杉林の急斜面を登って行く。腰が痛くて、時々立ち止まって足を休めなければいけなかった。雄滝を越えたところに「山頂まで1.5km」の指導標があった。急な登りを終えると自然林の登りになって、すぐに緩やかなトラバース道になった。左はきれいな渓流である。流れを再び渡る。このすぐ上はY字の滝がかかっていた。
再び杉林の急斜面を登って行くと「千ヶ峰へあと60分」という杉原谷小学校のたてた指導標があって、左折する。ここで沢から離れて、杉の林の中を急登するのだ。これはすさまじい登りの連続であった。木の根の張り出した急斜面が続き、あまり急なところには虎縞のロープが張ってあった。これにすがって登って行くと、今度は階段の登りが待っていた。急斜面につけられた階段はほとんど崩れかけていた。
この急な登りを、痛い足を引きずりながら何とか登って、ようやく傾斜が緩やかになると岩座神コースとの出合であった。ここには山頂まで862mという標識がたっていた。この1m単位の緻密な距離はどうして計ってるんだと不思議に思ってしまった。
ここで少し休憩した。ちっとも腰の痛みはよくならない。昨日までは30分も歩くと痛みが治まったのだが。
ここからはきれいな自然林の緩やかな登りであった。ほっと一息つける区間である。
山頂まで20分の指導標が現れると、道には背の高い笹が目立つようになった。樹林が途切れて展望が広がったりする。
やっとラクになったと喜んでいたら、とつぜん急登が始まった。雄滝からの登りもすごいと思っていたのだが、この登りは半端ではなかった。土の急斜面でロープも張ってある。これを必死で登って行く。道の両側は笹藪になった。山頂周辺には笹の草原が広がっているというから、山頂は近いと喜んだのだが、急登は延々と続くのだ。
いつのまにか樹林から抜け出していて、振り返るとすばらしい眺めが広がっていた。
道には崩れかけた階段が続いていて、この横を登って行く。階段を登るには段差がきついのだ。ロープの下がる急斜面を登り切ると、ようやく傾斜が緩まって、山頂はすぐであった。
山頂到着は13時25分であった。2時間かけて登ってきたことになる。標準タイムが1時間半なのだが、腰が痛くて足を引きずりながら登ってきたのだから仕方がない。
山頂には新しい樹脂のベンチが置かれていて、夫婦連れが休んでいた。展望は最高、360度の展望が広がっている。山頂広場の奥の少し高いところに石柱が立っている。南無妙法蓮華経と刻まれていて、その下に二等三角点が置かれていた。新しい三角点であった。
この石柱からさらに登山道は続いている。山頂にたつ案内板によると笠形山・千ヶ峰縦走コースのようである。私は明日、笠形山に登るつもりなのだ。縦走コースの稜線を目で追ってみたが、遠くに霞んで見えるのが笠形山のようである。
私が山頂をウロウロしている間に夫婦の登山者は市原峠に下って行った。私も市原峠を往復しようと思っていたのだが、腰が痛くてこれはパスするしかなかった。ガイドブックには、市原峠への道は広大な笹原を行くと書いてあるのだが、上から見る限り、そんな感じではなかった。
帰りは1時間もあったら登山口に戻れると思うので、しばらくベンチで横になっていた。うつらうつらしていたのだが、目を覚ましたらもう14時半になっていた。
山頂から急な道を下って行く。
岩座神コース出合には30分で下ってしまった。
雄滝と雌滝については、かすかな踏み跡をたどって、近くまで行って写真を撮った。登山口に戻ったのは15時35分である。
結局、ずうっと腰が痛かった。
今夜一晩寝て、明日の状態によって登山旅行を続けるかどうか決めることにした。
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