たかくまやま

標高 1237m
高隈山には「高隈山」という山頂はない。七つのピークがあって、この全部を登りたいと思って出かけたが、スマン峠口まで車が入らず、予定より3時間半も余計に歩行時間がかかり、妻岳で引き返すことになった。
大箟柄岳

BACK 桜島


2003年812

朝、5時に目を覚ました。
雨であった。私は携帯電話のiモードで天気予報を毎日確認しているのだが、その天気予報は当たったということである。
駐車場にあった東屋の下で、お湯を沸かしてカップラーメンを食べた。
朝食はこれだけで、ともかく高隅山の登山口に向かう。

高隈山に「高隈山」というピークはない。最高峰は大篦柄岳なのだが、これに登っただけで高隅山に登ったということにはならないようだ。この山は古くからの修験道の山で、その「岳参り」というのは白山から横岳・平岳・妻岳・御岳・小篦柄岳・大篦柄岳の七岳を巡ることなのだ。
私はこの七岳すべてに登ろうと思っている。

ガイドブックによるとスマン峠入り口に車を停めることができるという。ところが、猿ヶ城キャンプ場から少しだけ行ったところで、ゲートが閉まっていた。
このゲートからは、予定していたスマン峠入り口まで8kmもある。登りで2時間、帰りで1時間半、計3時間半も予定より時間がかかってしまうということだ。
これでは七岳すべてに登ることは難しくなってしまう。ともかく行けるところまで行ってみるしかない。
ゲートの前に車を停めて出発した。
歩き始めた頃に雨はあがった。
雨具のズボンを履いていたのだが、早急に普通のズボンに履き替えた。
歩きにくい林道を行く。
少し行くと道端に看板が立っていて、この道の下に猿ヶ城渓谷遊歩道があるらしいのだ。ただ、その入り口は発見できなかった。
私の歩いているのは猿ヶ城渓谷から数十メートル高いところにある道である。行く手にすさまじく切り立った岩山が見えてくる。地図で確認すると刀剣山のようだ。
すごい岩の山で、その岩壁狭間にはきれいな滝が隠れていた。
45分ほど行くと再びゲートがあって、そのゲートの向こうに小屋がある。これが猿ヶ城第二小屋であった。
林道をさらに1時間行くと、白山林道との合流点につく。私が通ってきた道では車が進入できなかったが、この白山林道ならば予定のスマン峠口まで行けるようだった。
スマン峠入り口にはこの合流点から15分ほどで着く。
ようやく登山が始まった。

スマン峠には1時間の登りである。
途中、水場の指導標が立っていた。確かに水の流れる音がする。水場への道を探してみたがよくわからなかった。
この水場のあたりを一九坂という。
ここから登りはさらにきつくなった。

かなり急な道で、木に捉まったり、固定されたロープにすがったりして登って行く。
スマン峠に着いたのは11時頃であった。
ここからまず大篦柄岳を目指す。最初に高隈山の最高峰に登るのだ。
峠からは稜線の道を行く。あまりアップダウンはないのだが、道はかなり荒れていた。
道を草が覆い隠していて、これを掻き分けて行く。これはけっこう疲れるのだ。
大篦柄岳までのほぼ中間点に小篦柄岳があるのだが、登山道はこの山頂を通らない。
登山道の傍らに小篦柄岳への指導標を見つけた。指導標に往復30分と書いてある。道があるのなら小篦柄岳に登らないわけにはいかない。京都からわざわざやって来てるんだから…。
この道に入ったらすぐに急登が始まり、薮がすごい。
笹を掻き分けて登って行く。
悪戦苦闘して20分、ようやく山頂に着いた。
山頂は狭くて、潅木に囲まれている。
時間がないので、急いで分岐まで戻った。
分岐点から尾根道を30分、ようやく大篦柄岳山頂に着いた。
大きな岩のある山頂で、この山頂から少しだけ行った崖の上が展望台になっている。でも雲で何も見えなかった。
ここで軽く食事をした。
この山頂を出発したのは
1時過ぎである。
スマン峠に戻ってきたら2時30分で、さらに御岳を目指す。
まず妻岳に向かって歩いていくのだが、山腹をトラバースしていく。
妻岳との鞍部に着いたのは3時で、さらに御岳に急いで向かう。
この間の道もほとんど手入れがされていないような道である。折れた木の枝が道にたくさん落ちている。登山道というのは誰かが手入れをしているから、歩きやすい道になっているのである。
登山者はそうしたこと意識することはほとんどなくて、道が整備されていてあたりまえだと思っている。こういう山に来て、初めて、その誰かがやっていることに気がついたりする。
今日は道を歩きながら、道を塞いでいる木の枝なんかを取り除きながら歩いた。
でも、やり始めると本当にきりがない。
御岳には1時間ほどで着いた。
曇っている。展望は何もえられなかった。

大急ぎで来た道を引き返す。
妻岳との分岐に戻ってきたのは3時半であった。
ここから山頂までは往復で50分である。時間がだんだんなくなってきた。
妻岳はすさまじく急な山である。見た形は鋭角な三角形をしている。その通りの登りであった。
30分で山頂に至る。狭い山頂で、周りは樹木で、笹が生い茂る中に丸く地面が出ていて、そこに三角点があった。
木に隠されて展望はきかない。
ここから横岳に縦走するとしたらどの道なんだろうと探してみたら、笹に覆い隠された道があった。この先、道はさらに荒れているようである。
今、4時。横岳までは1時間半かかる、そこから林道まで40分。なんとかぎりぎりで、明るいうちに林道までいけそうだが、この道をみてあきらめることにした。
笹に覆われてしまった道を、時間に追われて行くのは極めて危険である。
引き返すことにした。
スマン峠に戻って来たのは、4時半。ここから下りで40分。
林道に降りついたのは5時であった。
なんとか明るいうちに林道に着くことができた。ここまで来たら暗くなってしまっても大丈夫である。
しかし、8kmの道を歩いて行くのはけっこうつらい。
車のあるゲート前には6時半に着くことができた。

ここまで帰ってきて、ようやく今日の山を振り返る心の余裕ができた。
1日中、誰にも会うことがなく、かなり荒れ果てた道をひたすら歩いたのだが、妙に心に残る山であった。
歩いているときは、どうしてこんな山が
300名山なんだ、と不平タラタラでいたのだが、今、一日を振り返ったら、なんか素晴らしい登山ができたような気がする。

車で垂水までもどり、町を外れるあたりで温泉を見つけた。大衆浴場と書かれている。
ここで今日の汗を流すことにした。
さすが、銭湯。
温泉なのに250円で入浴できた。

明日は国見岳に登る。高速道路で熊本のあたりまで行かなければいけない。
錦江湾に沿って車を走らせ、隼人という街に着く。ここから北上する。
ところが、この途中で「隼人塚」という案内板を見つけた。昔、九州旅行をしたときに、是非立ち寄りたかったのに時間の関係で行けなかったという思い出がある。
どうしよう、行ってみようかと思ったのだが、もう時間は8時を過ぎていて、真っ暗である。今回もあきらめることにした。
鹿児島空港ICで九州自動車道に入り、熊本のひとつ手前の「松橋IC」で高速を降りた。
あとは、ひたすら内大臣めざして、車を走らせる。
この間、車とはほとんど会わなかった。本当に深山に入っていくという感じである。

NEXT 国見岳

BACK 日本三百名山

ここから歩き始める


猿ヶ城渓谷に沿って行く


渓谷で見た滝


猿ヶ城二番小屋


ようやく林道から登山道に入る


一九坂


スマン峠


振り返ると妻岳の三角峰が見える


大箟柄岳が見える


小箟柄岳山頂


大箟柄岳山頂


山頂から展望台を見る


妻岳への分岐


御岳山頂


妻岳山頂


大箟柄岳の展望
スマン峠方向の展望
大箟柄岳山頂
猿ヶ城渓谷の滝




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