ほとんど平坦な縦走路を行く。笹と薄の原に道は続いていて、そのなかに松の木がたっている。5分ほど行くと、稜線は右に曲がる。その先には丸い山が聳えていて、登山道はこの山頂に向かって続いている。
ススキと笹原の広い尾根を緩やかに下って行く。鞍部には林があって、紅葉の木もあった。
笹原を切り開いた急な斜面を登って行く。紅葉の林を抜けると笹原の山頂に着く。でも、このピークには指導標がたっているだけで山名標識はなかった。振り返ると雲がかかり始めた達磨ヶ峰が見えた。このピークから段ヶ峰までは115分である。
この先はブナなどの林の尾根が続き、きれいな紅葉も見ることができる。アップダウンを繰り返して行くと、右は杉の植林になった。自然林と杉林の境界を歩いて行くと、道の右にネットの柵が現れた。ここからは急な下りになって、行く手には大きな山が横たわっているのが見える。ネットの柵に沿って下り、鞍部では鬱蒼とした杉林に入ってしまった。その入口には白い角柱がたっていて、「最低コル
段ヶ峰85分」と書かれていた。
鬱蒼とした林からはすぐに抜け出したが、その先は急登である。ネットの柵の沿って急登すると道の両側はアセビの叢になった。アセビの森に続く広い道を登って行くと、傾斜が緩まって、広大な草原になった。さらに進むと、ほとんど平坦になって、山の上とは思えない大草原を歩いて行く。行く手に大きな岩が見えてきたので、これが山頂かと思ったが、ただの巨岩であった。
笹の大草原にはツツジの木が点在していて、春にはさぞやきれいなのだろうと思う。霧が流れて行く手を霞ませてしまう。
巨岩から3分ほど平原を歩くと、ぽつんと指導標がたっているのが見えた。ここがフトウヶ峰山頂であった。もちろん大草原のただ中に指導標がたっているだけで、盛り上がっているとかの山頂らしさはないのだ。ここから段ヶ峰山頂までは45分となっていた。
平原を歩いて行くと、すぐに緩やかな下りになって、林の中に入って行く。鞍部は湿地で小さな流れがあった。この泥濘を渡って、杉林を緩やかに登ると、再び笹原の広い尾根になる。この尾根には松の木が多く生えていた。
松や灌木が多くなった道を行くと、アンテナのポールが高くたっているのが見えてきた。これが段ヶ峰山頂かとおもったのだが、登山道はこの左を通過してしまった。ただのアンテナで山頂とはなんの関係もないのだ。
霧の中を歩いているのだが、右下が見えるようになって、下には深い谷が見える。そのV字の谷は鮮やかな紅葉に埋められていた。晴れていたらすばらしくきれいなのだろうと思う。
笹原の広い尾根は緩やかに左にカーブして、その先に、山頂らしいなだらかなピークが見えてきた。
緩やかに登って行くと、ピークの手前に指導標がたっている。右に踏み跡があるので、少し上がると、そこに三角点があった。二等三角点で、ここが段ヶ峰の長い稜線の最高点なのである。
ここから山頂はすぐであった。松の木があって、そこに山名の標識がたっている。ガイドブックでは360度の展望と書いてあるのだが、霧で何も見えなかった。時間を確認したら13時22分であった。これなら暗くなる前に戻れそうである。
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