2002年3月17日
来週はもう京都に引っ越しているはずである。小山在住の最後の登山をすることにした。
私は小山に転勤してきてから、「栃木県の山120」という本を買った。ところがこの本は真新しいままで本棚にある。
小山には4年住んだのだが、夏は遠出ばかりしていて、冬は「関東ふれあいの道自然歩道」を歩いていた。このため、この本に登載されている山にはほとんど登れずじまいだった。ちょっとさみしい。
茨城県の最高峰は八溝山である。この山は栃木、茨城、福島の3県にまたがっていて、「栃木県の山120」にも登載されている。この山に登ることにした。
車で出かけるのだが、距離的には近いので6時過ぎに家を出た。ところが、カーナビで目的地指定をしたら距離は130kmとなった。3時間以上かかりそうだ…。
少し焦ることになってしまった。
国道4号線を宇都宮に向かって走る。国道4号線は2本走っていて、旧4号は市街地を貫いて続いているが新4号はバイパスになっていて片側2車線の快適な走りができる。
おかげで時間が短縮できて、登山口に着いたのは8時半頃であった。
八溝山は困ったことに、車道が山頂のすぐ下まで通じていて、なにもわざわざ歩かなくてもいい山なのだ。
また、中腹に旧参道口駐車場があって、ここからだと往復2時間40分のコースになる。
これではいくらなんでも安直すぎて、茨城県の最高峰にもうしわけがない。蛇穴口から登ることにした。これだと林道歩きの4.2kmが加算されて、往復4時間40分のコースになる。
蛇穴口の登山道入り口には大きな鳥居が立っている。
ここに車を置いて歩き始めた。
登り1時間の林道歩きは、ただひたすら単調であった。
しかも腹立たしいのは、登山者を乗せた車がどんどん私を追いぬいていくことである。
大きなカーブを描きながら道はどんどん高度を上げて行く。
1時間歩いて道が平らになると、行く手に車が3台ほど停まっているのが見えてきた。
ここが旧参道口駐車場である。
駐車場の手前に指導標が立っていて、日輪寺に向かう道を示していた。帰りにここに戻ってくるつもりある。
駐車場を過ぎて200mほど行くと再び指導標があって、八溝川湧水群を巡る道とある。
この八溝山中の湧水群は昔からかなり知られていたものらしくて、「五水」という湧水があるのだそうだ。
金性水、鉄水、龍毛水、白毛水、銀性水といって、この名は水戸黄門(水戸光圀公)がつけたのだそうだ。
この五水全部を飲んでみたくなった。
天気は薄曇りなのだが、時々日が射す。
ブナ林の稜線をのんびりと行くと、20分ほどで金性水の前に着いた。水が滴っているのだが、水量は少ない。
休憩することにして、この水を汲んで飲んだ。けっこう冷たくておいしい。
金性水から少し行くと八丁坂の指導標のあるところに出た。ここからは階段の急な登りが始まる。ここのすぐ上に鉄水がある。東屋のように屋根がかかっているのだが、水は流れていなかった。
八丁坂の階段になった道を登って行くと左手に入る道があって、そこに龍毛水がある。ここも水は涸れていた。
この分岐に崩れてしまった小さな石塔が並んでいる。この八溝山は昔、修験道の山だったということだから、その名残なのだろうと思う。
八丁坂を登りきるとアスファルトの道に出て、直進すると八溝山頂。舗装道路を左に80mほど行くと白毛水である。ここも水は流れていなかった。
もとの道に戻って、山頂を目指す。途中に「五水」最後の銀性水がある。こんどこそはと思ったが、ここも涸れていた。結局、五水で水が飲めたのは金性水だけであった。今の時期はちょうど渇水期だったのかもしれない。
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