日本アルプス全山縦走 
小仙丈岳 2519m
仙丈岳 3032m
大仙丈岳 2975m
北沢峠→大滝頭→小仙丈ヶ岳→仙丈ヶ岳→大仙丈ヶ岳→伊那荒倉岳→横川岳→両俣小屋

南アルプス全山縦走の第一日目である。北岳からスタートしてもよいのだが百名山の仙丈ヶ岳を逃すことはできない。そのためには仙丈ヶ岳に登ってから一旦、野呂川に下り、それから北岳に登るしかないのだ。このアップダウンはすさまじかった。でも、仙丈山頂からの展望は最高だった。
小仙丈岳から仙丈岳

 北沢峠から大竜頭(五合目)へ 1990年の冬山登山記録

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2007年88

甲府から登山口の広河原に向かうバスは駅前を4時に出発するのだ。夏山シーズン中はバスの便が都合よく出ていて、本当に助かる。
バス停のベンチに座って待っていると、真っ暗な中、だんだん人が集まってくる。外人のグループもいた。
バスがやってくる頃にはバス停に長い列ができていた。登山者の話を聞いていると、それでも今日は平日なので人数は少ないらしい。
結局バスは2台出ることになって、定時より少し遅れて甲府駅を出た。まだ暗い中、甲府の町を走って行く。途中で私は眠ってしまった。
目が覚めると明るくなっていて、山の中を走っている。
広河原に着いたのは6時を少し過ぎた頃である。バスの駐車場はかなり奥にあって、北岳登山口まではかなり引き返さなければいけない。でも、私はバスを乗り継いで北沢峠まで行くので、登山口まで歩く必要はない。バスを降りたすぐそばにテントが張ってあって、これが北沢峠へのバス乗り場であった。
甲府のコンビニで買ったサンドウィッチやおにぎりを食べながらバスを待つ。待っていたら、南アルプス市と書かれたバンに乗ったネクタイの男の人がやってきて、バスの切符の販売を始めた。広河原〜北沢峠間のバスは南アルプス市営バスなのだ。切符は荷物代込みで790円、私は大きなザックをかかえているので、荷物代を払うのは当然なのだ。
ようやくやって来たのは小型バスで、並んでいる人数の全部は乗れないだろうと思っていたらもう1台やってきた。シーズン中は行列の状態によって、バスはどんどん増発されるのだ。
ガタガタの道を走って北沢峠に向かう。途中、両股小屋入口で下車する人がいた。私は、今日、仙丈岳に登ったあとは両股小屋に下るつもりなのだ。
北沢峠に着いたのは720分頃。すぐそばに長衛荘があって、小屋の前には登山者があふれていた。バス停のすぐ近くに登山口がある。身支度を終えて、歩き始めたのは735分であった。
登山口からは、深い樹林の中を登って行く。9日分の食料が入っているので、ザックはものすごく重たい。そんなにきつい登りではないのだが、ゆっくりゆっくり登って行く。先は長いので、ともかく体力温存が第一である。
一合目へは
16分で着いた。単純に計算すると「16分×10」で、頂上までは3時間ほどかかることになりそうだ。
針葉樹の中を登って三合目に着く。ここはちょっとした平坦地になっていて、休憩するにちょうどいいところであった。
ここから四合目まではすごく急な登りになった。樹木の根が登山道を被う中、急登が続く。尾根が狭まって、傾斜が緩やかになったところに4合目の表示があった。もう9時近くなっていた。標準時間よりもかなり遅い登りだ。
4合目からは尾根の左側の斜面を斜めに登ってゆくのだが、大きな石がゴロゴロしていて歩きにくい。途中、丸太の梯子がかかっていたりして、だんだん険しくなってきた。傾斜もきつくて、なかなか五合目に着かない。
樹林が途切れるところがあって、そこから北岳の鋭鋒を見ることができた。そうしたらすぐに「大滝頭」という分岐に着いた。ここから右の道を行くと藪沢小屋を経由して馬の背から仙丈岳山頂に至ることができる。私は直進して、小仙丈岳経由で山頂を目指すのだ。この分岐が五合目だと思うのだが、この先、合目の標識はなかった。


北沢峠と乗ってきたバス


北沢峠の千丈ヶ岳登山口


一合目


二合目を過ぎると登りがきつくなる


四合目

大きな石がゴロゴロする道


丸太のハシゴ




 小仙丈ヶ岳山頂へ
樹林を抜け出すと甲斐駒が見えた

小仙丈ヶ岳直下


小仙丈ヶ岳山頂


北沢の頭から再び樹林の中を15分ほど急登すると、ようやく樹林から抜け出して展望が開けてくる。振り返ると摩利支天を従えた甲斐駒ケ岳が大きく聳えていた。
甲斐駒の左には鋸岳のギザギザの岩稜が続き、右にはアサヨ峰とさらに鳳凰三山が連なっている。すばらしい眺めだ。きつい登りが続くのだが、振り返り振り返り展望を楽しみながら登って行くと疲れも薄れるのだ。
さらにハイマツの中を登って行くと北岳も展望できるようになった。本当は北岳の左に富士山が見えるはずなのだが、雲が湧き出ていて見えなかった。

小仙丈岳に着いたのは1017分である。ここからは今まで見えなかった仙丈岳が一望できる。山頂の左には小仙丈沢カールが広がっていて、その姿がすばらしいのだ。
振り返ると甲斐駒・鋸・アサヨ峰・鳳凰三山・北岳の大パノラマが広がっている。展望のすばらしさに長い休憩をとってしまった。ここにはたくさん登山者が休憩していたのだが、いつの間にか私一人になっていた。
雲が湧き上ってきて、鳳凰三山が隠れ始めた。いつまでいてもしかたがないので、仙丈岳山頂に向かって登り始める。




 仙丈ヶ岳山頂へ
仙丈ヶ岳への道


山頂直下の分岐


仙丈ヶ岳山頂


ザックも軽く感じてしまう展望の稜線歩きである。登山路は、左の小仙丈沢カールと右の藪沢カールの間の尾根を登って行くのだ。右のカールの底に仙丈山荘も見えた。
痩せた岩場の尾根を過ぎると、けっこう急な岩場の下りがあった。これはきつく感じた。ようやく鞍部に下るとそこに仙丈山荘への分岐があった。

分岐から少し急な尾根を登ると、山頂とほとんど同じ高さの稜線歩きになる。山頂にはたくさんの登山者が見える。藪沢カールの縁を巡るように歩いて行くのだが、山頂は間近なのに、なかなか着かない。バテてきているのだ。山頂直下の分岐に着いたところで、ザックを投げ出すように置いて一息ついた。疲れはてた。
この分岐から右に少し登ったところが山頂で、左が仙塩尾根である。私はこの尾根を下って両股小屋を目指すのだ。
山頂へはひと登りで、山頂標識の前で記念写真。11時半を少し過ぎていた。
三角点もあったのだが、驚いたことに仙丈岳山頂の三角点は三等三角点であった。私は日本百名山の山頂にあるのはすべて一等三角点だろうと思っていたのだ。

いつのまにか雲が湧き上ってきていて、遠くの山々は見えなくなっていた。
山頂は人がいっぱいなので、分岐に戻ってそこで休憩した。足が痛いので靴を脱いでしまった。さすがに9日分の食料と野営具一式を背負っていると足への負担はきつい。
下山を開始する。仙塩尾根の下部はすっかり雲に覆われていた。



 大仙丈ヶ岳山頂へ
仙塩尾根を下る


大仙丈ヶ岳山頂


岩がゴロゴロする道をジグザグに下って行くと、霧の中に大きなピークの影がうっすらと見える。これが大千丈岳らしい。
登山道にはリンドウやピンクの花が咲いていて、疲れが癒される。岩場を下って、もう一度緩やかに登って行くと、途中で雷鳥に会った。かわいらしい雛をつれていて、人を恐れる気配がまったくない。

ひと登りして大仙丈岳の山頂に着いた。そこには登山者が一人休憩していた。少し話をすると、70歳のおじいさんで、私と同じように光岳まで縦走するつもりなのだそうだ。ザックは小さくて、すべて小屋泊まりの予定で食事も小屋に頼むのだそうだ。それにしてもこの歳で光まで縦走するというのはたいしたものである。(このあと、仙塩尾根を下る途中ではこのおじいさんと前後して歩くことになった。けっこう健脚なのだ。)




 仙塩尾根を下って両俣小屋へ
伊那荒倉岳山頂


高望池


露岩の上に着く


横川岳山頂


野呂川に沿って下る


山頂からガラガラの砂礫の道を下って、潅木の中の道になる。花がけっこう咲いていてきれいだ。緑の中の道を下って行くと雲の下に出て、展望が開けた。湧き上る雲の向こうに甲斐駒がのぞいているのが見えた。行く手に続く尾根は緑の樹林に覆われていて、本当に長い。
2
時半頃、お花畑から樹林の中に入った。深い樹林の中の下りが続く。
針葉樹林が目立つようになって、緩やかに登り返すと樹林の中に小さな広場があった。ここが伊那荒倉岳山頂で三角点が置かれていた。1447分であった。山頂なのだが、樹林に囲まれて視界はまったくない。
ここから下るとすぐに高望池があったが、水は涸れていた。樹林の中、緩やかなアップダウンを繰り返して30分ほど行くと、露岩の上に出た。これが独標である。展望が開けて、行く手には樹林のピークがいくつも重なっている。あれを越えて行くのかと思うとかなり気が重たくなってしまう。仙丈岳方面は雲に隠れているのだが、東側は晴れていてアサヨ峰がきれいな三角峰となって聳えているのが見えた。
樹林の中を下って、再び登り返すと横川岳山頂に着く。樹林の中の山頂で、ここで登山道は直角に左折するのだ。1620分になっていた。
横川岳から20分ほど下るとようやく野呂川越えに着く。ここで仙塩尾根から分かれて両俣小屋に向かって下るのだ。
急な下りだった。途中にはすさまじく険しい岩場もあって、バテ気味の私には本当にきつい下りだった。沢の直前ではまっさかさまの下りになるのかと思っていたら、次第に傾斜が緩やかになって、そして野呂川に着いた。軟着陸である。
あとは沢の流れに沿って下って行く。沢に着いたら小屋はすぐだと思っていたのだが、意外と遠かった。疲れているからそう感じたのかもしれない。

両俣小屋に着いたのは1717分である。テント場でザックを下ろしたら、本当にほっとした。これでもう歩かなくてもいいのだ。
テント場のすぐ傍に蛇口の水場があって、テントは3張りであった。快適なテント場である。


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