大山の弥山山頂付近はすべて木道である。昔の山頂は豊かな草原が広がっていたらしいのだが、登山者の踏みつけで草がなくなってしまい、そのために土砂が流出して荒れ果ててしまったのだ。その植生を回復するために、この木道が設けられたのである。登山者はこれを外れてはいけないのだ。
山頂のすぐ下に大きな小屋が見える。大山頂上避難小屋である。
山頂から下って、この小屋に寄った。すばらしく大きな小屋で、これが避難小屋とは思えない。ここにあるトイレは水洗であった。
小屋から木道を下って行く。ハイマツの絨毯の中に木道が曲がりくねって続いている。これもすばらしい眺めである。木道はけっこうすり減っていて、真ん中が窪んでいたりするのだ。大山は登山者が多いのだ。なんでも、日本で三番目に人気のある山なのだという。一番が富士山で、二番目は槍ヶ岳らしい。
木道の所々には登山道の説明板がたっている。植生回復のことや登山道の歴史のことや、読んでいるとけっこう楽しいのだ。
小屋から25分ほど下ったところに、標高1500mの標識があった。弥山山頂は標高1710mなので、やっと200mほど下ったのだ。登山口の標高は750mほどだから、まだ750mも下らなければいけない。
急な階段道を下って行く。展望は開けていて、下に続く尾根が一望できる、でもすごく下に見える。振り返ると、大山北壁にかかっていた雲はだいぶ薄れてきていて、岩峰が見えるようになった。絶壁の左端に見える三角峰は三鈷峰であることに気がついた。
どんどん下って行くと、七合目の標識があった。ここから7分ほど下ると、ベンチが並ぶ展望台があった。ここが六合目であった。ここには避難小屋があったが、中は狭くて一人しか泊まれないのではないかと思った。
六合目から10分ほど下ったところには元谷経由大山寺への分岐があった。行者谷コースである。でも、私はまっすぐに夏山登山コースを下るのだ。行者谷コースは大山寺まで2.3kmだが、夏山登山コースは登山口まで1.6kmなのだ。
ここから少し下ると小さな石の祠があった。「山の神さん」と呼ばれる祠であるが、最近、再建されたものである。ここにはかって遙拝所があって、東に登る朝日を拝んで登山の安全を祈願したのだという。
この先はすばらしいブナ林が広がっていた。大山のブナ林は西日本最大規模のものなのだ。ブナの林をどんどん下って行くと、鮮やかな紅葉が目立つようになった。下るにつれて、紅葉がどんどんきれいになる。
三合目に着いたのは14時42分、山頂から1時間10分経過している。鮮やかな紅葉の色彩が反乱する中を下って行くと8分ほどで標高1000m地点を通過、よく整備された階段道をさらに10分下ったら一合目に着いた。
ここから少し行くと、今朝来た阿弥陀堂の分岐に着いた。戻った…という感じである。
後は石段を下って、夏山登山道入口に着いたのは15時10分、そこから右に車道を少し行くと、駐車場であった。車に戻ったのは15時15分である。
不可能だと思っていた大山剣ヶ峰の縦走もできて、大満足の一日であった。
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