てんぐだけ

標高 2646m

天狗岳には何度か登ったことがあるのだが、私にはどうにも印象の薄い山であった。今回の八ヶ岳全山縦走はこの山を登るために計画したのである。
登ってみると、さすがに200名山という気がした。
天狗岳

 縞枯山山頂へ 八ヶ岳全山縦走計画


ロープウェイ駅の前でテントを張った


坪庭に中を行く


縞枯山荘に着いた


縞枯山山頂

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2003年10月12日

夜、雨の音で眼が覚めた。

今回持ってきたテントはシェルター型の本当に小さなテントで、寝るだけという代物である。テントの中にザックと荷物入れてしまうと、そうした荷物の間で寝ているようなものなのだ。
テント地はゴアテックスで防水性はあるはずなのだが、それでも雨には心配なところがある。3日とも晴れるという予報だったのでこのテントにしたのだが、困ってしまうのだ。さらに困ることがある。ザックカバーを持ってきていない。これも晴れと確信していたからなのだが、困ったことになった。
そんなことを考えていたら眠れなくなってしまった。

朝、5時半に起きた。
雨は止んでいるが、どんよりと曇っている。簡単に食事をして出発。
坪庭の中の遊歩道を行く。
木道なのだが、濡れていて滑りやすい。
すぐに縞枯山荘の前に着いた。けっこう多くの登山者がいて、小屋の前で体操をしている。
ここから10分ほど緩やかに登って行くと雨池峠である。ここで三つ岳からの道と交わる。この縦走路を横切って真っ直ぐに行くと雨池なのだが、右折して縞枯山に向かう。縞枯山は縞枯れ現象という、木々が縞状に枯れる景色を見ることができるので有名なのだ。ところが、雲がかかっていてそれを見ることはできなかった。
縞枯山への道は本当に深い樹林の中の道である。なにかしら原生林の趣があって、これはこれですばらしい。いかにも北八ツを歩いているという感じである。
縞枯山の山頂は思った通り雲の中で、景色はまったく見られなかった。



 茶臼山・中小場山を経て麦草峠へ
茶臼山山頂


中小場山に着いた


大石峠から下ると木道になった


車道が見えてきた


縞枯山からはすぐに下る。
次に向かうのは茶臼山。狭まった稜線を行くと、岩だらけの道になった。岩の重なるピークに着く。ここが縞枯山展望台だと思うのだが、霧でほとんど下は見えなかった。
稜線を南に歩き茶臼山山頂に着く。茶臼山の山頂は樹林の中で展望はえられない。ただし、展望台があるようで、指導標が立っていた。行ってみようかとも思ったが、今日は雲に覆われていてどうしようもないので、展望台は省略した。

茶臼山から少し行くと、樹林から抜け出して岩の平坦地に着く。ここは標高2232mの中小場山山頂であった。ガイドブックによると、ここからは八ヶ岳連峰を360度見渡せる展望地らしいのだが、霧でほとんど何も見えない。今登ってきた茶臼山の影だけが見えた。
中小場山から下って行くと大石峠に着く。指導標には大石峠「旧跡」と書いてある。今は峠ではないのかと思ってしまう。
この先傾斜が緩まると木道になって、少し行くと
茶水池の畔に着いた。でも、池の水は少なくて森に囲まれたきれいな池という感じではなかった。
池からはすぐに先に舗装道路が見えた。これは国道299号線で、茅野からこの麦草峠を越えて佐久に至る幹線道なのだ。麦草峠の標高は2127mだからほとんど山の上といっていい。
車道を横切った先には麦草ヒュッテがあって、たくさんの登山者が休憩していた。

ヒュッテに水場はないかと探してみたが、やっぱりなかった。本当に困ってしまう。昨夜の野営で水はほとんど使いきっていて、今残っているのはペットボトルに半分だけである。
仕方がないのでここでコーラを買って飲んだ。



 丸山〜高見石〜中山
麦草峠旧峠道跡、白駒池の道が分岐する


丸山山頂


高見石山頂


中山山頂


麦草峠から丸山を目指す。峠からの登り口は草原になっていて、花の盛りの頃ならきれいなお花畑なんだろうと思う。その草原の中を行くとすぐに分岐があって、左が白駒池に向かう道である。指導標には旧峠道跡と書かれていた。今は国道が通る峠を麦草峠といしているが、昔はここが峠だったらしい。私は丸山に登るために直進する。
丸山の頂上直下はすさまじく急な登りになった。息を切らしてたどり着いた山頂は樹林に囲まれた展望のきかないところである。山頂にはなにかしら犬小屋のようなものがあって、よくみたら丸山神社という表札があった。三角点もある…と思ったのも間違いで、たんなる境界標石であった。
丸山山頂から左に曲がって、下る。
すぐに小屋の前に着いた。高見石小屋である。
この小屋の裏に大きな岩が累々とするピークがある。これが高見石である。
ここから白駒池が見下ろせるはずなので、ザックをおいてピークをめざす。このあたりは本当に登山者が多くて、子供連れのハイカーが山頂から降りてきたりする。とはいいながら、この登りはけっこうきつい登りである。
大きな岩をいくつも越えて行かなければいけないのだ。
ピークに着いたが、雲の中で展望はえられない。それでもしばらくいたら、雲が少しだけとれて、かすかに白駒池が見えた。これで満足することにした。
小屋の前に戻って、中山をめざす。
小雨の降る中を歩いて行く。
1時間ほど行くと展望が開けて、さっき登ってきた丸山を見渡せるところに出た。指導標には中山展望所と書かれている。これが中山だろうか。
しかし、本当の中山はここから20分ほど登ったところであった。
岩がゴロゴロする山頂である。展望はまったくきかない。晴れていたら硫黄岳とか天狗岳のすばらしい景色が見られるはずなのだが…。



 天狗岳へ
カラ松が紅葉している


中山峠から清里側展望


中山峠から下る


天狗の奥庭を登る


中山峠からの道に合流する


東天狗岳山頂


霧の中を西天狗岳へ


西天狗岳山頂


山頂からどんどん下ると、絶壁の上にでる。登山道の左は垂直に切れ落ちているのだ。
これは旧火口壁である。
ここからは紅葉の下界を眺めることができた。わたしが歩いているところは雲の中なのだが、下は晴れているようだ。
この崖に沿って下って行くと中山峠に着く。

ここから直接、天狗岳を目指してもいいのだが、私は水がないので、その補給のために黒百合ヒュッテに立ち寄ることにした。
峠からは10分ほど下るとヒュッテに着くことができる。
水が欲しくてやってきたのだが、ここの水場もなくなっていた。
わたしが持っている地図に書かれた水場の多くが涸れてしまっている。これって、けっこう大変なことなのではないかと思ってしまう。八ヶ岳で自然破壊が進行しているのではないかと心配になってしまった。

ここで昼食を兼ねて大休止。
天気が良くないので、どうしようかと思ってしまう。
今、12時を少し過ぎた頃である。天気もよくないので、天狗岳往復したら、そのまま渋の湯に下ってしまおうかと考えてしまう。
ところが渋の湯からの最終バスを調べたら、240分なのだそうだ。これでは天狗岳を登ることはできない。
今回の登山の一番の目的は天狗岳を登ることなのだから、これを止めるわけにはいかない。
結局、当初の予定通り南八ヶ岳まで縦走することにした。
ヒュッテの前の急な道を登る。
少し登って振り返ると、ヒュッテはもう雲に隠れてしまっていた。霧で視界がきかないうえに、風が強い。一段登ったところは、岩が累々とするところであった。この岩の重なる稜線を行く。左側は落ち込んでいて、これは晴れていたら池を見ることができるのだ。
このあたりを天狗の奥庭という。
ともかく、登山道は大きな岩が累々と重なる間に続いている。岩にはペンキで丸印が書かれていて、ころをたどって歩いて行く。
巨岩が重なり、そしてその中に這い松が混じっている。箱庭のような感じで、天気さえ良ければすばらしい景色なのだ。この天狗の奥庭を、小雨交じりの強風のなか、岩を越えながら進んでいく。
這い松が多くなってきたあたりで、中山峠から道と合流した。
ここからは天狗岳にむかって本格的に登り始める。
ザレた道を、ジグザグに登って行く。これはけっこうきつい。
さすがに二百名山に選ばれる山で、私の記憶にあったそんな大した山ではないという考えは見事に覆された。
息を切らして登って行く。
ようやく頂上に着いたのは2時であった。
ここが東天狗岳山頂である。今までになんどかこの山頂は踏んでいるのだが、こんなきつい登りがあるということはすっかり忘れていた。
さて、この山頂にザックを置いて、西天狗岳に向かう。こちらには今まで登ったことがない。
東天狗からはすごく急な道を下る。ザレた道で、これをジグザグに下って行く。
10分ほどで鞍部に着いて少しだけ平らな道を行くが、すぐに登りになる。どんどん登りはきつくなって、最後は岩場の登りになった。
これを登りきったところが山頂。
意外と広い山頂で、10人ほどの登山者がいた。山頂標識の横に、小さな石仏がひっそりと置かれてあった。
初めて西天狗の山頂に立ったのだが、残念ながら雲の中である。
しかたがないので早々に引き返すことにした。
東天狗にもどってきて時計を見ると、往復に1時間かかっていた。



 夏沢峠〜硫黄岳〜硫黄岳石室
急な道を下る


白ザレの分岐



根石岳山頂


霧の中に根石山荘、水があった


箕冠山の分岐


硫黄岳に続くケルン


硫黄岳山頂


硫黄岳石室


さて、ここからは何度か通った道である。
まず、急な下りである。
やがて傾斜もなくなって、白いザレた道になる。このあたりからすさまじい強風になった。
真っ白なガスに包まれて、強風をついて、まず根石岳を越える。ここから少し下ると根石山荘がある。
素通りするつもりであったが、水場という表示があった。これは見逃すわけにはいかない。
今、水がほとんどなくなっているのだから。
風は西から吹き付けてくる。これに向かって歩いて行く。
霧に霞むなかから小屋が浮かび上がってくる。
すぐに水場に向かった。水場はトイレの横の炊事場のところにあった。樋が引かれていて、そこをチョロチョロと水が流れている。
ともかくやっとっ巡り合えた水場である。まず飲む。けっこううまい。
樋の前にはこの水に関する説明書が張られていて、湧き水でミネラルいっぱいなのだそうだ。
水量が少なくて時間がかかったが、ポリタンとペットボトルを水でいっぱいにした。これで安心である。
さて、再び強風の中を行く。
この風の強さは、冬の八ヶ岳で経験したものと同じくらいきついものであった。その強い風に小雨が混じっている。
箕冠山の山頂からは直角に左に曲がって、ひたすら下る。
樹林の中に入ってようやく強風から逃れることができた。
林の中の道をどんどん下って行くと、ようやく夏沢峠に着く。ここには道の両側に小屋が建っているのだが、両方とも休業中であった。
夏沢峠から硫黄岳を目指す。樹林を抜けると、再び強風の中である。岩礫の中を道がジグザグに続いている。
風に吹き飛ばされそうになりながら登って行く。これはけっこうつらかった。
時間も4時を過ぎて、心なしか空が暗くなってきたような気がする。
硫黄岳山頂が近づくと、道に沿って大きなケルンが立っている。硫黄岳は山頂が広いので、道を失いやすいのだ。
ようやくの思いで硫黄岳山頂に着いたのは、5時少し前であった。
山頂標識は恐ろしく広いところにぽつんと立っている。その前に5人ほどの登山者がいた。
あまりの強風で途方に暮れているようであった。これからオーレン小屋に下るのだそうだ。
ちょうどよかったので、硫黄の標識の前で写真を撮ってもらった。
ここからは比較的緩やかな道を、目印のケルンに沿って下って行く。
風が強い。冬山の経験では、この先はさらに風が強まるはずである。
どこか適当なところでテントを張ろうと思っていたが、この強風では無理である。
今夜は硫黄岳石室に泊まることにした。
強風と霧の中を30分ほど歩いてようやく石室に着いた。
5時半であった。

山小屋泊まりは本当に久しぶりである。
私が、山小屋を避けていた間に物価は高騰していて、今は素泊まりで5400円もするのだ。ちょっと驚いてしまう。
小屋の受付で手続きをすると、前日はどこに泊まったかと詳しく聞かれる。困ってしまった。私はキャンプ指定地以外の場所でテントを張っていたのだから。
それにしても、今の山小屋の設備はすばらしく改善されている。特に、トイレは完全水洗になっていて、しかもウォッシュレットであった。寝るところも2段ベットになっていて、今日は比較的空いているので、端の場所を確保できた。
自炊で夕食をすませた後で、TVの天気予報をみたら、…よくない。明日は、岩峰の横岳を越え、さらに赤岳から権現岳に向かってキレットを行くのだ。
雨の中、これを縦走するのはかなり厳しいではないか。



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