日本アルプス全山縦走 
烏帽子岳 2726m
小河内岳 2801m
板屋岳 2646m
三福伏峠→烏帽子岳→前小河内岳→小河内岳→板屋岳→高山裏キャンプ場

今日歩くのは塩見岳から荒川三山の中間の縦走路で、百名山のように知られた山はない。明日はハードな登山になるので、今日の歩く区間は短くして英気を養うつもりだ。
三伏峠から稜線に出るとすばらしい展望が広がっていた。
縦走路から小河内岳


1984年南アルプス縦走の記録
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2007年811

今日の歩行時間は短い。
当初は中岳避難小屋まで行くつもりだったが、この小屋には水がなくて、おまけにテントは張れないのだ。避難小屋とはいえ、今の時期は管理人が入っているために小屋泊は有料である。そこで、今日は中岳の手前の高山裏にテントを張ることにしたのだ。5時間ほどの行程なので、昼にはテント場に着いてしまうはずである。明日は荒川三山を往復して、さらに赤石岳も越えるので、今日はのんびりと体を休めるつもりだ。
と思いながらも、つい習性で3時頃に起きてしまった。
パッキングを終えたのはいつものように5時頃である。
隣のテントに声をかけたら、驚いたことにコップでテントの中の水をかき出していた。たいした雨ではなかったのだがフライシートがないとこんなことになってしまうのだ。彼女らはここから伊那側へ下山するので、昨夕のお礼をいって出発した。
小屋から昨日通った水場への道をたどる。お花畑の前が水場と縦走路の分岐になるので、ザックを置いて水汲みに行った。ここのお花畑はネットで保護されているのだが、覗いてみると花はほとんど咲いていなかった。

水場を往復してから、階段の道を登って稜線にでる。道の両側にロープが張ってあってお花畑を保護している。花はほとんど見当たらないのだが、どんな貴重な植物があるんだろうと思ってしまう。
稜線に登りつくとその向こう側は絶壁で、展望が開けた。でも、行く手に聳えるはずの荒川岳などは見えなかった。
烏帽子岳に向かって稜線を登って行くと、行く手には岩壁をもつ鋭鋒が立ちふさがる。右手は鋭く切れ落ちていて、その絶壁に沿って急登する。険しい岩場を越えるて山頂かと思ったら、その奥にさらにピークが見えた。これが烏帽子岳なのだ。ザラザラの道を急登する。今日は遠くの山々は霞んでいる。昨日の夕方のにわか雨のせいで水蒸気が多いのかもしれない。
烏帽子岳山頂に着いたのは618分であった。山頂からは北の山々が紺のシルエットとなって連なっている。一番間近にそびえるのが塩見岳なのだが、それもずいぶん遠い。昨日はがんばって長い距離を歩いたのだ。
行く手の南に連なる尾根を見ると、まず前小河内岳、その右には山頂近くに小屋がたつ小河内岳が見える。この二つの山の間の奥に高い山が見える。地図と磁石で確認すると荒川岳であった。すばらしい眺めだ。
烏帽子岳からはガラガラの岩の道を急降下する。展望の開けた平坦な稜線歩きを予想していたのだが、大間違いであった。

鞍部からは前小河内岳に向かって登り返す。これもかなり急な登りで、まだ1時間半ほどしか歩いていないのにどっと疲れてしまう。でも、振り返ると稜線の西側は鋭く切り立った崖で、その向こうに烏帽子が聳えている。朝日を浴びた絶壁に濃い陰影が刻まれていて、すばらしい眺めだ。
ハイマツの間の岩がゴロゴロする道を登って、前小河内岳山頂に着いたのは640分である。
この山頂には標識はなくて、三角点とよく似た石柱が置かれていた。ここから眺める小河内岳はハイマツの緑に覆われたどっしりとした山である。頂上の左には避難小屋が見える。昔、南アルプスを縦走したときはあの小屋に泊まったことを思い出した。懐かしい。
ハイマツの間を下って行く。緑の絨毯のなかに登山道が続いているのがよく見える。こういう眺めは好きなのだ。
鞍部に着くと右手は崖になっていて、ここからは稜線の右斜面を斜めに登って行く。

山頂直下の急な道を登って、ようやく傾斜が緩まると避難小屋との分岐があった。標識には「トイレは有料です100円」という張り紙があった。
ハイマツの間を登って小河内岳山頂に着く。815分であった。
山頂から行く手の稜線を目でたどると、その先には鋭い岩峰の稜線が見える。真ん中に大日影山があって東西に岩峰が連なっているのだ。私が歩くことになる大日影山から東に連なる稜線なのだが、かなりきつそうである。今日のコースはラクショウと思っていたが、厳しい登山になりそうである。
山頂からはハイマツの中のザラザラの道を下って行くが、鞍部の直前には岩場の急下降があった。
ハイマツの道から樹林の中の下りになる。緩やかにアップダウンを繰り返して行くのだが、意外とラクな道であった。針葉樹林の中を行くと所々に草地の広場があって、そこでは視界が開ける。振り返ると小河内岳の姿がすごくりっぱであった。
ダケカンバの林を行くようになるとお花畑が広がっていて、重いザックを背負っているのに本当に楽しい道であった。
樹林越しに大日影山から板屋岳に続くギザギザの稜線が見えてきた。その鞍部には砂地の広場が見えるのだが、目の前には樹林に覆われた大日影山が立ちふさがっている。この大日影山の山頂を越えるつもりで覚悟していたら、左を捲いてしまって、ほとんど登ることなく砂地の鞍部に着いてしまった。助かったと思った。
振り返って見ると、下ってきた稜線はすごく緩やかな下りの連続で、これなら疲れることなく下って来れるはずだと納得した。
稜線の行く手には鋭く切り立った三角峰が見える。これが板屋岳のようで(そうではなかった)、大変な登りになりそうである。
砂地の広場からすぐに樹林の中に入る。登山道は稜線の左をトラバースしてゆくのだ。極端なアップダウンはなくて傾斜は緩やかである。大日影山から板屋岳の間の稜線には鋸の歯のようなギザギザがあるのだが、すべて左斜面を巻いてしまうので、そうした急峻な山々には気がつかないうちに過ぎてしまった。水平道の左側は開けていて、小河内岳の眺めがすばらしい。
トラバース道から痩せた稜線に出ると視界が開けて、行く手には大きく板屋岳が聳えている。稜線の右は絶壁である。見上げる板屋岳の右も鋭く切れ落ちていた。
樹林の中を急登してから、お花畑の中を行き、左から回り込むと山頂に着く。板屋岳の山頂は尾根道の途中といった感じで、指導標に板屋岳山頂と書いてあるので初めて気づくのだ。山頂は樹林に囲まれていて視界はまったくない。登山道の横にこの山頂標識よりもさらに高いところがあるのだが、そのピークには樹木が繁茂していて近づけなかった。
まだ時間は
10時半、ここから1時間ほど下ると今日の泊まりの高山裏である。ゆっくり休憩してしまった。
板屋岳からは樹林の中を下って行く。針葉樹林を抜け、明るいダケカンバの林になると一面のお花畑であった。咲き誇る花たちの間を抜けて稜線に出ると、その右側はすさまじい崩落地であった。
この崩落地の縁を下って行く。振り返ると板屋岳は鋭い峰となって聳えていて、山頂から西へはすさまじい絶壁をもった鋭鋒群が連なっていた。登山道は向こう側の斜面を捲いているので、この険しい稜線に気づかなかったのだ。
お花畑の中を抜けたり、ザラついた砂地を歩いたりして下って行く。
鬱蒼とした樹林の中をジグザグに下って行くと、向こうから空身のおじさんが登ってきた。この人は高山裏避難小屋の管理人だった。ゴミ拾いにきたらしいのだが、私が高山裏でテントを張るつもりだといったら、一緒に引き返してくれた。

小屋に着いたのは11時半である。本当にのんびりできる。
ここのキャンプ地ではテント場に番号がふられていて、指定されたところにテントを張るのだ。私がテント場に行くと、一つだけテントが張られていて、その隣に張った。
このテントは小河内岳で会った若者のものであった。
まだ12時である。今日は休養日なので、ウィスキーを2杯も飲んで気持ちよく酔ってしまった。
3時頃になって水汲みに行くことにした。小屋の前の表示では往復40分と書いてある。そんなにかかるのかと驚いたら、管理人から水を汲めるだけありがたく思わなければいけないとしかられた。
小屋から鬱蒼とした樹林の中をジグザグに下って行く。
10分ほど下るとテント場跡があって、その先は涸れた沢を下る。急なガラガラの道を10分ほど下るとようやく水場であった。水は豊富だった。
小屋に戻って時間を確認したら、往復
30分かかっていた。

夜、早く眠るつもりでいたのだが、ラジオのNHKで懐かしの青春歌謡という番組を放送していて、これを聴いていたら10時になってしまった。明日は大変な登りが待っているのに…。


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三伏峠小屋のテント場


小屋からすぐに分岐、左が塩見岳・右が荒川岳


三伏峠の水場


烏帽子岳手前の岩峰


烏帽子岳山頂


前小河内岳山頂


前小河内岳からの下降路


小河内岳への道


小河内岳山頂


小河内岳からの下山路


大日影山への道(右奥が大日影山)


大日影山のコル


板屋岳への道、思ったより平坦だった


板屋岳山頂


崩落地に沿って下る


高山裏





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