2008年春山陽山陰登山
てんのうえぼしいわやま

標高 400m
天応駅→15分→登山口→1:00→ドンガメ岩→15分→烏帽子岩山山頂→15分→茶臼山分岐→5分→林道出合い→10分→鳴滝→30分→吉浦駅

天応烏帽子岩山はすさまじいばかりの岩峰の山である。険しい岩場を急登するときは足が震えてしまった。山頂には標識も三角点もないのだが、瀬戸内海の眺めが本当にすばらしい。
登山道から見上げる烏帽子岩

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200857

広島市街から呉に向かって走って行く。すごく車の量が多くて驚いてしまった。
もう真っ暗になってしまって、対向車の灯りがまぶしくて本当に走りにくい。ようやく天応駅に着いたが、国道に面していないうえに、近くに駐車スペースがまったくなかった。後ろから車がどんどん来るので、ゆっくり走るわけにも行かなくて通過してしまった。
明日登る天応烏帽子岩山は、天応駅から登りはじめて吉浦駅に下山するのだ。車は吉浦駅付近に停めようと思って、さらに走って行く。吉浦はけっこう大きな町で、駅も大きい。でも、車を停めるところがない。仕方がないので駅から300mほど先にあったコンビニに車を停めることにした。

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5時半に起きて、コンビニから駅まで歩いてみた。途中、駐車スペースがないか探しながら歩いたのだが、やっぱりなかった。駅で広島行きの時間を確認したら、けっこう本数が多いので時間を心配する必要はなかった。車に戻って下山口に向かって走ってみた。海沿いの町はすぐに急な登りになる。曲がりくねった細い道を登って行くと、幸いなことに路肩に駐車スペースがあった。駅から1kmほど上がったところである。
身支度をして吉浦駅の戻った。吉浦から天応駅は二つ目の駅で、料金は180円であった。
天応駅の改札には誰もいなくて、また私の手に切符が残ってしまった。
ここからはガイドブックの文章をたよりに登山口をめざす。民家の間を抜けて行かなければいけないので道は複雑である。まず、線路に沿って呉方向に歩いて行く。ガイドブックには「最初の商店の先から川沿いに登る」と書いてあるのだが、商店なんてなくなっていた。でも、小さな堰があったので、これだろうと見当をつけて登って行く。
ガイドブックにある本当に小さな橋を右折して渡る。次の分岐で山側に曲がるのだが、これがよくわからない。人一人しか歩けないような細い路地がたくさんあって、迷ってしまうのだ。
カンで道を選んで登って行くと、高速道路に突き当たった。左折して壁に沿って歩き高速をくぐると、そこに烏帽子岩山登山口の指導標があった。道は間違えていなかったのだ。
家の間の急な道を上って行くと、巨岩に覆われたすさまじい岩峰が見えてきた。これが烏帽子岩山なのだ。ガイドブックにすごい岩登りになると書いてあったので、ステッキを持ってこなかったのは正解だったようだ。岩場でステッキはジャマになるばかりで、下手に使ったら滑落してしまう危険もあるのだ。

急な細い道を登って墓場の前の広場に着いた。ここなら車が停めれたのに…。
この駐車場の前からさらに細い道を登って行くと、いつの間にか山道になって、沢のような涸れた窪みを渡ったところからすさまじい登りになった。
樹林の尾根をひたすら登って行くと、行く手には鋭く烏帽子岩がそそり立っている。本当にこの岩峰に登るのかよ…と不安でいっぱいである。

急登を続けて行くと視界が開けて、下には瀬戸内海が広がる。たくさんの島が浮かんでいてすごくきれいだ。
樹林から抜け出して岩だらけの踏み跡をたどると、ようやく巨岩の平坦地に着いた。墓場前の広場からまだ
30分しかたっていないが、もう1時間も登り続けたような気がする。
ここが展望台と呼ばれているところのようで、見上げると左には槍ヶ岳のような鋭鋒の烏帽子岩、そして右にはスラブの大絶壁「クロナメラ」。この岩場はロッククライミングのゲレンデになっているらしいのだが、このときは誰も登っていなかった。まだ7時半なのだ。
息を整えて、いよいよ烏帽子岩に向かって登って行く。今までもすごく急な登りだったのだが、ここからは本当の岩登りであった。展望台から少しだけ下ると道が二つある。クロナメラの絶壁と烏帽子岩の間の谷筋が比較的ラクな道のように思える。でも、よく見ると、烏帽子岩に続く急峻な岩尾根にテープがついていて、巨岩には鉄環が打ちつけあるのが見える。印から判断すると、とんでもなく険しい岩尾根の方が登山ルートのような気がする。この印を信用して、岩尾根を登って行くことにした。(これが正しかった)
すさまじい岩登りが続く。岩壁をトラバースしたり、手がかりのない巨岩を越えたりするのだ。しかも、このルートにロープや鎖は一切なかった。
ガイドブックには「この山は広島の岩登り発祥地の一つ」とあって、「岩場を歩く基本的な技術を身につけている人か、十分に経験のあるリーダーと一緒に行動すること。初心者の単独登山は絶対にしないこと」と書いてあるのだ。私は岩登りはほとんど初心者に近いので、ビビッてしまう。
次々と現れる岩場との格闘が続いて、大キレットから北穂へ登った時のことを思い出してしまった。
登るにつれて、真向かいのクロナメラの大絶壁が益々迫力あるものになってきた。そして自分の登るルートは岩場の連続で、登ってきた道を振り返ると目がくらみそうである。

尾根とクロナメラの間の谷が狭まってきて、ついにこの溝に沿って登るようになった。
道は潅木の中に入って行くが、急峻さは変わることがない。怖さと疲れで膝をガクガクさせながら登って、ようやく烏帽子岩の上に着いた。安堵のため息が出た。時計を見たら、展望台からは30分しか経っていなかった。
このピークには豆腐のように四角い巨岩が二つ並んでいて、その上に登れるようにロープが下がっていた。高さは3mもないのだが、怖いので登るのは止めた。
ここで少し休憩しながらガイドブックを読んだら、目の前の四角い岩はドンガメ岩といって、この岩の後に烏帽子岩が隠れているのだ。
この先に岩場はないはずである。ようやくゆったりした気持ちで登って行くことができる。潅木の間を登って、振り返るとドンガメ岩の後に烏帽子岩の三角峰が少し顔を出していた。
10分足らずの登りで稜線に着くと、そこにはしっかりとした道が通っていた。中国自然歩道である。
ここからはすぐに烏帽子岩山山頂に着いた。山頂の真ん中に木柱がたっていたが、それには山名ではなくて火の用心と書いているだけであった。
石を積み上げた基壇のようなものがあったが、これは石鎚神社の祠の跡なのだ。今はたんなんるケルンのようである。

周りを見回しても山名を書いた標識はまったくなくて、三角点もないのだ。ここまでの険しい登りの結果にしてはもの足りない山頂である。
でも、景色はすばらしい。西に見える島は江田島である。今日、これから向かうのだ。南に広がる市街地は呉である。太平洋戦争中のこの山は、軍港の呉が一望できることから軍事機密上、登山禁止だったという。
険しい岩場を登ってきたという満足感と、目の前に広がる青い海と美しい島々、何も言うことはない。

満足で山頂をあとにした。
山頂から急な斜面を下って樹林の中に入ると、中国自然歩道の指導標がたっていて、鳴滝まで1.6kmとかいてあった
鮮やかな緑の林を
10分ほど下ると茶臼山との分岐があった。そこから5分ほどで車道に出てしまって、あとはコンクリートで固められた車道をひたすら下って行く。
鳴滝の前に着いたのは車道を10分ほど下った850分であった。私はこの滝に期待していたのだが、ナメをチョロチョロ流れるだけのものでがっかりしてしまった。
でも、車道を少し行って深い谷を見下ろしたら、対岸に滝があるのを見つけた。りっぱな滝で、もしかしたらこれが鳴滝かと思ったりもした。
車道をどんどん下って県道に合流すると、そこには中国自然歩道の指導標がたっていた。ここからは県道を歩くのだ。県道は山襞に沿って曲がりくねって続き、カーブを繰り返すのでずいぶん遠回りになるのだが、ショートカットの道があった。石段で下って下の舗装道に出ることができる。
どんどん下って、行く手に高速道路が近づいてくると私の車が見えてきた。920分であった。


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天応駅から歩き始める


行く手に岩峰が聳えている


墓地の前に駐車スペースがあった


墓地前広場から山道に入る


樹林から抜け出す


烏帽子岩が近づく


登った岩壁を振り返る


岩場の登りが続く


烏帽子岩の直下


巨岩(ドンガメ岩)にロープが下がっていた


ドンガメ岩の上に出る


中国自然歩道に合流する


天応烏帽子岩山山頂


山頂からの下り口


鳴滝に着いた






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