一歩一歩慎重に足を置いて、三点確保に努める。ゆっくり慎重に下って、谷に降り着いたときはほっとした。
沢に沿ったトラバース道を下って奥の出合に着くと、テントはなくなっていた。
高巻きで二度道を間違えたのだが、返りで間違った場所がわかった。両方とも、ジグザグに登ってゆくためにターンするところがあって、そこで間違えたのである。でも、ターンの反対側にもはっきりした踏み跡があるのだからこれは間違えてしかたがないと思う。
帰りも靴を脱いで徒渉した。
高滝に下って、徒渉して、遊歩道に着いた時は、生きて帰って来た…とため息が出た。あと険しい道はないのだ。
安心したので、ゆっくり写真を撮りながら下った。
登山口に戻ったのは1440分である。


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