BACK 天狗塚
2007年11月15日
落合峠で夜が明けた。南には天狗塚や三嶺の山並みが聳えている。すばらしい峠の朝である。今日も快晴だ。
出発は7時10分、峠には左右両方に登山道がある。左の道は明日登ろうと思っている烏帽子山への道である。今日は右の道で矢筈山に登るのだ。登山口には矢筈山まで3.0kmという指導標がたっていた。
笹原の広い斜面を登って行くと朝日がようやく射し始めて、笹原が微妙な陰影をもって広がっていた。笹の草原の緩やかな登りから振り返ると明日登るつもりの烏帽子山への尾根が一望できた。けっこう激しいアップダウンが続く山である。
広い斜面を登って行くと、草原の中には巨岩が点々とあって、目標にしていた巨岩のあたりで傾斜は緩やかになった。平坦なススキの尾根を行くと山頂まで2.5kmの指導標がたっていた。まだ500mしか来ていないのだ。
南に連なる天狗塚の山並みを振り返りながら、展望の稜線を歩いて行く。行く手には大きな二つのピークが聳えている。これが矢筈山だと思っていたら、このピークの左奥にあるのが矢筈山なのだ。展望の稜線から潅木の中に入って、それから針葉樹林の中に入った。この林はモミの純木なのだそうだ。このモミの林を緩やかにアップダウンしながら行くと、環境庁の山火事注意の木柱がたっていて、ここから急な登りになった。かなりきつい登りが続いて、ロープも下がっていた。これにすがって急な滑りやすい道を登ってゆく。
歩き始めて1時間、急な登りの向こうに指導標が見えた。これがサガリハゲ山との分岐である。ここで登山道は目の前に聳えている高い山の左側を捲いてしまう。急な斜面のトラバース道を行く。道は日影になっているので凍結していて、所々には雪が残っていた。滑らないように慎重に歩いてゆく。
トラバース道からは行く手に矢筈山が見えてきた。さらに左に広がる山並みを眺めると、石堂山のすぐ近くにある奇岩の御塔岩が見えた。それでその左にあるピークが石堂山だということがわかった。今日はあそこまで歩くのである。
矢筈山への稜線に出ると、東側の展望が広がって黒笠山へ続く尾根が見えた。今日は快晴ですばらしい展望なのだ。
矢筈山への尾根を登って行く。途中岩場があったのだが、道を間違えて岩の上に出てしまった。その先は5mほどの崖になっていて、これをどうして下ったらいいのだろうと思ったら、右に捲き道があったのだ。
急な尾根の登りが続いて、行く手には岩塔が立ちはだかる。このこの岩塔の下を捲くと山頂への最後の急登になる。振り返ると、剣山・次郎笈から三嶺・天狗塚への稜線が一望できる。逆光なのでシルエットでしか見えないのが残念なのだが。ここまで登ってきた尾根道やその奥に烏帽子山が見える。すばらしい展望でなにもいうことはない。
岩塔から5分で山頂に着いた。8時40分であった。
山頂には三角点があって、その横に小さな山名の標識がたっている。その右には指導標があって、石堂山へ2.0km、黒笠山へ3.0kmとかいてあった。黒笠山の方向を眺めると、途中にはいくつもの高いピークが連なっていてかなり険しそうである。石堂山を往復してから、黒笠山も往復しようかとも思っていたが、この稜線をみてやめることにした。
これから向かう石堂山の方を眺めると、ずいぶん下に見える。そして山頂の右に御塔岩が小さく見えた。ともかく、すごく下らなければいけないのは間違いない。標高で比較すると矢筈山1848mに対して石堂山は1636mなので、200mも低いのだ。
矢筈山から石堂山への縦走路に入る。すぐに笹薮の中の急下降になった。笹は膝から腰の高さくらいまであって、道を覆い隠している。足元に注意しながら、この急斜面を下って行く。ようやく傾斜が緩やかになると、ダケカンバがまばらに生える笹薮で、藪コギになった。途中、踏み跡がはっきりしないところがあって、先行きが心配になってしまう。
ダケカンバの痩せた尾根を急下降して行くと、行く手の尾根に白い巨岩が見えた。この巨岩が中間点なのだ。巨岩の下を左に捲くのだが、この斜面も笹薮で、足元がすごく滑りやすかった。回り込んで尾根に戻ったときはほっとした。
行く手には石堂山が同じ高さに聳えているのだが、いったん鞍部までかなり下らなければいけない。ダケカンバの鞍部を行くと、水場の標識がたっていて、左110m先にあるという。帰りに水汲みに立ち寄ろうと思う。
針葉樹の林の中を急登して、樹林から抜け出して笹の急斜面を登ると山頂であった。
山頂から振り返ると矢筈山が高く聳えていて、その山頂へ続く尾根には3つほどのコブが見えた。あの道を下ってきたのかと思いながら眺めていたが、考えてみたら今度はこの急な尾根を登って戻らなければいけないのだ。
山頂から少し進むと、北側の尾根にはオベリスクのような岩塔が見える。私が楽しみにしていた御塔岩である。150mほどなので行って見ることにした。
すぐ下まで行って見上げる。何かしら、四角い積み木を重ねたような岩塔である。この基部には小さな祠が置かれていた。
御塔岩も見たので引き返す。まず鞍部に下って、そこから水場に行った。ところが水量が少ないうえに、なにかしらぬかるんだところにある小さな流れで、とても水汲みをする気にはならなかった。
あとは、ひたすら笹薮の中を矢筈山の向かって登って行く。途中、笹薮のなかで道がわからなくなるところもあった。
矢筈山山頂に着いたら、そこに15人ほどの団体が登ってきたので山頂で休憩することができなくて、そのまま落合峠に下った。途中のサガリハゲ山の分岐でこの山に立ち寄ろうかと思ったが、登山道の踏み跡がかすかで、笹薮に覆われていたので止めにした。
落合峠に戻ったのは12時55分である。
でも、ここから水汲みに行った。ガイドブックには峠から南に下ったところに避難小屋があって、そこに水場があると書いてあったのだが、昨日はそれがどこなのかわからなかった。でも、峠に向かって笹原を下ってきたときに小屋の屋根が見えたのだ。それで水場への道がわかった次第である。
ススキの道を下って行く。丸太で階段をつくっているのだが、それはいたるところで崩れていた。そもそも、ここで避難小屋を使う必要なんてあるんだろうかと思ってしまう。普通は車で峠まできてしまうだろうし、一泊してまで登る山なんてないだろうと思ってしまうのだ。小屋の前にはちゃんと水場があって、持ってきたペットボトル2本に水汲みができた。
小屋は思ったよりしっかりしていた。
峠に戻ったら山頂で会った団体がちょうど下山してきて、峠には小型バスが停まっていた。
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登山口

巨岩が点在する

樅の林を行く

サガリハゲ山分岐

トラバース道には雪があった

矢筈山直下の巨岩

矢筈山山頂

笹藪を行く

巨岩の下を巻く

石堂山山頂

御塔石へ向かう

水場

落合峠に戻った |