天狗山荘→天狗の頭(2812m)→不帰嶮→唐松岳(2696m)→八方尾根

今日のハイライトは不帰の嶮の縦走である。すさまじい岩峰のアップダウンを繰り返す道なのだ。さすが日本アルプスという気がしてくる。
不帰嶮の岩稜

 天狗小屋から不帰の險底へ
フライを外した私のテント


天狗の頭


ここから天狗の大下り


不帰キレットから見る不帰沢

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2005年88

4時前から外が騒々しい。まだ、薄暗いというのに出発する人の話し声がするのだ。
5時頃に起きて、カップヌードルを食べた。6時にテントの外に出たら、残っているテントは私だけだった。みんな早すぎる。
今朝は霧で展望はまったくきかない。
天狗の頭に向かって、広い尾根をゆるやかに登ってゆく。霧が徐々に晴れてきて、山影が見えるようになった。天狗の頭は広い山頂で、砂礫の中に標識がたっていた。
広い砂礫の尾根を緩やかに下って行くと、だんだん痩せた尾根になって、信州側は断崖である。岩稜を行く。稜線にはいくつもの鋭い岩峰があって、これを巻きながらすすんで行くのだ。霧が流れていて、そのなかから切り立った岩峰が浮かびあがるのは、けっこう恐怖である。
稜線にちょっとしたコブがあって、その下に「天狗の大下り」の指導標が立っていた。
今回の縦走路中の核心部である。この大下りを過ぎると、次が不帰の嶮が待っているのだ。すごく緊張する。
すぐに鎖場があって、これにすがって下る。こんな険しい下りがずうっと続くのかと思たのだが、あとはザグザグの道をジグザグに下ってゆくのだ。これもすごく急な下りである。そして、再び鎖場、これは長い。慎重に下って、再びザグザグの道を行く。この天狗の大下りでは標高差で300mも下るのだ。
不帰キレットに着いたのは745分、ここからは信州側へ不帰沢の雪渓落ち込んでいる。この眺めもすごい。このキレット底で休憩。ここからは岩場の登りになる。不帰の嶮とういうのはT峰・U峰・V峰と続くすさまじい岩峰の登りのことである。



 不帰ノ險を越えて唐松岳へ
不帰T峰


U峰への登山道


不帰の嶮


U峰の北峰


唐松岳山頂


キレット底からは、最初からすごい岩場の登りである。この途中で雷のような音を聞いた。いったい何かと思ったら、岩が崩落する音なのだ。これがかなり長い間、鳴り響いていた。登山道は大丈夫なのかと心配になってしまう。(このあと縦走して行ったが、登山道が崩れていることはなかった)
急な岩場は最初だけで、これをを越えたら稜線の道になった。あとはあまり苦労なくケルンが積まれた山頂に着いた。ここがT峰である。
不帰の嶮というのは、実はここからU峰にかけてが核心部なのだ。
すさまじい下りになる。そのコルの向こうには道なんてありそうもない岩壁が聳えている。それがU峰への尾根である。ともかく、ザレた急な道を下る。
鞍部に降り着いて、そこから見上げるU峰への登りがすさまじい。
岩場の急登が始まる。最初から鎖場である。鎖につかまって岩峰を越える。ここからは無我夢中である。ひたすら目の前の岩場を登ってゆく。
途中、降りてくる登山者に会った。その人が言うには、捻挫をした人がU峰北峰の手前にいて、レスキュー隊が出動して一緒にヘリを待っている状態なのだという。もしかしたら、ヘリでの救出の間、足止めをくうかもしれないということであった。

急なザレた道を登って行くと、そこにレスキュー隊員と足に包帯をまいたおじいさんがいた。その横を通って、少し登ると北峰山頂であった。U峰には北峰と南峰があって、この間は痩せた岩尾根である。
この岩尾根を越えて南峰に着く頃にヘリが飛んできた。私は南峰の山頂から救出作業を見ていたのだが、あっというまに雲が出てきて、ヘリが見えなくなった。しばらくしてヘリが飛び去っていったが、あんな霧の中でも救出作業ができたのだろうかと、少し心配した。
U峰山頂は今までに比べたら平坦な広いところで、ここからV峰には普通の稜線の道である。行く手の大きな山に向かって稜線を行き、右の尾根を越える。そこからは砂礫の山腹を斜めに登ってゆく。V峰ってどこだろうと思いながら急登を続けると、山頂に着いた。ここがV峰かと標識をみたら、唐松岳であった。10時であった。
山頂には誰もいなかった。休憩していると、雲が流れていって、不帰の嶮が展望できるようになった。すごい。この岩稜を登ってきたのだと思うと、自分を褒めてやりたくなる。



 八方尾根を下る
唐松岳頂上小屋


第三ケルン


第一ケルン


兎平からゴンドラに乗った


唐松小屋に向かって下る。小屋の前にはたくさんの登山者が休憩していた。休憩しようと思ったが、そのまま下ることにした。
八方尾根を下って行く。
私の前を3人の女子高生が歩いていた。彼女らはズック靴で、腰にはペットボトルを下げている。ザックは背負っていない。その軽装で、すごい速さで下って行く。私はその後をついていったのだが、女子高生とバカにしていたがけっこう山に慣れていて、見直してしまった。なにかのトレーニングで登っているのだろうかと思った。
八方池まできたら、すごい登山者の数で登山道は大混雑になった。木道を行くのだが、ほとんど行列の状態である。そして、リフト山頂駅の前では渋滞になってしまった。
このたくさんの人はリフトで登ってきた観光客なのだ。
私は下まで歩いて降りるつもりである。リフト駅を過ぎて遊歩道を下って行くと、さっきの女子高生3人が歩いていた。リフトに乗らずに歩くというのは、けっこう根性があるではないかと見直してしまった。
下のリフト駅に着いたが、ここからの下山道がどうしてもみつからない。仕方がないので、ここからはリフトを使った。
兎平でゴンドラに乗り換えて、麓の八方に着いたのは、まだ1時であった。
八方バス停前に温泉があったので、ここで汗を流した。いい登山だった。



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