下りなら普通のスピードで下ることができる。易老岳から10分ほど下ったところに三角点があった。地図で確認すると標高2254.1mの三角点であった。
長い急な下りが続く。樹林の中の下りは、急降下になったり緩やかになったりで、変化に富んでいる。斜面は広くて尾根を下っているという雰囲気ではない。
下り始めて1時間ほどで、大きな杉の木がた面平に着いた。
ここで道は左に曲がって、斜面をトラバースする緩やかな下り道になる。よかった…と思ったら、すぐに急な下りになった。
道には小石が多くて、ちょっと気を抜くと滑ってしまう。昔、私が光岳に初めて登ったとき、帰りに足を滑らして捻挫してしまった。(実際は骨折だったのだが)その痛い思い出があるのでかなり慎重に下ったのだが、それでも何度もスリップしてしまった。
下っても下っても、なかなか下に着かない。
植林帯に入ったので、これは登山口は近いと思ったのだが、そこからも長かった。樹林の中をジグザグに下って、ようやく登山口の易老渡に着いたのは10時少し前であった。
鉄の橋を渡って林道に出る。そこから右に歩いて行くと駐車場があって、その手前に左から沢が流れ落ちていた。K氏の車の前に荷物を置いて、着替えを持って沢の流れに引き返した。ここで顔を洗ったり体を拭いたりして、シャツ・ズボンすべて着替えた。さっぱりした。
K氏の車で林道を走って行く。光小屋の主人は歩いたら5時間以上かかると言っていたが、本当にその通りであった。
国道に出てから「かぐらの湯」に寄って、温泉で8日間の汗を流した。本当にさっぱりした。
あとは国道を走って、南信濃村・上村・大鹿村・長谷村・高遠と過ぎ、最後に諏訪湖に向かって下って、茅野駅で下ろしてもらった。
今日は諏訪湖の花火大会で、街は賑やかだった。人間界に戻ったという気がした。
私は、茅野から松本に行って、松本で一晩過ごして、明日の朝一番の列車で仙台に帰るつもりである。
松本に着いて、改札を出ると駅の様相がまったく変わっていた。自由通路が新たにできていて、これは24時間開放のため、ここに泊まることができた。以前は12時過ぎに駅が閉鎖されるため、外で寝なければいけなかったのだ。
松本に着いてからは、かならず行く「とりでん」のラーメンを食べに行ったのだが、定休日であった。あきらめて、駅の近くのステーキハウスでステーキを食べた。8日間、粗食に耐えてきたのだから、今日くらいは贅沢をして栄養を補給しても罰はあたらない。そしてビールの大ジョッキで、南アルプス完全縦走完了の乾杯をした。
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