2006年冬九州登山
おおしょうじいわ

標高 1451m
健男神社→2:00→露岩→1:00→前障子→1:20→大障子岩山頂→1:10→前障子→40分→露岩→1:20→健男神社

祖母山の北尾根にある山なので、そんなに期待してなかったのだが、これは本当にすばらしい山だった。岩峰が連続する険しい道を越えて山頂に着くと、そこからは祖母山のすばらしい眺めが広がっていた。絶対お薦め山である。
前障子から大障子岩

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2006年126

健男神社の参道を上って行く。杉の巨木が立ち並ぶ鬱蒼した参道である。なにかしら歴史を感じさせる神社で、この高千穂付近は神話のメッカで、高千穂には天の岩戸神社があるし、近くには天の香山もあるのだ。ニニギノ尊が高天原から天下ったのは高千穂の峰という説と、この高千穂という説があるのだ。高千穂付近は祖母山や傾山など岩峰の山が多く、いかにも神が天下るには相応しいような気がするのだ。
参道の石段を登って行くと右に駐車場がある。
この駐車場に入ってくる道を行くと登山口の標識があって、そこに登山ポストが置かれていた。今回は登山届けをちゃんと書くことにする。今日登る大障子岩は祖母山から東北東に伸びる岩峰の尾根に聳える山なのだ。すさまじく険しい山で、往復8時間ほどかかる。今回の登山旅行でもっとも困難な山だと思っている。私は岩登りの正式な訓練を受けたことがないので、岩場の山となるとどうしても不安でたまらないのだ。ドキドキしながらこの登山に望んでいるのだ。
登山ポストからは民家の庭先をかすめて、杉の林の中に入る。すぐに小さな沢を渡るのだが、壊れかけた橋がかかっていた。
杉林に入ると看板がたっていて、ピンクのテープは地質調査用のもので、これを間違えて遭難したケースがあったので注意せよとかいてあった。確かに紛らわしい。
杉の林の中では踏み跡がけっこう錯綜しているのだが、指導標が丁寧にたてられていて迷うことはなかった。これだけ指導標がしっかりしているなら、岩場の道もしっかり整備されているだろうと、すこし安心した。
鬱蒼とした杉林の中の登りは斜面を直登してゆく道で、ものすごく急である。これはきつい。
尾根の直下ではジグザグをきって、ようやく傾斜が緩やかになると杉林から抜け出す。尾根に着くと照葉樹の中の道で、ずうっと落葉した梢だけを見ていたので、濃い緑の中を行くのは気持ちがいい。
巨岩が現れ始め、気を引き締める。山腹をトラバースしてゆくのだが、道幅が狭くて、しかも谷側は急峻である。
登山口から50分ほどで小さな沢の流れを渡った。水がチョロチョロと流れていて、その水はすごく澄んできれいである。
ここから少し上ると再び沢があった。こっちの沢は大きい。この沢の巨岩を越えて向こう岸に渡る。ガイドブックには増水時には徒渉不可とかかれている沢である。今は小さな流れがあるだけでまったく問題がない。
この沢を渡るとすさまじく急な登りになった。今までもけっこうきつい登りだったのだが、さらに険しくなったという感じである。照葉樹林の鬱蒼とした中を登ってゆく。巨岩があちこちに聳え、その基部を回り込んだりして登ってゆく。松の巨木の間を急登してようやく樹林から抜け出すと尾根の上に出た。
傾斜が緩やかになって、少し行くと露岩のピークに着く。
そこには地籍図根三角点という標識があって、白い棒が立っていた。展望はすばらしい。行く手には祖母山の切り立った稜線が見える。この大障子尾根からは祖母山まで縦走できるのだが、この岩峰の連なる尾根を縦走するのはいかにも大変そうだ。その手前にはにはこれから登る大障子岩の三つの鋭い峰が見える。この岩峰の一番奥の鋭鋒が大障子岩なのだ。いかにも険しそうだ。
大障子の手前には前障子岩がある。これは樹林の向こうに見えるのだが、すさまじく尖った峰である。あれをまず越えなければいけないのかと思うと、気が重くなってしまう。
北の方向には九重連山が聳えていて、硫黄山の上げる白煙が小さく見える。その右に聳える山は由布岳だ。由布岳は双耳峰なのだが、ここから見ると一つである。その右に一段低い山塊は鶴見岳だ。今日は快晴ですばらしい眺めだ。
いつまでもこの素晴らしいな展望を眺めていたいのだが、のんびりしてはおられない。この山は往復で8時間ほどかかるので、急がないと日が暮れてしまう。
潅木の尾根を行く。ゆるやかな下りが続き、前障子岩が近づいてくる。いかにも険しそうだ。尾根が岩場になると前障子の登り口に着く。分岐になっていて、左が祖母山の縦走路だ。
右の道を進む。すぐに露岩のナイフリッジであった。これはすごい。こんなのを上るのかと思ってしまう。普通なら鎖が下がっていてもおかしくないのだが、それはない。フリーハンドでこのナイフリッジを登れということなのだ。今日は天気がよくて、岩も乾いているので滑るということはない。慎重に登る。ナイフリッジはそんなに長い区間ではないのだが、通過し終えたときは本当にほっとした。これを下ることだけはしたくないと思った。
急な岩場を登って、ようやく平坦になるが、頂稜部は細長くて向こうにもう一つピークが見えた。これが前障子岩の山頂である。
山頂に着いたのは1020分である。山頂は樹林に囲まれて視界はふさがれているのだが、少し奥に行くと絶壁の上に出て、すばらしい展望台になっていた。行く手に聳える三つの鋭鋒を持つ大障子岩、そしてその奥に祖母山。祖母山の右には阿蘇山が見える。そして北には九重連山と由布岳。すばらしいとしかいいようがない。
眺めに感動していたが、はたと気がついた。前障子岩から祖母山側に下る道がないのだ。今、展望している絶壁で行き止まりなのだ。げっ、戻ってあのナイフリッジを下るのか。ため息が出てしまった。
ナイフリッジの下りは予想以上に怖くて、足が震えた。
ようやく下に着いたときは、助かった…と思った。
ここからは前障子岩の岩壁の基部を捲いて行くのだ。
尾根は落葉樹林になったり照葉樹林になったりで、この木々の間を歩いて行くのはけっこう楽しいのだ。
行く手に大障子岩の峰が大きく迫ってくる。でもその手前にもう一つ、岩峰が聳えているのが見える。越える峰が4つになった。
尾根は一旦下る。巨岩が聳える基部に出て、そこから岩峰を左から回り込んで登って行く。日陰の道を急登するのだが、巨岩にはつららは下がっていた。九州とはいえ、12月の日陰は寒いのだ。
急な岩場の道を登って、ようやく稜線に出る。もしかしたら三つの峰のうちのT峰とU峰の間に出たのだろうかと甘い考えを持ったが間違いで、行く手には3つの峰が見える。手前の岩峰を越えただけなのだ。
少しのあいだ、平坦な稜線の道を行くがすぐに巨大な岩峰が立ちふさがる。これを左から捲いて急な岩場を登る。両手をフルにつかって、木の枝や岩につかまって登って行くのだ。ようやくT峰とU峰の鞍部に登り着く。

今度はU峰を越えなければいけない。これは右から回り込んで行くのだ。急な岩場の登りが続く。樹林の中の登りなので、高度感はないのだが、それでも険しいことにはかわりがない。ようやく鞍部に着く。振り返るとU峰には巨岩がそそり立ち、その上に松が見えた。
さて最後のV峰が大障子岩山頂である。目の前に聳えるV峰はいかにも大きく高い。
左から回り込んで痩せた尾根の上に出て、さらにこの痩せ尾根を急登する。尾根を右に捲いたり左に巻いたりして急登するのだ。
ようやく傾斜が緩やかになると樹林の中に山頂標識がたっていた。125分であった。岩峰の基部から登り始めて30分しかたっていない。1時間ほど登り続けていたような気がした。
山頂から北に少し行くと絶壁の上に出て、ここからは祖母山の眺めがすばらしい。この大障子尾根が祖母山まで続いていて、高く聳える祖母山は絶壁を持つ鋭い峰なのだ。
さらに周囲を見回すと阿蘇山、九重山、由布岳、どれも青空のもとにくっきりと聳えている。来た道を振り返ると、前障子岩が稜線の上に坊主頭のような岩峰を見せていた。あの頂きに登ったのだ。大満足。

山頂で休憩。困ったことに腰が痛い。昨日、寝違えたのだろうか。腰掛けるとズキンとする。
山頂を後にしたのは1235分、ひたすら来た道を引き返すだけなのだが、腰が痛いこともあって息があがっている。歩行時間が長いというのもあるのだが、つらい下山になった。
登山口に戻ったのは1545分である。そこから正面に鋭い岩峰を連ねた山が見える。夕日があたってすばらしく立派な山である。地図で調べたら傾山であった。最後に傾山のすばらしい眺めと会えた。
健男神社の本殿に寄って、車の前に着く。明日は緩木岳に登るつもりだが、天気は、崩れるはずである。3時間20分の山なので雨でも登ってしまうつもりで登山口に向かった。


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健男神社


登山ポスト、ここから民家の間を抜ける


杉林の中を急登する


杉林から抜け出す


沢の流れを渡る


巨岩が点在する尾根を行く


地籍図根三角点のある展望所


潅木の稜線を行く


前障子岩


前障子岩山頂


大障子岩への稜線歩き


日陰にはつららが下がっていた


岩峰を3つ越えるのだ


岩場の痩せ尾根を行く


U峰を振り返る


大障子岩山頂





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