標高1000mの植生案内板を過ぎて、10分ほど登るとピークに指導標がたっていた。ここで左折すると低木帯になって、頭上に覆い被さる樹木がなくなった。傾斜が緩まって、登山道は南方的な独特な樹相になった。
このまま山頂か…と思ったのは大間違いで、再び急な登りになった。が1100mを過ぎると、突然ロープが下がっていて、この岩場を越える。
地べたに置かれた「愛子岳まで0.2km」という指導標をみて、山頂は近いと喜んだら、ここからが大変であった。
樹林から抜け出すと、すさまじい岩壁が聳え立っていた。霧の中に聳える姿は圧倒的な迫力であった。
愛子岳へは、黒い太いロープにつかまって岩の斜面を登る。すごくきつい。
ようやくピークに着いたと思ったら、今度は険しい岩尾根であった。愛子岳というのは、その優しげな名前とはまったく違って、すさまじく険しい岩山だったのだ。
山頂までは岩場の連続で、なかなか山頂に着くことはできない。次々と巨岩が現れて、その斜面を登ってゆくのだ。あと200mの指導標からは、どう考えても500mくらい登ったのではないかと思う頃に、ようやく山頂にたどりついた。
今日の天気は曇りで、まわりは真っ白である。展望はまったくきかない。
ガイドブックでは、山頂からは宮之浦岳の山々と海のほうには種子島も見えると書かれているのだが、まったく何も見えない。
雨が降らなかっただけよしとしよう。天気予報では、今日は午後から小雨なのだ。
山頂には小さな石の祠がある。
そして真ん中に「愛子岳標高1235m」の標識がたっていた。
ここで記念写真を撮る。写真をみて驚いたのだが、ひげを伸ばし放題にしていたら、りっぱなヒゲオヤジになっていた。
時間はまだ8時半である。ガイドブックには登り3時間半とあったのだが、2時間半で登ってしまったことになる。これでは時間があまってしまう。
しらべてあるバスの時刻表を確認すると、安房から屋久杉ランドへゆくバスは13時半である。これに間に合うのではないかと思う。明日の天気は小雨で、山には登れそうもない。私は今夜は安房のキャンプ場にテントを張って、明日、屋久杉ランド行きのバスに乗ろうと思っていたのだ。
明日、天気が悪いのなら、今日中にバス終点の紀元杉まで行って、今夜は淀川小屋に泊まって明日一日は小屋でのんびりすることもできる。これがいい。
急いで下ることにした。レンタカーは16時までに返せばいいのだが、早く返すのは問題ないだろう。
急ぎ足で下って行く。登山口に戻ったのは10時半である。
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