BACK 近つ飛鳥散策
2008年11月29日
この5日間は観光をしていたのだが、今日は天気がいいはずなので登山をする。
昨日は道の駅菰野に泊まったのだが、ここから登山口までは10kmもない。車を走らせて行くと湯の山温泉の温泉街に入ってた。ここは温泉地ということの他に御在所岳のロープウェイ駅があるので、ほとんど観光地といっていい。だから温泉街の中にある駐車場はすべて有料なのだ。でも、温泉街を過ぎて山の中にどんどん上がって行くと、道が大きくカーブするところに駐車スペースがある。ここに車を停めて身支度をする。
歩き始めたのは8時22分であった。今日登ろうとしている鎌ヶ岳の標高は1161m、雪はないと思うのだが、心配なので軽アイゼンも持って行くことにした。
鎌ヶ岳へは三岳寺から馬の背尾根を登って、帰りは長石谷を下るつもりである。三岳寺へは湯の山温泉に向かって少し引き返さなければいけない。急な車道を下って行くと、東海自然歩道の標識があった。懐かしい。
そこから右の道に入って200mほど行くと、お寺の寺務所があった。本堂などは見えないのだが、ともかく目の前の階段を上がって行く。
この階段は山中には点在する観音石仏を巡る道なのである。石仏の横には「第15番 那智山観音寺 十一面観世音菩薩」という風な標識がたっている。これは西国三十三観音なのかもしれない。
それにしても急な登りが続く。
6分ほど登ると、展望が開けて小さな展望テラスがあった。そこからは御在所岳を目の前に仰ぎ見ることができる。ロープウェイの赤いゴンドラが行き交っているのが見える。山頂には大きなロープウェイ駅が見えて、ちょっと興ざめ。
ここからが登山道である。気を引き締めて歩き始める。
深い樹林の中を登って行く。最初はすごく急な登りでこの先どうなるんだと心配になったが、すぐに緩やかな尾根になった。痩せた尾根は白い砂礫に覆われていて、ザラザラの道なので下りは滑りそうで怖い。
林はすべて自然林で、ブナの若い木の林が続く気持ちのいい尾根道である。尾根に沿ってアップダウンを繰り返す。林の中を行くので展望はないのだが、時々、樹林がとぎれて展望が広がる。御在所岳が大きい。そして行く手に鋭い三角峰の鎌ヶ岳が見えたりする。すごく遠くに聳えている。登山口からの標高差は700mほどなのだが、けっこう距離があるのだ。長い尾根歩きを続けるしかないのだ。
尾根は途中で極端に狭くなったり、すごく急な登りになったりする。そして時々、白い砂礫の道になったりするのだ。
登山口から1時間20分ほど来たところで、突然、小さな標識があった。右に下る踏み跡があって、「犬星の滝
長石谷ルート」と書いてある。これが下山路で使う道かと地図で確認したら違っていた。私のガイドブックには書いていないルートである。
下って行く道ははっきりとした道なのだが、ここから眺める尾根の道は踏み跡程度にしか見えない。心配になってしまった。
急な登りになったが、思ったより道ははっきりしている。でも、大きな岩が点在するようになった。ようやく傾斜が緩まってピークに立つと、行く手に鎌ヶ岳が大きく聳えている。でも、私が登っている尾根は鎌ヶ岳には続いていなくて、その左後ろの三角峰に続いている。鎌ヶ岳って目の前の大きな山ではないのかと心配になった。地図で確認したら岳峠まで登ってから右折して山頂に至るのだ。だからやっぱり目の前の山が鎌ヶ岳なのだ。
さらに、これから登って行く尾根を眺めると、途中にすさまじい巨岩がそびえ立つ斜面がある。いったい何ナノだと思ってしまう。まさか、この岩峰群の中を登るのでないだろうなと思って歩いて行ったら白い砂礫の痩せ尾根になって、そこにあった標識には、鎌ヶ岳方面の下に落石注意と書いてあった。この標識を過ぎたとたんに岩場の急登になった。イヤな予感の通り、あの岩峰群の中を登って行くのだ。
ピークに登り着く。足下がおぼつかない場所ではあるが、振り返ると御在所岳の眺めがすばらしい。
この白い砂礫と岩峰群から樹林の急な道に入ると、そこに指導標がたっていて、「白ハゲ」と書かれていた。
その先はほとんど平坦な尾根道になった。ブナの若い林の中を歩いて行く。笹の広い尾根を過ぎると、突然右から合流してくる道があった。これはカズラ谷を通って宮妻口に至る道なのだ。でも、不思議だったのは、私が登ってきた道は雲母峰と書かれていたことである。
この先も痩せた尾根を登って行くのだが、深くえぐれた溝の道になった。尾根の右に見える鎌ヶ岳の様相はいつのまにか一変していて、山全体が巨岩に覆われていた。こんな岩だらけの山に登るのかと絶句してしまう。
ようやく溝から抜け出してピークに着いたと思ったら、今度は尾根上から右に外れて斜面を斜めに下って行くのだ。背の高い笹藪になった。この笹藪を掻き分けて下って行って、それから笹藪のトンネルの中を登る。笹藪から抜け出したら、そこが岳峠であった。稜線を左に行くと水沢峠で右が鎌ヶ岳である。これが鈴鹿連峰の縦走路ということになる。私は鈴鹿連峰の全山縦走の計画も持っているのだが、どの季節に実行するべきか悩んでいる。夏がいいのだろうが、鈴鹿の沢筋にはヒルが多いのだ。霊仙に登ってひどい目にあった。でも、いつか実行するつもりである。
背の高い笹藪の間を少し行くと展望が開けて、目の前には岩の絶壁が聳え立っている。これが鎌ヶ岳である。この岩壁をどうして登るんだと思ったら、登山道は右にトラバースして行くのだ。岩の道を登って、小さな峰との鞍部に着くと、そこで左折して山頂に向かって登って行く。ここからはすさまじい岩場の登りである。
上から話し声が聞こえてきて、鎖場を登ると山頂であった。山頂には登山者が5人ほど休憩していた。今日は土曜日なのである。
この山頂の右奥に祠があった。さらに道が続いているので行って見ると、大きなケルンがあって、そこにも鎌ヶ岳と書いた標識がたっていた。
ここからは御在所岳の眺めがすばらしい。さらに目を転じると左(西)にも立派な山が聳えていた。何という山だろうと考えてしまった。
最初の山頂に戻って休憩した。暖かいコーヒーがうまかった。
目の目には南に連なる尾根を眺めることができる。これが鈴鹿連峰の縦走路である。でも、その尾根はまるで鋸の歯のようで、露岩も見えていかにも険しそうである。全山縦走をするときはよっぽど覚悟を決める必要がありそうである。
さて、下山を始める。長石谷を下るつもりなのだが、登ってくるときその下山口には気がつかなかった。ガイドブックでは岳峠から下ると書いてあるのだが、峠にそんな道はなかったはずだ。
心配しながら下って行くと、峠への笹藪に入る手前に、長石谷と書かれた標識があった。これが下山路のようである。ちゃんと指導標があるのだからしっかりした道なのだろうと思う。でも、地元の登山者の話しを訊いたところでは、今年の9月の豪雨で沢はかなり荒れていて、登山口近くに架かっていた鉄橋は流されてしまっているという。ちょっと心配である、というよりはすごく不安である。大丈夫だろうかと、ドキドキしながら下って行った。
岩がゴロゴロする中の急下降が続く。でも、道はしっかりしているので安心である。どんどん下って行くと日陰に入ってしまって、そして行く手にははっきりとした沢筋が見えてきた。道はその沢の中にまっすぐに入って行く。
岩が累々としていて、それを越えて下って行くのだ。最初は涸れ沢だったのだが、下るにつれて、小さな流れが現れた。沢のせせらぎを聞きながら下って行く。
水量はどんどん増えてきて、その流れの徒渉を繰り返すようになる。沢の両側には絶壁があったりして、それを避けながら徒渉してゆくのだ。
時々、道を間違えて崖の上に出て降りれなくて引き返したりした。ルートにはペンキ印やリボンが下がっているのだが、古いテープやペンキ印をあてにすると、行く止まりになったりするのだ。
沢は美しい渓谷になって、小さな滝を作ったりしている。こんな沢歩きは好きなのだ。
55分ほど下ると、道の脇に杉の木が三本生えていて、そのすぐ先に犬星の大滝という標識があった。左側から沢が合流してきているのだが、それが滝であった。
私は滝が大好きなので、この大滝を見に行った。
荒れた岩壁をレースのように流れ落ちる滝であった。
この先は、沢がナメ滝になっているところが多くて、すばらしくきれいであった。でも、水量が多くなった分、徒渉が大変になった。右に左に渡り返して下って行く。
沢の左にちゃんとした登山道が現れて、これを歩いて行くと広い河原に降り着いた。その河原を行くと砂防ダムがあって、この堰堤の左を越えて、さらに樹林の中の道を下って行く。再び、大きな砂防ダムが見えてきて、この手前の河原に降りたが、その先に道はなかった。どこかで道を間違えたのだ。この砂防ダムからは行く手に林道が見える。登山口は近いようである。急な斜面を登り返して、正しい道を下る。河原に降りたって振り返ると、さっき行止りになった砂防ダムが高く聳えていた。この河原を行くと左からの大きな沢と合流して、これを徒渉する。ここには鉄の橋が架かっていたのだが流されたのだという。徒渉してから振り返ってみると、徒渉点の少し下に赤くさび付いた橋の残骸が横たわっていた。
徒渉するとすぐに車道に出て、ここが長石谷登山口であった。
あとは車道を5分ほど歩いたら、車の前に着いてしまった。
久しぶりに緊張させられた、楽しい登山であった。
車を走らせて行くが、ここは湯ノ山温泉である。せっかく温泉にきたのだから、温泉に入らなければ。温泉でのんびり汗をながした。いい湯だった。
今日は再び、昨日と同じマクドで22時ころまでパソコン入力をして、それから隣のマックスバリューで買い物をした。泊まったのは昨日と同じ道の駅である。連泊してしまった。
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三岳寺に着く

展望台からは御在所岳が見えた

展望台の前から登山道が始まる

白い砂礫の尾根を行く

犬星の滝の分岐

鎌ヶ岳山頂への尾根

この尾根を過ぎると白ハゲ

白ハゲの登り

カズラ谷分岐

笹藪を登って岳峠に着く

鎖場を登って山頂へ

鎌ヶ岳山頂

山頂の神社

長石谷への降り口

長石谷

沢では巨岩を越えたりする

二つ目の砂防ダムを振り返る

流された鉄橋の残骸

長石谷登山口 |