石段を慎重に下って、登山道に戻る。琴の岩屋から山頂は近いはずである。
…と思ったのだが、ここからが大変であった。
落葉の始まった明るい林の中を10分ほど登ると、道に雪が目立つようになった。行く手に山頂が迫ってきて、傾斜がきつくなる。道には落ち葉が厚く積もっていて、それが残雪と一緒になってよく滑るのだ。この登りは本当に大変だった。滑らないように足場をしっかり確認しながら、慎重に登らなければいけないのだ。
行く手に巨岩がそびえ立っていて、登山道はこれに向かって急登して行く。巨岩の右を越えると、山の右斜面を行くようになって、すぐに右から上ってくる道と合流した。これがスキー場からの道である。
合流点には山頂まで200mという標識があった。もうすぐである。
山の右斜面を登って行くと、さらにすさまじい大岩壁が聳えたっていた。その絶壁の左に石段がつけらている。これを上るとお堂がたっていた。でも、このお堂から右に石段が続いていて、その先にりっぱな社が見えた。巨岩の間に石段が続いていて、これを上って社殿の前に着く。これが琴引山神社であった。
この社の後に回り込むと、登山道があった。巨岩を捲いて上ってくる道なのだ。
この登山道に降りて、そこから山頂を目指す。見上げると山頂には巨岩が重なっていて、これにどうして登るんだと思ってしまうのだが、登山道はこの岩峰の右を捲いて、後側から山頂に登るのだった。岩のゴツゴツした道を急登すると、ようやく山頂に立つ。山頂着は14時45分であった。
山頂には大きなケルンが積んであったが、そのケルンは石灯籠かなんかの基壇の上に積んだものである。
山頂はそんなに広くはないのだが、すばらしい展望が広がっている。頂きが少し雲に隠れているのだが、三瓶山が見える。山腹には白くなったスキー場のゲレンデが見える。ともかく360度の展望で、眺めていて飽きることがない。山頂には三角点もある。文字がよく見えないのだが二等三角点だろうか。
ばらしい景色を眺めながら、パンをかじった。
でも、あまりのんびりしていられない。夕方になると寒くなってくるし、今の時期は暗くなるのが早いのだ。
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