登山口から山道を歩き始めたのは8時ちょうどであった。鬱蒼とした杉林を登って行くと小屋が見えてきた。二の沢という標識があって、登山道はこの小屋の中を通り抜けるのだ。大峰山にもこんな造りがあったなぁと思った。この小屋の前には頂上まで2495mというやけに細かい距離をしめした標識があった。1m単位までどうして計ったんだと思ってしまった。
この小屋のすぐ先に「垢離取場」があった。修験者が滝に打たれる場なのだが、小屋はその為のもののようだ。
右に美しい渓流を見ながら登って行く。道は自然石の階段で、さすがに修験道の歴史を感じさせるものである。
5分ほど登ると、今度は炭焼き小屋のような三角屋根の小屋が見えてきた。避難小屋という標識があって、さらに宿坊跡という標識も掲げられている。でも、壁もなくて吹きさらしなので、とてもここに泊まる気にはならない。
この小屋を通り抜けたすぐ先で渓流を渡る。傾いた桟道を行くとこの渓流が滝をつくっていた。不動滝という標識がある。
滝の下で流れを渡るとそこからは丸太で組んだ急な階段である。杉林の中、この急な階段を登って行くと道には大きな岩が現れる。右手にすごい岩壁が聳えている。この下を通過した先に「石小屋」があった。岩壁の下の岩屋で、中に石仏が祀られている。いかにも修験道の山らしくなってきた。
岩が累々とする沢を左に見て歩いて行く。鮮やかな紅葉があったりして、美しい渓谷の眺めである。右にターンして、杉林の中をジグザグに急登すると、「平成之大馬鹿門」との分岐に着いた。私は一般コースを行く。
山の急斜面をトラバースするように歩いて行って、右から落ち込むガレ場を横切ったところに頂上まで725mの標識があった。もうすぐだとおもったのだが、これは標識の端が欠けていて、そこに1の字があったのだ。1725mということである。
登山道は巨岩が累々とする沢の中を行くようになった。岩の上に沢ガニがじっとしているのを見つけた。かわいい。
岩だらけの沢から離れて、右の急斜面を登ると行者コースとの分岐があった。行者コースだと山頂まで980m、一般コースだと1600mであった。ここまでの一般コースもけっこう険しかったのに、行者コースはさらに険しいらしい。一般コースを行くことにした。軟弱者…。
急な斜面をトラバースして行くと、灯り岩という錆びた標識が地面にあった。見上げたがそれらしき岩はなかった。そこから少し上ったところに岩壁があったがこれのことだったのだろうか。
急な斜面をジグザグに登って行く。視界が開けて、行く手に山が見えるのだが、厚い雲が山頂を隠してしる。
ターンを繰り返して急斜面を登って林の中に入ると、霧に包まれた。林の中を少し登ると尾根の上に出て、そこには標識があって、尾根を左に下ると笛石山となっていた。林道歩きのすぐのところで見た笛石山登山口はここに上がってくるのだ。
尾根を登って行く。道の両側は背の高い笹藪で、ブナの林が続く。けっこうアップダウンがある道を行くと、指導標があった。これが行者コースとの合流点であった。ここから山頂までは330mとなっていた。やっと山頂間近になった。
背の高い笹藪の間を登り、ちょっとした岩場を越えるとやっと山頂であった。
山頂にはいろんな標識がたっているのだが、板馬見山という標識があった。これも後山の別名なのだ。三角点はかわいそうに頭がかけているのだが、三のじは読むことができた。霧の中で何も見えない。山頂には青いシートで包まれたものが立っているのだが、これは祠のようである。修理中なのだろうか。
ともかく山頂に着いた。時間は9時47分、少し休憩する。
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