小屋から歩き始めてすぐに西側が晴れてきた。下界は日が射している。晴れているのだ。雲がかかっているのはこの山稜部だけのようだ。
雨具を脱いだ。
緩やかにアップダウンを繰り返して登っていく。
40分ほどでピークに着いた。道の脇に木柱が立っていて、そこに中先峰と書いてあった。
ここから一旦下ると、いよいよ以東岳への本格的な登りになる。
以東岳は厚い雲に覆われて山頂部は見えない。そのために一層山の大きさを感じてしまう。
少し雲が晴れて大きな岩があるのが見えた。
急な登りになる。
途中から雲の中に入った。
山頂部に着いたのは10時であった。
岩が重なっているその横に指導標が立っている。左に下ると以東小屋のようだ。小屋のほうからなんか音がしているのだが、霧で何も見えない。
この指導標のところから右に少しだけ行くと三角点があった。山名の書いた指導標は立っていなかった。しかし、三角点があるのだからここが山頂に間違いはない。
記念写真を撮った。風もあるし、視界もきかないので早々に山頂を後にした。
さっきの指導標のところに戻って、この指導標の後ろを見ると、そこに以東岳山頂と書いてあった。
ここでもう一度記念写真を撮った。
私はここ3年はデジタルカメラを使っていたのだが、この春からデジタルビデオを使っている。これはけっこう重宝していて、デジタルカメラとしても使えるのだ。
写真はメモリーカードに記録できるので、これをそのままパソコンに取り込むことができる。また、持っていたデジタルカメラにはズーム機能がついていなかったのだが、これだと光学式で10倍までズームができる。
ただ一つ困るのがタイマーがついていないことだ。
仕方がないので、今回はこのカメラについていたリモコンを持ってきた。
リモコンでシャッターを押すのだ。
さて、急いで下らなければいけない。この以東岳山頂から竜門小屋までは3時間半かかる。
なんとか2時までには小屋に着きたいと思っている。
どんどん下っていくと雲の下に出た。相変わらず日本海側は晴れていて、よく見ると海岸線が見える。それに反して東側は雲がどんどん湧きあがってくる。
帰り道になると、なぜか気持ちに余裕が出てきて景色が眼にはいるようになる。
朝日連峰というのは本当に雄大な山並みだ。
広いゆったりとした稜線がどこまでも続いているという感じだ。
緑の稜線に登山道が続いている。その稜線の右からは雲が湧きあがり、左は明るく日がさして緑が輝く。朝日岳ってつくづくいい山だと思ってしまう。
狐穴小屋に着いたのは12時半であった。
小屋に着いてものんびりできない。荷物を置いてある龍門小屋に急ぐのだ。
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