2006年冬九州登山
しじきやま

標高347m
阿弥陀寺登山口→15分→志々伎神社→30分→草履置場→10分→志々伎山山頂

志々伎山は平戸島の最南端に聳える山である。標高は400mにも満たないのだが、鋭い岩峰の山なのだ。山頂からは志々伎湾の眺めがすばらしかった。
志々伎山

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2006年1217

昨日は松浦の道の駅に泊まった。でも、ここから登山口までは60kmほどあるのだ。まだ暗い6時半頃に道の駅を出て、志々伎山登山口に向かう。
この山は平戸島にあるのだが、島の一番奥の先っちょに聳えているのだ。
今日の天気は雨である。昨夜も一晩中雨が降っていた。TVの天気予報では、雪がふるところもあると言っていた。ミゾレになったら登山は相当ヤバイ。凍え死んでしまう。
雨であっても、風が強いとこれもヤバイ。濡れた体に風があたると体温を奪ってしまう。しかも、今日登るこの山は山頂部が岩峰なのだ。岩場が凍っていたらどうしようかと思ったりする。当初、標高347mの山と侮っていたのだが、とんでもない状況になってきた。
車を走らせて行くが、雨のため7時を過ぎても明るくならない。雨は止まず、今日は風も強い。どうしようかと思ってしまう。
登山口に着いたのは740分、阿弥陀寺があって、その隣に石の鳥居と参道の石段がある。この神社の参道が登山道なのだ。
車の中で空の様子を見ていると、空が明るくなって雨も止んだようだ。今がチャンスと思って、すぐに登山開始。
石の鳥居をくぐって、樹林の中の暗い参道を登って行く。道は岩盤になっていて、そこに階段のようなステップが刻まれたり、石段がつくられたりしている道である。写真を撮ろうとしても暗すぎてうまく写らない。
怖いのは風の音である。参道をおおう樹林がゴーという音で激しく揺れるのだ。小雨が降ってきたと思ったら、その雨が白い。雹が混じっていた。益々きが重くなる。無事、下山できるだろうかと思ってしまう。
この暗い岩盤に刻まれた参道を15分ほど登ると志々伎神社本殿の前に着く。登山道はその本殿の境内には入らずに、右折して参道を出る。そこには舗装道が通っていて、それを少し歩く。車道の左に登山道がある。階段の道である。すぐに石垣があって、そこに中宮という表示があった。昭和36年頃までは、志々伎神社の社殿はここにあったのだそうだ。今は石垣が残るだけである。石垣の間の階段を登ると、そこは樹林が生い茂って、とても昔をしのぶすべはない。でも茫々とした潅木の中に石灯篭があった。
照葉樹の間の暗い道を行くと急な岩場が現れる。岩盤にステップが刻まれているのだが、昨夜来の雨で濡れている。いかにも滑りそうな道なのだが、太いロープが下がっていた。
このあたりから、ロープが下がる道が続く。
急な岩場をロープで上がると、そこに苔むした岩があって、それに注連縄が張られている。腰掛岩といって、その横に由来をかいた表札がたっていた。
ここから少し上ると、樹林から抜けて視界が開ける。行く手に鋭い岩塔が聳えている。これが志々伎山なのだ。とんでもない山である。登山道はこの絶壁の後に回りこんで登ることになるのだが、益々心配になった。でも、天気はなぜか回復傾向にある。強い風に雲はどんどん流され、時々青空が見えたりするのだ。
再び樹林の中に入るとすぐに「稚児の塔」という標識があった。でも、その付近に塔はみつからなかった。
ロープを手繰っての急な登りが続く。鬱蒼とした樹林の中を行くと、左に踏み跡があって、その先には岩壁の下に置かれた祠があった。
このすぐ先に古い石の標識があって、その横には新しい表札がたっている。「この先下りになるが山頂を迂回してから登るので、そのまま進んでくれ」というものだった。親切な案内である。石標は明治の頃のもので、同じことが書いてあるのだ。
案内のとおり、かなり下ってしまう。それから樹林の中の暗い平坦な道を行く。
山の急な斜面を横切って行くのだが、ロープが張ってあるもののけっこう足場が悪い。
ようやく「草履置き場」に着いた。この山は昔、女人禁制の山だったのだが、男もこの山に登るときはここで履物を脱いで裸足で登山したのだそうだ。今は女性も登るし、登山靴を履いたままでもOKなのだ。
ここで左折して、いよいよ急な岩稜を登ることになる。最初は樹林の中の急登である。太いロープにすがって登って行く。
樹林から抜け出すと露岩の急登で、その向こうには青空が広がっていた。天気が回復してきているのだ。風もこころなしか弱まったような気がする。ラッキー。
露岩の上に出ると素晴らしい展望が広がっていた。真っ青な海と平戸島の島々。真下は絶壁で、その下に白い浪が打ち寄せている。
この痩せた岩稜を登ってゆく。急な登りだと足がすくんでしまうのだが、幸いなことにゆるやかな登りである。痩せたところではロープも張ってある。途中に「かため岩」があった。石の棒が突き出ていて、ここを通るときはこの石を担ぐようにして五体の健康を祈るのだそうだ。私はしなかった。
すぐに背の低い潅木に囲まれた山頂に着いた。そこには石の祠があった。
登ってきた道を振り返ると、そこには志々伎山の影が映っていた。その急峻な形がわかる。
山頂からの360度の眺めは素晴らしいの一語に尽きる。心配していた天気が青空になってしまうなんて、なんて私は幸運なのだ。
…と思って、のんびりしようとしていたら、天気が急変。また雨が降り出した。すぐに下山することにした。
せっせと下って、志々伎神社に戻ったのは920分。本殿に立ち寄った。狛犬の形が面白かった。
参道を下って行くと、右に四国八十八箇所の案内があった。鳥居の隣にあった阿弥陀寺は天台宗のお寺なのだ。この道を下ると、道の両脇には八十八の石仏が並んでいる。四国の遍路をして以来、八十八箇所にはすぐに寄ってみたくなるのだ。けっこう趣きのある石仏が多かった。
車の前に戻ったのは940分である。


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登山口の志々伎神社鳥居


岩盤の道を登る


志々伎山神社


中宮跡


腰掛岩


登山道から志々伎山の岩塔


ここから道は下りで迂回するという標識


草履置き場


草履置き場からはすさまじい急登


かため岩


岩尾根から山頂


志々伎山山頂





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