三俣山荘→三俣蓮華岳(2841m)→双六岳(2860m)→双六小屋→樅沢岳(2755m)→千丈乗越→槍ヶ岳(3180m)→ババ平

裏銀座の最後のコース、西鎌尾根を行く。行く手に聳える槍ヶ岳がしだいに近づいてくる。ようやくたどり着いた槍ヶ岳は団体登山者が列をなしていた。
槍ヶ岳(左は小槍)


 三俣蓮華岳・双六岳から双六小屋へ
テント場から三俣蓮華岳に向かう


巻き道コースと三俣蓮華岳との分岐


三俣蓮華岳山頂

BACK 三つ岳から鷲羽岳

2005年93

テントをたたんだら、今日もフライシートは露でビショ濡れであった。テント場周辺は薄く霧がたちこめ、これから登る三俣蓮華岳にも雲がかかっていた。
出発は610分。三俣蓮華岳に向かって緩やかに登って行く。今日の展望はダメなのかと思いながら登ってゆくと、次第に霧が晴れてきて、山頂がきれいに見えるようになった。うれしい。
大きな石がゴロゴロする道を登って行くと黄色い指導標が立っていた。ここが三俣蓮華岳山頂直下の分岐で、ここから下って行くと、三俣蓮華岳山頂を通らずに双六小屋に行けるのだ。もちろん私は山頂をめざす。
ここまでは比較的ゆるやかな登りであったが、一変して急登が始まった。まだ体が温まっていないためか疲れる。野営道具一式が詰まったザックも重い。
せっかく晴れてくれたと思っていたのに、山頂に近づくにつれて雲の中に入ってしまい、山頂ではまったく展望はえられなかった。
三俣蓮華岳の山頂は広くて、登りついたところには指導標がたっている。この標識から右に少し行くと三角点があった。ここが山頂である。




 双六岳から双六小屋へ
丸山への縦走路、雲が晴れてきた


双六小屋へ下る分岐があった


双六岳山頂


双六岳からは広い稜線を行く


双六小屋


三俣蓮華から双六岳に向かう。
行く手に大きな山が迫ってくる。私はこれが双六岳だと思って登っていったのだが、丸山という双六岳の前衛峰であった。
この縦走路からは、丸山の右奥に鋭く尖った山が見える。このあたりにあんな山があったのかと不思議に思ってしまったのだが、地図で確認してみると笠ヶ岳なのだ。見る方向によって、あんな鋭い山に見えるのかと楽しくなってしまう。
丸山の山頂に登り着くと、広い台地に這い松が絨毯のように広がっている。少し探したが、山頂標識や三角点などはなかった。
丸山の台地を行くと、行く手には双六が大きく聳えている。すばらしい山ではないか。

丸山から下って鞍部に着くと、そこからは這い松の間の道になる。
山腹をトラバースするように登って行くと、分岐があった。左は双六の山頂を巻く「中間道」である。もちろん私は山頂をめざすのだが、すさまじくきつい登りであった。

双六岳の山頂に着いたのは815分。
広い台地の隅に盛り上がったところが山頂で、山頂広場には岩がたくさん転がっている。その真ん中に三角点があった。
山頂から振り返ると鷲羽岳が見える。三俣蓮華岳は丸山に隠れて見えなかった。
双六岳山頂から少し下ると、すごく広い平らな尾根を行くことになる。この広々とした稜線歩きは快適で、行く手に聳える笠ヶ岳を眺めながら歩いて行くのだ。
台地が尽きたところからは急降下になる。白い岩がゴロゴロする道で、その岩を縫って下る。
降り着いたところが中間道との合流点である。この道は丸山と双六岳の中間点に至る道である。
ここから少し行くと水平道(捲き道)と合流する。
この分岐点からは三俣蓮華と鷲羽岳・野口五郎の展望がすばらしい。ザックを置いて、しばらく北アルプスの山並みを眺めていた。
緩やかに行くと下に双六小屋が見えて、その小屋に向かって急降下する。
登山道は双六小屋前の広場に着く。小屋の前には蛇口が並んでいて、これが水場なのだ。水は自由に使っていいのだ。小屋の前のテーブルで少し休憩した。



 千丈乗越へ
樅沢岳山頂


西鎌尾根の稜線


鎖場を登る


千丈沢乗越

双六小屋からは、いよいよ槍ヶ岳に続く西鎌尾根を行くのだ。
小屋から急な斜面をジグザグに登って、まず樅沢岳の山頂を目指す。登りきったところに広場があって、鷲羽の展望がすばらしいのだが、山頂ではない。ここから少しいったところに樅沢岳山頂の標識がたっていた。樅沢岳からは槍ヶ岳が間近に見えるはずなのだが、槍の穂先は雲に隠れていた。
槍ヶ岳から派生する尾根は三つあって、その中で最も歩かれるのが「表銀座コース」と呼ばれる東鎌尾根(喜作新道)である。私が歩こうとしているのは西鎌尾根で「裏銀座コース」といわれる。そして三つ目が「北鎌尾根」である。これは鋸歯のような岩稜の道で、一般道ではない。多くの山の先人がこの冬の北鎌尾根に散っているのだ。私の好きな加藤文太郎さんもその一人である。その北鎌尾根を間近に見ながら、西鎌尾根は続いているのだ。
アップダウンの尾根道を行くと左手には赤い色の岩山が見えてくる。不気味で異様な山である。これが「硫黄尾根」なのだ。この硫黄山の頭につくと鎖場があったが、これはたいしたことがない。
硫黄山の頭から急な道をジグザグに下る。
鞍部に着いたところで休憩した。実はこれからが西鎌尾根の核心部なのだ。

気を引き締めて槍ヶ岳を目指す。登るにつれて道は岩稜になって、すごく痩せた岩尾根を渡ったりするのだ。岩屑の急斜面を登ったり下ったりを繰り返すのだが、足場が極めて悪いうえに鎖場が続く道である。この頃、雲の中にはいって、薄暗い感じになってきた。風も強くなって、霧がすごい速さで流れて行く。
尾根を左から右に越えると、向こうに登山者休憩しているのが見えた。これが千丈乗越であった。とうとうここまで来たぞ、という感じである。
千丈乗越で30分ほど休憩。行く手には槍ヶ岳が壁のように立ちふさがっている。雲が流れて、時々槍の穂先が顔を出す。あんなところまで登るのかと、その高度差に気持ちがくじけそうになる。


 槍ヶ岳山頂へ
千丈沢乗越からの道


槍の肩に着いた


槍岳山荘


槍の穂先への登り


槍ヶ岳山頂


槍への道は息継ぐことなく、ひたすら急登が続く。急な尾根をジグザグに登って行くのだ。首が痛くなるような角度で上を見上げると、稜線に小さく小屋が見える。遠い。ため息が出てしまう。
大きな岩の前を左に回りこんで、少し急登するとようやく尾根に出る。石がゴロゴロする尾根を急登すると、槍の肩である。
千丈乗越から登り始めて1時間半、やっと槍の肩に着いた。疲れた。
ここまでは静かな山旅であったが、槍の肩は登山者で大賑わいである。槍の穂先にはたくさんの登山者が取り付いているのが見える。
ザックを置いて、槍ヶ岳を往復する。何度も登っているので省略してしまおうかとも思ったが、せっかく目の前に日本アルプスの象徴が聳えているのである。登らずにはいかないではないか。
登ってゆくと、下りで渋滞が起きていた。ため息が出てしまうのだが、最近はほとんど岩場の経験がない中高年が団体で日本アルプスにやって来ていて、そういうシロウトが岩場で渋滞を引き起こすのである。槍とか穂高には、もう少し修行してから来いよと叫びたいのだが、彼らは自分らによって引き起こす迷惑にはまったく無頓着なのだ。だれかなんとかしてほしい。
槍の山頂に着いたのは2時である。
雲で穂高は見えなかった。山頂の祠の前で記念写真を撮ってすぐに下った。
下って行って驚いた。登りのときすれ違った下りの団体が、まだグズグズとしていたのだ。すれ違ってから
30分以上たっているのに、何をしてるんだと思ってしまう。結局、他の登山者と一緒に、このシロウトの団体の後に並んで下るしかなかった。
肩に降りて休憩していたら、こんどは40人の大団体が登ってきた。彼らよりも先に登ってよかった…と思った。この団体が休憩しながら話してるのを聞くと、岩山を登ったことのないのが大部分みたいである。普通、槍の穂先の往復は1時間というのだが、これだけの団体で、しかもシロウトがいっぱいだったら、2時間かけても降りて来れないのではないかと思う。これから、彼らの後に登る登山者はひどいめに会うことになる。



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