BACK 宇和島観光
2002年8月16日
さて、今年の夏山も今日が最後である。
三本杭という山に登ろうとしている。
四国には300名山が4つあって、三本杭と伊予富士、瓶ヶ森そして篠山である。この最後の篠山は宇和島から登れる山なのだが、ガイドブックで読む限り、登山の対象としては面白いとは思えないので省略することにしている。
ただ、この宇和島でもう一つ面白そうな山がある。それは鬼ヶ城山である。
地図で調べると、この鬼ヶ城山と三本杭はずいぶん近い。
私が今回たどろうとしている三本杭の登山コースは、滑床から御祝山、三本杭と登って、それから熊ノコルを通って滑床渓谷に下って来るというものだ。でも、この中の熊のコルからは鬼ヶ城連峰に接続できるのだ。
三本杭に登って、それから鬼ヶ城山を縦走し、歩いて宇和島に帰ってくるというプランは出来ないだろうかと真剣に考えた。
ところが困ったことに、登山口の滑床行きのバスは宇和島発8時35分で、滑床に着くのは10時頃になってしまうのだ。行動時間がほんとうにわずかしかない。
どうもむずかしい。
私がいつものコンディションなら、このコースはやってできないことはないとも思う。ところが、今の自分は体力的に絶不調である。直前の4日間の縦走で体力を使い果たしたという感じなのだ。
朝、宇和島城を観光に行ったのだが、この石段を登るのにさえ、膝がガクガクして、すぐに息が切れる。
三本杭の登山さえ危ぶまれるのに、さらに鬼ヶ城連峰の縦走をしようとするのはほとんど無謀に近いかもしれない。
結論を出さないままに、滑床行きのバスに乗った。
滑床までは1時間半くらいかかるとのことだったが、着いたのは9時45分である。
ともかく歩いて見て、今日の調子を見てみることにする。
滑床渓谷に沿って登っていく。
ここは家族連れの行楽地のようで、子供たちが沢で水遊びをしていた。
道は遊歩道として整備されていて、歩きやすい。
滑床渓谷はその名の通り、流れが多くの滑めを作っているのだ。この流れの変化を見ながら溯っていく。
ガイドに紹介されていた雪輪の滝は、思ったよりこじんまりしていたが、その滑滝の作る水の文様は見ていてあきない。この滝の作る雪の輪を見ながら、長めの休憩をとった。
この雪輪の滝までは観光客がたくさんやってくるのだが、この先はずいぶん人が少なくなる。
奥千畳に着く。ここも川原が大きな一枚岩になっていて、流れが滑めをつくっている。ここで呼吸を整えて、いよいよ熊のコルに向かって登り始める。
あまり急な勾配ではないのだが、この6日間の山行の後で足がガクガクになっていて、けっこうきつかった。
熊のコルに着いたのは1時。
この分岐で西に向かうと、鬼ヶ城連峰の八面山に行くことができる。
パンをかじりながら考えた。三本杭を往復してここに帰ってこれるのは2時だろう。ガイドブックで標準歩行時間を調べると、熊のコルから鬼ヶ城経由で宇和島までは5時間かかるのだそうだ。これだと宇和島に着くのは7時になってしまう。私が今日乗ろうとしている列車は宇和島発18時18分である。
これでは間に合わない。
やっぱり、あきらめるしかないのか。
ともかく三本杭に登ることにした。
熊のコルから30分で山頂に着く。草原のゆったりとした山頂であった。今日は天気もよくて、なにかしら気分も明るくなってくる。
そこで考えた。もし、18時18分の列車に乗れなかったとして、次の列車でなんとかならないだろうか。システム手帳につづってきたコピーの時刻表を調べてみた。そうすると、19時59分発の特急宇和海26号があって、これに乗ると私が乗る予定だった各駅停車に松山で追いつけることがわかった。
決めた。
鬼ヶ城連峰の縦走をする。
そうと決まったらのんびりしていられない。三本杭山頂から早々に下山する。
熊のコルには13時55分、八面山には14時20分に着いた。
今までは標準タイムに必ず遅れていたのに、速い。さすがに荷物を減らした効果は大きい。
八面山は長い山頂部を持っていて、その端が大久保山である。14時28分通過。
ここから一気に下って、「猪のコル」をめざす。このコルから登り返すと鬼ヶ城山である。
鬼ヶ城山は深い樹林に囲まれた山頂であった。
山頂にはいくつかの山頂標識が立てられていて、その中の一つに「アーネストサトウが世界に発信した山」というのがあった。こんなところでアーネストサトウの名前が出てくるとは驚きである。
アーネストサトウというのは、幕末に日本で活躍した英国の外交官である。サトウという名なので日系かと思ったらそうではない。アーネウトサトウは語学の天才だったのかもしれない。難解きわまりない日本語を短期間で習得し、その語学力をもって幕末期の日本で活躍する。なぜ有名かというと、時の重要人物と交流があって、幕末から明治維新にかけての記録を克明に残しているのだ。たしかに、アーネストサトウはこの宇和島も訪れているはずである。
鬼ヶ城山からはひたすら下りである。
今のところで、標準タイムを40分縮めることができた。なんか調子がいい。
「鹿のコル」を目指して下る。途中で巻き道に合流する。そして少し行くと舗装道路に出た。地図で確認すると、少しの区間だがこの舗装道路を行かなければいけないようだ。歩いていくと「天与水」という水場があって、ここで水を補給した。飲んでみたらけっこううまい。
道が大きく右にカーブする左に登山道の入り口があった。
これを下って行くがすぐに尻割山。展望が開けていて、宇和島のリアス式の海が見えた。15時10分になっていた。
さらに急な下りが続く。
植林の林に沿って下って行く。けっこう歩きにくい道であった。
四本松に着いたのは15時41分、ここまでで予定時間を1時間縮めることができた。この調子で行ったら、18時18分の列車に乗れそうである。
四本松からは鋭角に左に曲がって、山の斜面を巻いて行く。
どんどん下る。この区間に「泣き坂」がある。要はすごく急な下りということで、まったくその通りであった。
農道との合流点に着いたのは16時8分。農道というからには、広くて傾斜のない道になると思っていたのだが、期待はみごとに裏切られた。あいかわらず傾斜はきつくて、これでは車は絶対登ってこれないと思ってしまうような道である。その急な農道を走るようにして下って行く。
ようやく登山口に着いたのは16時26分。すごい、1時間半短縮できた。
ここからは宇和島市街の中を歩いて、30分で駅である。
駅に着いたのは16時45分であった。
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滑床バス停

滑床渓谷を行く

雪輪の滝

熊ノコル

三本杭への分岐

三本杭山頂

八面山山頂

大久保山山頂

猪のコル

鬼ヶ城山山頂


林道に出た

尻割山山頂
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