8月11日
朝、うつらうつらしていたら、突然地震。ラジオをつけたら、静岡の沖が震源だという。台風で洪水・土砂崩れが多発しているのに、その上地震かよ…と思ってしまう。
暗い中で起き出して、パッキングを始めた。このお堂には三連泊することになって、すごくお世話になった。お堂の中に並ぶ神像や仏像に手を合わせてお礼をいった。
外は霧雨である。雨具で完全武装して出発。時間は6時半であった。
二日間も停滞したので、すりむけていた足指の皮がかぶさって、歩いてもあまり痛くない。停滞は十分意義があったということだ。
すぐに樹林の中の登りになった。15分ほどで指導標のたつ分岐に着く。ここから左に行くと大日岳山頂である。雨で岩場が濡れていて危険なような気がするが、この山は「大峰山奥駈け75靡」の35番靡なので、頂きを踏まずに通過することはできない。
山頂までは長大なスラブを鎖にすがって登るのが修験道の正当なコースらしいが、私は軟弱なので捲き道を登ることとにした。
林の中を登って行くが道がはっきりしない。少し下って鞍部に着く。ここから尾根をたどったら鎖場の登りになるのだが、捲き道は右を行くのだ。樹林の間から鋭く聳える岩峰を見ることができた。これに登のか…とため息が出てしまう。
樹林の中の急登になった。捲き道なのにけっこう岩場があって、これを必死に登って行く。ほとんど垂直と感じてしまう岩場を登って、ようやく大日如来の安置された山頂に着いた。林に囲まれていて展望はない。それにすごく狭い山頂である。自分を入れた記念写真を撮ることはできなくて、大日如来だけを撮って下山した。
分岐に戻ってきたのは7時15分、往復30分の登山であった。
尾根の右をトラバースするように10分ほど行くと、尾根の上に出て、そこには「これより大峯南奥駈道」と書かれた大きな標識が立っていた。ここが太古の辻で、左に下ると前鬼なのだ。地図を見ると、確かにこのあたりは吉野から熊野本宮までの中間点になっている。やっと半分か…と思ってしまう。ここから振り返ると、雲が薄れて大日岳の鋭峰が見ることができた。
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