BACK 奥茶臼岳
2006年10月20日
林道の終点に駐車場がある。そこからは目の前に大崩落ちが聳えているのが見える。
この崩落地が青崩で、登山道はこの崩落帯の上に続く尾根につけられているのだ。すごいと思ってしまう。
駐車場から少し引き返すと登山口がある。
出発は6時27分、すぐに階段の道が始まる。この道が旧秋葉街道で、今は青崩遊歩道としてきれいに整備されているのだ。整備されるのはいいのだが階段の道で、これがけっこう歩きにくくて疲れてしまうのだ。
10分ほど行くと神社があった。鳥居が傾いてしまった小さな神社で、額には青崩神社と書かれていた。これから越える峠が青崩峠である。
遊歩道の途中の樹木の幹には名札がつけられて自然観察林になっていた。私は木や花の名前がほとんどわからななくて、その都度、覚えようと思うのだがすぐ忘れてしまうのだ。情けない。
東屋を左に見て、少し急な道を登ると三体の石仏がたつ青崩峠に着いた。
説明板によると、秋葉街道は信州諏訪大社と遠州秋葉神社を結ぶ往還で、この峠は長野県と静岡県の県境なのだ。このあたりは地質学でいう中央構造線(フォッサマグナ)にあるため崩落が絶えないという。その大崩落帯が青崩れである。
峠からすぐに登山道になるのではなくて、しばらくは遊歩道が続く。道の右は大崩落地で、その縁を登って行くのだ。見下ろすと足がすくんでしまうような大絶壁である。遥か下に私の車が見えた。仰ぎ見るとこれから登ってゆく青崩の頭が大きく聳えている。
ガイドブックにはすごい登りが続くと書いてあったのだが、右の絶壁は怖いものの、いうほどのきつさはない。これならラクなものだと登って行ったのだが、小さな伐採地を過ぎたらすごい登りになった。もう遊歩道ではなく完全に山道である。両手フル稼動で木の枝や根につかまって登って行く。ロープも下がっていた。最後に笹薮の間を急登すると広場に着く。地図にある1433mピークで、電波反射板の鉄塔が立っている。7時40分になっていた。
ここから傾斜は緩やかになるんだろうと期待していたのだが、あいかわらず急な登りが続く。でも、紅葉が見られるようになった。今日の天気は曇りで、輝くような鮮やかさではないのだが、あちこちにはっとするような赤い樹木があって目を楽しませてくれる。
ところどころで尾根が狭まって、両側が切れ落ちた道になったりする。絶壁となって聳えている箇所は右に捲いてしまったのだが、かなり険しい山なのだ。
途中から風が強くなった。ゴウゴウと木々が揺れる。天気が変わる前兆だろうかと思うと心細くなってしまった。
(でも、この強い風は山頂に着くころには収まった。)
左からの尾根が合流するところで道は右に折れる。ここから傾斜は緩やかになった。あとは緩やかなアップダウンを繰り返して山頂に向かうのだ。
この途中で「火の用心 中越パルプ社有地」の標識を見た。この山は国有林ではなくて私有地なのだのだ。そして、登山道の道端には三角点に似た小さな石柱が所々にたっている。これが県境の標識である。
紅葉を楽しみながら樹林の中をアップダウンして、山頂に着いたのは8時半であった。
右手が開けていて、南アルプスの南部の山々を眺めることができるのだ。でも、今日は曇りのため南アルプスの山々は青いシルエットでしか見ることはできなくて、山名の特定はできなかった。
熊伏山山頂の三角点は一等三角点であった。私にはどのようにして三角点の等級が決められているのかわからないのだが、一等なんだからすごいんだろうと単純に感心してしまった。
山頂には20分いて下山。この麓の南信濃村には「かぐらの湯」という温泉があって、以前、池口岳に登ったとき立ち寄ったことがある。この温泉でのんびりしようと思っているのだ。
アップダウンを繰り返し、尾根の合流点から左に折れて下って行く。この下りは登ってきたとき感じた以上にすごく急であった。
反射板の立つ広場に着くと、その端に展望が開けたところがあって、南アルプスの一部がみえる。木の幹に、展望できる山の名前を書いた木片が打ちつけられていた。それによると見えているのは聖、兎、大沢岳なのだ。
あとは急な道をひたすら下って、車の前に戻ったのは10時であった。時間が有り余ってしまった。
お腹が空いたので、車の横に椅子・テーブルを出してラーメンを作って食べていたら、所沢ナンバーの車がやってきた。それは登山者で、平日で登山者に会ったのは久しぶりである。ここ数日は山で人に会っていなかったので、仲間がいて少しうれしかった。
かぐらの湯には3時間以上いた。新しくて広い温泉ですごく気持ちがよかった。
身も心もさっぱりして、元気に車をスタートさせたのだが、浜松方面への道は5時まで通行止めであった。仕方がないので道の駅に引き返して、読書をして時間をつぶした。
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林道終点の駐車場

登山口

青崩神社

東屋がある

青崩峠

尾根から青崩れの頭

ロープにすがって急登する

反射板がたつ1433mピーク

県境の標識

熊伏山一等三角点
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