BACK 尼ヶ岳から西青山
2003年12月9日
石山寺で奈良へ向かう道と信楽に向かう道に分かれた自然歩道は、柘植で再び合流する。
今日歩こうとしているのは青山高原から柘植に至る道である。
私は今、京都府向日市に住んでいるのだが、日帰りで出かける東の果てはこの柘植になるのではないかと思っている。
そういう意味でいうと、今回西青山から柘植まで歩いたら、東海自然歩道は一段落ということになる。
さて、今回のスター地になる近鉄西青山駅までは、本当に遠い。
JRの長岡京駅発5時55分の電車に乗っても、到着は8時20分になってしまう。
こんな遅いスタートなのに、今日の歩行距離はめちゃくちゃ長くて、35kmほど歩かなければいけないのだ。柘植に着くのは6時を過ぎてしまいそうで、最後は懐中電灯で歩くことになりそうだ。
この柘植・青山高原には思い出がある。
30年前にこのコースを歩いたときは柘植からスタートしてまず霊山に登ったのだが、そのとき駅で水を補給するのを忘れて、水無しで登ることになってしまった。すさまじく急な登りの連続で、ノドが乾いて本当にバテてしまった。山頂で家族連れのハイカーからお茶を恵んでもらった思い出がある。…情けない話しである。
私が初めてビバークを経験したのは青山高原でのことである。
直前にツェルトを買ったので、これを使う目的もあって出かけたのだ。
この頃の土曜日は午後からが休みで、新大仏寺を出発したのは4時近かったと思う。
笠取山に向かって登って行ったのだが、途中道を間違えてしまって、最後は急な沢筋を詰めて車道に出ることになった。その直前はほとんど垂直に近いようなところで、これを登るのに死ぬ思いをしてしまった。岩場らしきものの、最初の体験であった。
車道に登りついてからすぐに日が暮れてしまって、自分がどこにいるのか分からなくなってしまった。このとき、ツェルトで寝たのである。
今回歩くのは、そんな思い出のコースなのだ。
西青山駅から前回の分岐まで歩く。国道よりも一段高いところに自然歩道は続いている。けっこう道幅は広くて、桜並木の道である。桜の満開の頃だったら、すばらしい散策が楽しめると思うのだが。
この道は乗馬クラブで突き当たりになって、ここから国道に出る。
国道に沿った道は、車道と歩道が明確に分けられているので、車の心配をすることなしに歩くことができる。
国道をまたぐ自然歩道の陸橋が見えてくると、ここが青山高原の入り口である。
左の林道に入って杉木立の中の道を登って行く。しばらく登って行くと、車道に突き当たって、これをトンネルで潜る。少しだけ登って行くと広場に出た。ここにはトイレがあったりするのだが、自然歩道は左に行く。
この広場の一角に石碑のようなものが立っていた。何かとおもったら、このあたりの別荘地開発をしている会社の名前が刻み込まれているのだった。
道はすぐに別荘地の中に下って行く。りっぱな建物があって、それは別荘地の分譲受付所であった。
別荘地の中を行くと右に鉄製の階段がある。最高点に向かう道である。
かなり急な道を登って行くのだが、その道の両脇には別荘地の区画番号と所有者の名前の書かれたプレートが立てられている。でも、その分譲された土地というのはすさまじく急な斜面で、こんなところに別荘を建てれるのかと不思議に思ってしまう。
今、建てられている別荘は、清水寺の舞台みたいな造りになっていた。こんな別荘なんて持ちたくないと思った。
行く手が明るくなると、緑色の大きな屋根が見えてきて、山頂広場に着く。
展望が開けて遠くの山並みが見渡せた。すばらしい展望である。
ここから少し登ると青山高原最高点がある。
三角点があって、その前に説明の書かれたプレートが設置されていた。
最高点からこれから歩いて行く北方を望むと、遠くに風力発電の風車がいくつも立っているのが見えた。
私はこの風力発電の風車がけっこうすきである。「風の谷のナウシカ」を思い出してしまう。この青山高原の風力発電は、規模としてはすごく大きいものである。風車は20基以上ありそうだ。
私のふるさとの青森県には、津軽半島の先端、竜飛岬に風力発電施設がある。この竜飛岬はすさまじく風が強いところなのだが、この青山高原もそれに劣らない強風地帯である。
今日は晴れているののだが、風は強くて、この青山高原も風の通り道になっているようだ。
最高点付近は、最近「ふるさと公園」として再整備されていて、真新しい遊歩道つけられている。ただし、その遊歩道のすぐ傍を車道が通っているのだが。
最高点から円山草原に向かって歩いてゆく。自然歩道は車道の左側についているのだが、私は右にある新しく造られた遊歩道を歩くことにした。できたばかりの道で、展望もこちらの方がよさそうである。
最高点から円山草原までの区間が、もっとも青山高原らしいところである。
褐色の広大な草原が青空の下に広がっていて、行く手には風力発電の風車群。
気分は爽快である。
円山草原のピークでもう一度最高点を振り返る。アスファルトの車道の連なりさえなければ、すばらしい景色なのだが。
ここで車道を渡って、ふれあい公園遊歩道から東海自然歩道に入った。
樹林の中の道になって、アップダウンを繰り返す。
風車がどんどん近づいてくる。近くでみると風車は本当に大きい。高さが50mもあるのだ。
風車群の中の道を行く。
一度、車道をトンネルで渡る。車道に沿って、風車群を眺めながら行くと榊原温泉との分岐があった。そこに句碑が建っていた。
「塩売りに祖父らの越えし笠取りの
山はレーダー基地とそなりぬ」
自然が破壊されていくのを嘆いているもので、風車を眺めて浮かれていたことを、少しだけ反省した。
樹林の中の道を下ると林道にでる。真っ直ぐ行くと馬野渓という渓谷があるのだが、自然歩道は右の橋を渡る。けっこう急な道を登っていくと笠取山の肩に着き、ここでアスファルトの林道に合流する。
ここで休憩しながら地図を見ると、青山高原の最高点は756mなのに対して、この笠取山の標高は842mある。自然歩道はこのまま下ってしまうのだが、本日の最高峰を逃すわけにはいかない。寄り道することにした。
ところが、この山頂は自衛隊のレーダー基地になっていて立ち入り禁止であった。
30分、時間のロスをしてしまった。
ひたすら林道を下る。
時間がなくなってくる。走るようにして下って、富永の集落に着いたのは1時半であった。
集落の中の道を少し行くと国道163号線に出る。その手前に石碑があって、これが芭蕉の句碑であった。
「からかさに 押しわけみたる 柳かな」
国道を渡って、集落の中を新大仏寺に向かう。
新大仏寺には、派手な赤色の仏舎利殿が建っていた。
山門を潜って境内に入る。山門に懸かる扁額をみると「東大寺別所」と書かれていた。
この新大仏寺は東大寺の大仏の雛形を作ったところでもあるのだ。
境内には宝物館があって、その大仏が納められているというのだが、それは鎌倉時代のものらしい。入館するには拝観料がいるので省略した。
境内には自然歩道の指導標がたっていて、これに従って寺の裏山に登って行く。すごく急な登りである。この山道には石仏がたくさん立っていて、「三十三ヶ所観音霊場巡り」になっているのだ。山頂にたどり着くと、大仏寺山山頂と書かれた小さな板が木の枝に掛けられていた。
ここから一気に下る。国道に出るとこれを渡って、そこから富永林道が始まる。樹林の中の道をひたすら行く。登りの道が下りになって、下に大きな池が見えてきた。田代池である。この池畔に着いたのは3時頃であった。
自然歩道はこの池に沿って続いている。池を眺めながら、ゆっくり散策すればいいのだが、日が傾いてきている。あせる。
舗装道路に出ると道の向こうにはコンクリートの立派な建物がある。青少年野外活動センターであった。
これから霊山に登らなければいけない。
舗装道路をから山道に入る。
登りは延々と続くのだろうと思っていたのだが、意外と短時間で霊山山頂に着くことができた。
山頂には石碑、石塔があって、いかにも信仰の山らしい。
山頂は真ん中が窪んでいて、その真ん中に岩室が造られている。そのなかに祠があって観音様が祭られているのだ。
山頂はこの岩室を取り巻く一段高くなったところにある。
三角点もあって、ここから夕暮れて行く集落の明かりを見ることができた。
山頂のすぐ近くにはアンテナ施設が大きく聳えている。
この横を通って下って行く。
昔、私はここで水を恵んでもらったりしたのだが、記憶にある山頂とずいぶん違っているように思えた。人間の記憶はあてにならない。
山頂からは、コンクリートで作られた林道を下る。すまじく急な道で、普通の車ではとても登れそうもない道である。
日が暮れてくるので、走るようにして下った。
途中でヘッドライトを準備した。
名阪国道を潜るころは、もう完全に暗くなっていた。
この近くに芭蕉公園があるのだが、暗いので立ち寄るのは止めた。
柘植の家並みの中を行く。指導標は細かに立てられていて、迷うことはなかった。
ただ、交差点に出るたびに、ヘッドライトで照らして、指導標を探さなければいけない。
土手のようなものに突き当たたら、それがJRの線路であった。
時計を見たら17時43分。
45分の列車があるので、これに乗ることにして、駅に走った。
改札で切符を買って、出発を少し待ってもらって列車に飛び乗った。
これで、7時に長岡京駅に着くことができる。
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西青山駅前の自然歩道入り口

桜の並木を行く

青山高原への登り口

青山高原最高点の手前の広場

広場を振り返る

最高点の三角点

整備された遊歩道を行く

円山草原

風力発電の風車

休憩施設があった

分岐にあった句碑

馬野渓との分岐

笠取山山頂レーダードーム

芭蕉の句碑

新大仏寺仏舎利殿

新大仏寺山門

新大仏寺境内

新大仏山山頂

田代池

霊山山頂
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