BACK 乗鞍岳
2012年10月7日
ほとんど無名であっても、個人的にどうにも気になってしかたがないという山はあるもので、私にとっては、この守屋山がそうなのだ。
私の書斎の書架にはたくさんの登山ガイドブックが並んでいるのだが、その中にすごく古い南アルプスのガイドブックがある。昭和51年発行、山と渓谷社刊白籏史郎著「アルペンガイド32南アルプス」である。20代の頃、私は南アルプスにはまっていて、この本を手にとっては重厚に連なる山々に思いを馳せていたのだ。今も、時々この本を手にする。当時のガイドブックは、今のようにカラー写真を多用して文章がほんの少しというものではなくて、三段組で文章がびっしりと書かれていたのだ。文章を読むと、その山のことを想像して、ワクワクしてしまうのだ。
それで、この本で最初に紹介している山が守屋山なのだ。本を手にしてページをめくると守屋山が目にはいるわけで、いつか機会があったら登りたいと思っていたのである。
昨日は乗鞍岳から上高地線を走って松本に至り、松本に来たら必ず立ち寄る「とりでん」でラーメンを食べて、それから塩尻の道の駅「小坂田公園」に泊まった。
今日登る守屋山は往復4時間足らずの行程なので、出発は比較的ゆっくり。塩尻峠を越えて岡谷に入り、そこから国道20号線を離れて諏訪湖西岸を走って茅野に向かう。茅野から高遠に向かう国道152号線に入って、登山口のある杖突峠に着いたのは10時であった。ここには広い駐車場があるのだが、神社のような高床の不思議な建物が3棟並んでいた。駐車場にはけっこ車が停まっていて、身支度をしている間にも登山者がやってきたりする。人気がある山なのだ。
駐車場から林道が奥に続いていて、すぐ先、左に守屋山登山道の標識がたっていた。
笹原を踏み固めたような、本当にこれでいいのかと心配になる道なのだが、少し行くと広いしっかりした道になった。傾斜はほとんどなくて、平坦な歩きが続く。登山道の左には舗装された林道が続いていて、やがてこの道を横切って左に入る。カラ松林を行くと、樹林の中に遊牧民が使うゲルがたっていた。屋根には枯れ葉が厚く積もっていて、放置されて久しいようだ。これはいったい何なのだろう。
さらに平坦なカラ松林を行く。林にはツタがからまって、それが鮮やかに紅葉していた。
登山口から35分ほど歩いたところで、登山道は林道に下る。この林道を横切ったところに守屋山座禅草コースの指導標があった。守屋山近道とも書いてあるのでこの道を行く。カラ松林を緩やかに下ると木道になった。このあたりは湿原になっていて、早春には座禅草が咲くらしい。でも今は晩秋なので座禅草を見ることはできない。
緩やかに登ると、登山者達が休憩している園地に着いた。ここが「分杭平(ぶんくいだいら)」で、避難小屋や水場があるのだ。園地の入口には守屋山登山道入口という大きな木柱がたっていた。カラ松の林なのだが、草地の広場になっていて、ベンチやテーブルが置かれ、キャンプ場のようである。避難小屋の中を覗いたが、あまりきれいではなかった。
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