くろだけ

標高 1798m
黒岳山頂からは、ともかく富士山がすばらしくきれいだった。
帰りには、太宰治をしのんで、天下茶屋に行って富士山を眺めた。
黒岳から富士山

2002年1月12日

せっかくの3連休なので山に行くことにした。
今の時期は高い山だと、完璧に「厳冬期冬山登山」ということになってしまう。
あまり雪がない山を選ぶことになるのだが、富士山が見える山に出かけることにした。
日本300名山に黒岳、金時山、箱根山がある。どの山も富士山の展望がすばらしい山で、この3連休は天気がよいということなので、すばらしい富士山を眺めることができそうだ。

朝の4時に目覚ましを掛けたが、3時半に目が覚めてしまった。張り切っている。
小山から国道の新4号線を走って、古河に入り、国道を久喜、所沢、横田基地の横と走って八王子。一般道を走ったものだから八王子の手前で6時になってしまった。
そうしたらみごとに渋滞に巻き込まれた。いつもこの道を通るときは、本当の深夜に走るので渋滞は初めてである。
八王子から中央高速道に入った。これであとは時速100kmで快適に走るだけと思っていたら、談合坂SAのあたりで事故があり、またまた大渋滞に巻き込まれてしまった。
これを抜けるのに
30分ほどかかった。
河口湖ICで高速を降りて、一路、三ツ峠入り口を目指す。
最初に登ろうと思っているのは「黒岳」という山である。
日本百名山に黒岳があるが、今回登るのは御坂山塊最高峰の黒岳である。
御坂山塊は富士山と甲府盆地を隔てている山地で、この山塊のすぐ下に河口湖と西湖がある。この湖を前景にした富士山は眺めはすばらしい。
…と思うのだが、太宰治はこの風景を思いっきりバカにしている。


8:15三つ峠入り口→9:43御坂峠→10:51黒岳→11:26すずらん峠→11:42破風山→12:21新道峠→11:51中藤山→13:30不逢山→13:37大石峠→14:23林道→16:05河口局前バス停→16:29三つ峠口

三つ峠口は御坂トンネルの入り口の前にある。トンネル入り口から右に入る道があって、この道は旧御坂峠の天下茶屋まで通じている。
登山はこの道の分岐から山に向かって登り始める。
だが、登るにつれて日陰には凍りついた雪が見られるようになって、完全にアイスバーンになってるところもあった。
一応、軽アイゼンは持ってきているのだが、ちょっとヤバイ。
1時間半登りつづけて、御坂峠に着いた。
ここには御坂茶屋が建っているのだが、いまは廃業となっている。
この峠は雪野原になっていた
登ってきた方向に白い富士山が見えた。
ここで30分ほど休憩してから、いよいよ最高峰の黒岳を目指す。
峠からの道は完全に雪道に変わった。これならほとんど冬山とかわらない。でも雪はあまり深くないから安心だ。
木の間越しに富士山が見える。
急な道を1時間ほど登ると黒岳山頂であった。
山頂は一面雪である。
林に囲まれていて展望はきかない。しかし、ガイドブックによると、ここから左に200mほど入ると絶好の見晴台があるらしいのだ。
ザックを三角点のところに置いて、ビデオカメラだけ持って展望台に向かった。
そこには4人ほど休憩していて、目の前に富士山が優雅な姿で聳えていた。
富士の下には河口湖の湖水が広がっている。
けっこう感動してしまう。
太宰治はこんなあまりにもできすぎた風景は徹底的にこきおろしているのだが、私は凡人なのでつい単純に感動してしまう。
写真もたくさん撮って、山頂に引き返した。ここで昼食をとろうと思ったが、ただ一面の雪野原で腰を下ろすところがない。しかたがないので、昼食は次のピークでとることにした。
まず急な道を下る。雪道の下りである。スリップしないように慎重に下る。
雪の道をひたすら行く。
すずらん峠には15分ほどで着いてしまって、さらに15分歩いたら破風山山頂であった。
富士山方向の展望が開けていて、富士がさっそうと聳えている。
これを眺めながら食事をすることにした。
お湯を沸かしてコーヒーを入れて、パンとおんぎりを食べた。
太陽は中天にあって、富士山がまぶしい。
中藤山に着いて、そこに立っている指導標をみると、大石峠まで70分と書いてある。
たしかガイドブックでは40分と書いてあったはずなのに、なんでこんなに時間が違うのかと驚いてしまった。
でも、結局はガイドブックが正しかったのだが。
単調な歩きになってきた。
雪の道がどこまでも続いている。
行く手の右手の遥か向こうに、真っ白な山並みが見える。
これが南アルプスであった。
右の端が甲斐駒ヶ岳で、瘤のような摩利支天を従えた姿が特徴的だ。
大石峠に着いたのは1423分、真っ正面に富士山が見える。この峠からは下ってしまうので、富士山は見納めになってしまう。最後に記念写真。
大石峠からは、走るようにして下る。
樹林の中のジグザグの道をひたすら下る。40分で林道に出た。
この直前で道を間違えたようで、林道に出たところに登山口の表示がなかった。
林道歩きは20分ほど、バス停に1445分に着いた。ところがバスは20分前に出てしまった後であった。
次のバスはと調べてみると、なんと1710分までないのだ。2時間半も待っていなければいけない。
これではどうしようもないので、歩くことにした。
山の上の稜線を歩いた距離分だけ、下の舗装道路を歩くことになってしまった。
河口湖の湖畔を歩いて、三つ峠入り口に向かう国道に出たのは16時頃。すぐ近くに河口局前というバス停がある。
次のバスは1618分であった。15分ほどの待ち時間である。
バスで三つ峠口に帰ってきて、車に乗り込んでから考えた。
まだ外は明るい。
せっかく御坂まで来たのだから、太宰治の文学碑を見て帰りたい。
太宰治は御坂峠の天下茶屋に逗留していたときがあって、このときことを書いたのが「富嶽八景」という作品である。
この作品はけっこう感動した小説で、最初読んだのは高校の現代国語の教科書でだった。
太宰は御坂峠からの富士の眺めを「あまりにもお誂え向き、舞台の書き割りだ」と酷評していているのだ。
その太宰がさんざんにバカにした(旧)御坂峠からの富士を見てみたい。
車を走らすことにした。
ただし、この天下茶屋に向かう道の入り口には看板が出ていて、「凍結スリップ注意」とある。
アイスバーンになってたらどうしようとか思ってしまう。
それでも太宰治の誘惑に勝てずに、行くことにした。
途中確かに恐いところが何個所かあった。
それでもなんとか明るいうちに天下茶屋の前に着くことができた。
着いて驚いた。道の富士山に向かう側にはカメラマンがずらりと三脚を立てて並んでいた。
道の突き当たりには大型バスが停まっている。
このバスでやって来たのか。
まず、太宰治の文学碑を見に行く。
突き当たり左に階段があって、これを登ったところに文学碑が立っていた。ただし、その文学碑の前にはカメラマンが三脚を立てて陣取っていた。
このため文学碑全体を写すことはできなかった。
ここには太宰の有名な「富士には月見草がよく似合う」という言葉が刻まれている。
これも少し腹がたったのだが、拓本をとったらしくて、その墨の跡が残っていた。
こんな無神経なことは止めてほしい。
文学碑の写真を撮り終えて、富士山のほうに振り返ると、赤く染まった空を背景に、すばらしく端正な富士が見えた。これはきれいだった。
みんなが行列して三脚をならべるはずである。
私もこれらのカメラマンの間から写真を撮らせてもらった。
ともかく満足して下山。
でも帰りは凍結した下り道路が待っていた。これは恐かった。


明日は金時山を登るつもりである。ところが、この山は3時間もあれば登って帰って来れるのだ。もったいないので、もう一つ山が登れないか考えた。そうしたらこのあたりを東海自然歩道が通っていることに気がついた。これを歩くことにする。
今日は道の駅に車を停めて寝るつもりである。


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御坂トンネル


雪道になった


御坂茶屋


富士山が見えた


雪道を登っていく


黒岳が見えてきた


黒岳山頂


黒岳山頂から富士山


すずらん峠


破風山から富士山


不逢山


大石峠





麓から見る御坂山塊



御坂峠の天下茶屋


天下茶屋からの富士山


「富士には月見草がよく似合う」の碑


旧御坂峠から
黒岳山頂から


2002/3/8 BY:kudougao




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