BACK 堂ヶ森、二ノ森
2002年8月13日
朝4時、眼が覚めた。
夜中には風が出てきて、ちょっと心配だったがなんとかなった。
テントの外に出ると、白い雲の中であった。
テントを畳んでいると雲が晴れてきて、目の前に岩峰の山が聳えている。
これが石鎚山である。その左にも険しい岩場の山がある。西ノ冠岳というのだそうだ。地図で見ると、登山道はこの山腹を巻いて行くのだ。ほっとした。
山頂を出発できたのは6時、本当は昨日の遅れを取り戻すためにもっと早く出るつもりだったのに、こんな時間になってしまった。
しばらく歩いて行くと水場があった。ラッキー。
昨日の野営でほとんど水を使い果たしていたのだ。地図を見ると、この登山道の下を面河から石鎚に至る道が通っていて、そこに水場のマークがある。この地図に記された水場の上流にあたるようである。
ともかく水が手に入って安心した。私は登山で水は絶対に欠かせないものと思っていて、ザックの2リットルポリタンに水が入っていないと不安でしょうがないのだ。
さて、石鎚山が近づいてくる。登山道から見る山頂はすさまじく急である。
その鋭く切り立った山頂に、そのすべてを占めるようにして小屋が建っている。
面河からの道が合流して、いよいよ石鎚の登りになる。
石鎚には一の鎖、二の鎖などの岩場があるのだが、今回は楽な道を行かせてもらう。一般道は整備されすぎているような、木の階段の道であった。
このあたりから観光客のような人が多くなってくる。子供連れも多い。
そんな中を登って行く。
ようやく山頂に着く。今日はすばらしい天気で、展望が一気に開けた。
私が歩いてきた二の森の縦走路、二の森の奥に堂ヶ森も見える。
眼を転じると、すぐ近くに天狗岳が鋭い岩峰で聳えている。その奥には自動車道が見えて建物が見える。ガイドで確認するとこれが土小屋のようである。ガイドによると石鎚〜土小屋は1時間の行程なのだそうだが、とてもそんな時間では行けそうもない遠い距離に感じた。
山頂の小屋は工事の真っ最中であった。
ともかく山頂の神社にお参りしようとしたら、この社殿も工事をしているのだ。
一応、神社に手を合わせて、天狗岳をめざす。
ところが、天狗岳の登り口には看板が出ていて、危険なので登山禁止とあった。付近にいた登山者の話しを聞いていると、最近滑落事故があったらしいのだ。
しかし、ここまで来て天狗岳に登らなかったら画龍点晴をかくというものである。この看板はみなかったことにして天狗岳をめざすことにした。
まず、鎖でちょっとした岩場を下る。細い岩稜の道になって、左右は断崖絶壁である。
けっこう恐い。途中大きな一枚岩があって、これを通過するのには緊張させられた。
山頂には新しい石の宝塔があるだけで標識はなかった。昔は山頂とかかれた標識があったのだが。
さて急いで引き返す。昨日の遅れを少しでも取り戻したい。
弥山に帰ってきて、もう一度ゆっくり景色を見ていたら、大きなヤカンがあるのに気がついた。冷たい麦茶で無料と書いてある。うれしい。3杯も飲んでしまった。
今、工事の真っ最中で、その工事の関係者が準備したもののようだ。本当に感謝。
石鎚を下る。土小屋に向かう道は、天狗岳の断崖絶壁の下をトラバースして続いているのだ。
二の鎖小屋の前には大きな鳥居があって、ここから振り返る石鎚はすさまじいほどの険しさである。大きな鎖が連なっているのも見える。
この分岐から土小屋への道はほとんど水平である。遊歩道のようなもので、この道を観光客のようなハイカーがたくさんやって来る。土小屋までは車道が通じていて、ここルートだと、わずか2時間で石鎚の山頂に立てるのである。人が多いわけである。
土小屋の直前で国民宿舎に下る道があった。この道を行くことにした。
実は登山地図が欲しいと思っている。山渓のガイドブックの地図はどうも信頼できない。
ほんとうの登山地図でないと、この先心配である。
国民宿舎に売店はあったが、登山地図は売っていなかった。無駄足だった。
ここから車道を行く。少し行くとロータリーのようなところがあって、ここがバス終点の土小屋である。すぐ近くに大きな神社があって、石鎚神社と書かれていた。
ここで瓶ヶ森に向かう登山道を探す。なかなか見つからない。
瓶ヶ森までは車道が通っていて、この道に平行して登山道が続いている。車道を行ったほうがラクなのだが、登山にきているのだから登山道を歩かないわけにはいかない。ミエである。
車道を少しだけ瓶ヶ森方向に進んだところに登山道入り口があった。
ところがこの入り口に立っている指導標がいかにも古くて朽ちている。道も荒れていて、あまりこの道を使う人はいないみたいなのだ。それはそうだろう。車道が瓶ヶ森まで続いているのだから、何も苦労して山道を歩く必要はないのだから。
根性でこの道を行く。
途中で学生の登山グループとすれちがった。それ以外は人に会いうことはなかった。
静かな道である。
しかし、すぐ下にはアスファルトの道が見える。興ざめである。
遅れた時間を取り戻すにはこの車道を通ったほうがいいよナ…などと、つい思ってしまう。けっこう未練がましい。
12時40分、よさこい峠に着いた。ここは車道が分岐するところで、車道の脇には石碑が建っていて、その前に椅子テーブルの休憩施設がある。予定ではここでテントを張るつもりだったのだが、見回してもテントが張れそうな雰囲気ではない。二ノ森でテントを張って正解だったと思った。
この峠には茶店があるのだが、シャッターが下りていた。その横に水道の蛇口があるを見つけた。水は出ないだろうと思いながらも、栓をひねってみると、ちゃんと水が出る。
ここで昼食休憩をとることにした。
昼飯は、昨日の夜につくったアルファ米のご飯をコップに入れて、これに水をかけてお茶漬のようにして食べた。おかずはびんづめの鮭フレーク。これはけっこううまかった。
食事をしていると、大きなザックを背負った人がやってきた。
茶店の蛇口の水は山から引いてきている水で、うまいので有名なのだそうだ。
ここから再び登山道に入る。次に登るのは伊吹山である。
展望が開けて、笹の原が広がるところに山頂の標識が立っていた。
この山頂の横にテントが張られていて、それはさっき、よさこい峠で会った人だった。今日はもうここで泊まるのだそうだ。余裕の山行の人がうらやましい。私も次からはもっとゆとりのあるスケジュールを組もうと、心底思った。
空は次第に曇ってきている。
伊吹山から下ってからは、車道を歩いてしまおうと思ったが、ガイドブックによるとこの先にブナの原生林があると書かれている。そのまま登山道を行くことにした。
期待のブナ原生林はたいしたことなかった。
がっかりして下っていくとすぐに車道に出た。これを横切って林の中を少し行くと再び車道に出て、そこが「しらさ峠」であった。1時50分である。
ここで休憩していたら雨が降り出した。午前中天気がよかったのに、やっぱり今日も雨になってしまった。激しくなってくるので雨具に着替えて、瓶ヶ森を目指す。行く手にはすさまじく急峻な子持権現山が聳えている。山全体が大きな岩のカタマリある。雨雲で山頂が隠れていく。
鋭い岩峰の、こんな山に登れるのかと思ってしまう。
しかし、登山道は子持権現山の右を巻いて稜線に出た。…よかった。
T字路になっていて、左には祠が立っている。その後ろがすぐに岩壁になっていて、そこには鎖が下がっていた。子持権現にはこの鎖を登るらしい。雨の中だし、山頂も雨雲でかすんでいる、登るのは止めることにした。
ここから少し行くと車道に出て、しばらく車道を歩くのである。
10分ほど行くと駐車場があって、その左に瓶ヶ森の登山口がある。
ここで車に乗った人から声をかけられた。中年の夫婦で奥さんが瓶ヶ森の山頂にはどう行くのかという。車で山頂まで行けると思っているのだ。
…バカを言ってはいけない、私はこの瓶ヶ森に登るために、ずうっと歩いてきているのだ。
登山道は遊歩道のようにきっちりと整備されている。少し行くと親子連れに会って、話しを聞くと雨なので引き返して来たのだそうだ。道は間違いないか確認したがこの道でいいという。
どんどん歩いていくがどうもおかしい。道が登りにならないのである。15分ほど歩いて、どうにもおかしいのでガイドを出して確認してみると、この道は瓶ヶ森ヒュッテに向かう道だとわかった。たしかにヒュッテから瓶ヶ森に登る道があるから間違いではないのだが、このコースだと男山の山頂を踏むことができない。
でも、ここまで来て引き返すのも面倒でそのまま進むことにした。
すると、指導標があって、男山と書いてある。鎖場コースとも書いてある。
瓶ヶ森の最高峰は女山なのだが、やっぱり男山にも登っておきたい。
この道を行くことにした。
歩きながら、瓶ヶ森の地形がだいたいわかってきた。この山は大きなカールのような地形になっていて、この形から瓶としたのだろうと思う。稜線がカールの縁で、私は今、カールの底から縁まで登ろうとしているのだ。一番体力を消耗する道である。
稜線の直前に鎖場があった。けっこうきつかった。
これを越えて少し行ったところが男山山頂であった。神社の社があって、祠が3つ並んでいた。
ここから女山(瓶ヶ森山頂)をめざす。
瓶ヶ森の山頂に着いたときは激しい雨で、私の他にはだれもいなかった。さみしい。
自動シャッターで記念写真を撮って、すぐに下った。
どんどん下る。林の中を下っていくのだが、雨はますます激しい。
車道のすぐ横に下りてきた。そこには指導標が立っている。時間はもう5時であった。
雨も強いし、めんどうなのでここでテントを張ることにした。
雨の中の設営だったため、荷物がびしょ濡れになった。
ようやくの思いでテントを張って、荷物を中に入れたら、雨は小降りになった。
チャンスを待つということは大事なことである。
テントの中はほとんど水浸しの状態で、銀シートも濡れているし、エアマットもべっとりと濡れている。シュラフは念入りにビニール袋で梱包しておいたので、あまり濡れていなかった。
すぐに暗くなってきて、ろうそくに火をつけて食事の準備をする。
今日は池田で買った袋ラーメンに餅を2個入れて食べた。
あまりうまくなくて、食べなければいけないんだと自分に言い聞かせながら食べている。
ラジオをつける。毎年、夏山に出かけているのだが、いつもこの時期は甲子園野球である。
7時のニュースの前まで中継をしていて、ニュースで中断され、ニュースが終わると試合は終わっている。
山ではラジオがかかりにくい。高いところにいるのだからどんな局の番組でも入りそうなものなのだが、意外と聞ける局は少ない。ロシアとか朝鮮の放送は異様に元気がいいのだが。
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二ノ森から笹の稜線を行く

西ノ冠岳を巻いて行く

石鎚の鋭い山頂

石鎚山頂には小屋が

面河との分岐

こんな道を行く

石鎚山山頂

石鎚山頂の祠

天狗岳山頂

二ノ鎖小屋前

土小屋

土小屋の登山道入り口

よさこい峠

伊吹山山頂

ブナ林の中を行く

しらさ峠、向こうに子持権現山が見える

伊吹山山頂

子持権現の絶壁の下を行く

子持権現の登り口

鎖場コースの登り口

鎖場

男山山頂

女山(瓶ヶ森)山頂
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