奈良の若草山が登山の対象となる山かと言われると悩んでしまうのだが、しかし、奈良公園を散策して、それからこの山頂に登って奈良の市街を見下ろすのは、本当にすばらしい。

わかくさやま

標高 342m

若草山から大仏殿

2003323


天気予報によると、久しぶりに晴れるはずなので、東海自然歩道の続きを歩こうと思う。
奈良から天理まで歩くつもりだが、その前に奈良公園の観光をしっかりとしてしまおうと思っている。
近鉄奈良駅に着いたのは8時半頃であった。
ここから東大寺に向かって歩いて行く。
右手が興福寺の境内である。
まず、興福寺に立ち寄ることにした。
境内を行くと最初に南円堂がある。重要文化財に指定されている。
ここから猿沢の池に下った。
興福寺の五重塔は、この猿沢の池から眺めるのが一番である。池は濁った濃い緑色をしていて、そこに五重塔が写っていた。
五重塔のすぐ下まで行って、それから国立博物館に向かう。途中、興福寺の宝物館があって、ここには有名な阿修羅像がある。見て行きたいのだが、まだ開館していない。
奈良国立博物館は明治時代の建物で、それ収蔵されている美術品もすばらしいのだが、建物自体も一見に値する。入館しようかと思ったのだが、まだ9時で開館は9時半なのだ。
真っ直ぐに大仏殿に向かった。
南大門に続く参道は、けっこう多くの人が歩いていた。今日は三連休の最終日である。観光客も多いわけだ。
教科書のような解説をしてしまうのだが、東大寺は何度も戦火に遭っていて、創建当初のものはほとんど残っていない。今の大仏殿は江戸時代の再建で、徳川綱吉によって建てられたのだ。世界最大の木造建築なのだが、これでも建立当初と比較すると横幅が3分の2に縮小されている。
まず南大門に着く。
南大門は鎌倉時代のもので、源頼朝によって再建された。建築様式は天竺様という。
天平時代の建て方とはまったく違って、極めて簡素な直線的な造りである。
東大寺の南大門といったら、何といっても両脇に立っている仁王像である。運慶・快慶による巨大な仁王像で、すさまじいばかりの迫力である。最近、解体改修を終えたばかりである。
南大門を潜ると、中門があって、その向こうに大仏殿が見えてくる。
この参道の右には大きな池があって、鏡池という。
池には中ノ島があって、そこに小さな赤い祠が立っているのが見える。
私はこの風景を、けっこう気に入っているのだ。
大仏殿には回廊が巡らされていて、向かって左に拝観受付がある。しかし、私はすぐに大仏殿には入らずに、まず戒壇院に向かうことにした。
戒壇院は大仏殿の左手奥にある。
この戒壇院を有名にしているのは、本堂に安置される四天王像である。
四天王というのは仏教の守護神で、多聞天、増長天、持国天、広目天を言う。
四天王像は、多くの寺院で見ることができる。
仏教の宇宙観では世界の中心に聳えている山を須弥山という。寺院で本尊が祭られている壇を須弥壇というのだが、これはこの須弥山からとったものである。
須弥山の四方を守っているのが四天王なのだ。
ただ、この戒壇院の四天王のすごさというのは、その表情にある。
現代彫刻を越える、すさまじいばかりの存在感をもつ仏像である。白い塑像なのだが、鳥肌が立つほどの迫力をもっている。

戒壇院は外から写真を撮っただけで、すぐに正倉院に向かった。
正倉院は校倉造の、東大寺の宝物を保管する「倉庫」である。この正倉院に立ち入ることはできない。校倉のその倉さえ見ることはできないのだ。
正倉院の宝物は、東西文化交流の壮大なドラマを持っていて、ローマから中国の長安に至るシルクロードの終着点がこの正倉院なのだ。
この宝物は、年1回、11月に奈良国立博物館で開催される「正倉院展」で見ることができる。私が、昔、大阪に住んでいたときは毎年、この正倉院展に来ていたものである。
今回は門の前まで行っただけ。正倉院を取り巻く白い塗り塀をみて、次の東大寺講堂跡に向かった。
東大寺講堂は大仏殿の後ろにある。
今は礎石が残っているだけである。その礎石が並ぶ平坦地に「講堂跡」と書かれた石碑が立っている。
松がまばらに生えて、礎石の並ぶここから大仏殿を眺める、この風景が私は好きなのだ。
さて、大仏殿の中に入る。
今日はすばらしく天気がいい。きれいな青空のもと、大仏殿が堂々と建っている。
屋根の金色のシビが輝いている。
大仏殿に向かって歩いて行くと、石段の手前に青銅の灯篭が立っている。
これを見逃してはいけない。
この灯篭の四面には楽器を演奏する菩薩像が彫られている。
このうちの1面は後世の補修なのだが、あとは大仏殿建立当時のもので国宝に指定されているのだ。
大仏殿に入ると、奈良の大仏が目に飛び込んでくる。
一般の人にとって、仏像はみんな同じに見えると思う。
お釈迦様の形をした仏像は「如来」といって、悟りを開いた者のことである。
代表的なものに、釈迦如来、阿弥陀如来、薬師如来があるのだが、奈良の大仏は「慮遮那仏」という。東大寺は「華厳宗」の大本山なのだが、華厳の宇宙観では、その中心に存在するのが慮遮那仏なのだ。
慮遮那仏の座する蓮華の花、その花びらの11枚は小さな宇宙であって、そのそれぞれ世界に慮遮那仏は釈迦に姿を変えて、衆生の救済にあたるという。
この考え方は、実は律令制度と同じなのである。世界の中心の慮遮那仏を天皇に置き換えると、その政治的な世界観が見えてくる。
このため、日本全国に国分寺・国分尼寺が建てられる。もちろん、国分寺のすぐ近くには、政治のための政庁が建てられるのである。

大仏殿から二月堂に向かった。
山に向かって登って行くと、金色に塗られた法輪が建っていた。これは東大寺建立当初にあったという七重塔の法輪の再現である。東大寺七重塔は、かって大阪万国博で再建さあれたことがあるが、天平のすさまじい高層建築である。今は大仏殿の参道の左右に、その基壇の跡が残っているだけである。
ここから少し登ると三月堂に至る。
この三月堂も、仏像で見るべきものが多い。
本尊は不空絹索観音である。腕が六本、目も3つある。額の白毫に見えるのは、実は目なのである。
長い年月ですすけてしまっているが、冠はたくさんの宝石で飾られている。
日光、月光像もすばらしいし、梵天、帝釈天もいい。また、秘仏となっている執金剛像もすごい。
ここの仏像はどれをとってもすばらしいのだ。
この二月堂の右横にある舞台造りの建物が二月堂である。「お水取り」で有名である。石段を登って、本堂のある舞台の上からは大仏殿の屋根を見下ろすことができる。

三月堂から春日大社に向かって歩いて行くと、若草山の登山口がある。
入山料150円である。
最近、山に登っていないので、せめてこの若草山にでも登ろうと思う。
奈良の市街から見ると、若草山は、褐色の芝生のような草に覆われている。この山の上から大仏殿を見下ろしてみたくなったのだ。
この山は下から見る限りでは30分ほどで登れてしまいそうなのだが、そう簡単ではなかった。
三重の丘が重なっていて、次第に高くなっていく。
1重目、2重目、3重目と名づけられたピークがあるのだ。
森林帯と草原の境界に伸びている階段を昇って行くと、林の中に入り、これを抜けて展望が開けると1重目のピークである。
下には奈良の街並みが一望に見渡せる。すぐ下には大仏殿の大きな屋根が見えた。芝生の草原になっていて、すばらしく気持ちがいい。ここには鹿が登ってきていて、のんびり草を食んでいた。
さらに、広い尾根を左にゆったりとカーブしながら登って行く。
すぐに2重目のピークに着く。
ここからも奈良の市街の眺めがいい。
山頂(3重目)に向かう。
昔、私の高校の修学旅行はこの奈良へ来たのだが、そのとき歴史の先生が若草山の山頂には古墳があるのだ、と言っていたことを思い出した。それも楽しみである。
山頂には展望所が設けられているが、この左に一段高いピークがある。
これが「鶯塚古墳」であった。
ピークには三角点と自然石の石碑が建っていた。
ここから奈良の街並みを見下ろす。
絶景である。遠くにドリームランドの山が見えた。マッターホルンを模したものだと思うのだが、昔、私が大阪に住んでいたときはけっこうすごいテーマパークだった。今も営業しているんだろうかと、ちょっと心配してしまった。
この山頂で昼食をとる。
おにぎりを食べようとしたら、鹿が寄ってきた。このあたりの鹿は観光客から餌をもらい慣れているようで、なんかずうずうしい。
もちろん、餌はやらなかった。
山頂からは別のルートを下る。ここで気がついたのだが、こっちのルートでは入山料を払う必要はないのだ。
山頂から少し下ると、広い駐車場があって、奥春日山有料道路の入り口になっていた。登山道はその有料道路のゲートの右横から下っている。
車は入れないのだが、広いしっかりとした道である。曲がりくねった道で、思った以上に距離はあった。
二月堂から春日大社へ続く観光コースと合流したのは、10時半くらいであった。
若草山登山には1時間半かかったことになる。
春日大社は軒に吊るされたたくさんの灯篭の印象が強かったのだが、今再訪してみると、その数はたいしたことはなかった。朱塗りの楼門があるのだが、その半分が工事中で、これもあまり絵にならない。どちらかというと、参道の石灯籠がすごいと思ってしまった。
春日大社から白毫寺に向かって行くと、前回歩いた東海自然歩道の道と合流した。
ここからが今日の本当の目的、東海自然歩道を行く。


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興福寺境内


南円堂


猿沢の池から五重塔


奈良国立博物館


東大寺南大門


鏡池


戒壇院


正倉院


講堂跡から大仏殿


大仏殿前の灯篭





三月堂(法華堂)


二月堂


若草山登山口


登山道


一重目山頂


若草山二重目


山頂の鶯塚古墳


若草山山頂



山頂の石碑









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