おいずるがたけ

標高 1841m
貯水池登山口→2:00→山毛欅尾山→2:10→冬瓜平→2:10→岩谷底の頭→40分→笈ヶ岳山頂

笈ヶ岳は山中に1泊しなければいけない。ところが、テントに敷くマットを車に忘れてしまった。
山毛欅尾山からの笈ヶ岳 

BACK 毛勝山


笈ガ岳も登山道のない山だ。

この時期に雪を踏んで登るしかないのだ。
一番不安だったのは踏み跡があるかどうかということだった。
私は雪道で、ルートファイティングしながら登って行く技術を持っていない。
赤いテープなどの目印がちゃんとないと、たちまち遭難だ。

2001年5月5日


貯水池登山口から急な道を登って行く。
笈ガ岳は長い尾根歩きをしなければいけないのだ。
この尾根には道がなくて、夏だと猛烈なヤブコギをしなければいけない。
登山口からまず目指すのは山毛欅尾山。ブナオヤマと読む。
この間の標高差は800mだ。急な道だ。
地図にはこの登山道に「カタクリ群棲地」と書かれている。けっこう楽しみ。
ところが、まだ朝早かったためにカタクリの花はまだ開いていなかった。
撮影は帰りにしよう。
途中から登山道は雪に覆われるようになってきた。そして一部、道が不明確なところもあった。やっぱり、難しい山である。
山毛欅尾山の山頂は雪に覆われて真っ白。ここまでの標準タイムは2時間だが、3時間かかってしまった。
ともかくザックが重い。アイゼン、ピッケル、冬用のシュラフ、テント、そして今回は水をたくさん持ってきてしまった。ポリタンの2リットル、ペットボトルで1リットル、魔法瓶に350ccのお湯。ともかく、この荷物の重さでまいってしまう。
山毛欅尾山山頂からはすばらしい展望が開けていた。
南には真っ白な雪におおわれた白山が聳えている。今日も快晴で、白山は美しかった。
行く手には笈ガ岳が聳えている。山頂付近は岩場になっていて、雪はついていなかった。
そしてこれから歩く登山道の稜線を目で追ってみると、けっこう遠い。稜線はこの山毛欅尾山から大きく落ち込んでいて、そこからまた登り返さなければいけない。
標準タイムでは、この山毛欅尾山から冬瓜平まで2時間10分なのだが、とてもそんな時間では行けそうもない。
覚悟を決めて歩き出そうとして、とんでもないことに気がついた。マットを車に忘れてきた。
雪の上にテントを張るのに、断熱のマットがない。
これでは野営はできないではないか。
悔やんでも悔やみきれない。
ここまで3時間かけて登ってきたが、マットをとりに引き返さなければいけないのか。
もう。笈ガ岳は諦めるか。
いろいろ悩んだが、結局前進することにした。
マットをザックで代用することにしたのだ。
ザックの背中の部分にはウレタンマットが入って、クッションになっている。
これを使うことにしたのだ。今回持ってきたザックは大型のものだ。だから、雨ブタも含めてザックを敷くと、ちょうど肩から尻まではカバーできる。
なんとかなるだろう、だめだったら膝をかかえて寝るしかない。
今回の山は本当に失敗続きだ。アイゼンは壊してしまうし、マットは忘れるし、他に忘れたものはないか、なんて考えていたら、ウィスキーのビンを忘れたことに気がついた。
早くテント場について、酒を飲むことだけ楽しみだったのに。
バカだぁと叫びたくなった。
雪の稜線をアップダウンを繰り返して登っていく。
雪の少ないところでは薮こぎが必要なところもあった。
進むにつれて、笈ヶ岳が近づいてくる。行く手に岩峰の山が見えてくる。これが冬瓜山(かもうりやま)のようだ。
道はこの山には登らずに、その山襞をトラバースするように続く。
林の中に雪原が広がるようになると、ここが冬瓜平。テント場だ。
テントが張られているのが見えないのでどんどん進んだら、大きく下るところに出てしまった。ここが冬瓜平の東端のようだ。
ここでテントを張っているパーティがあったので、その少し離れたところに自分もテントを張った。

テントからは笈ヶ岳がよく見えた。明日はあの山に登るのだ。
問題は、今夜マットなしで雪の上で寝れるかどうかだ。


56

やっぱり寝苦しかった。
なんか寝不足。それでも、ともかく山頂を目指す。
テントの中に荷物はおいて、できるだけ身軽にして5時40分に出発。テント場の右には冬瓜山が聳えている。この山腹をトラバースするように登っていく。
最後は稜線に出るためにすさまじく急な登りが待っていた。だが、あの毛勝山で経験した登りに比べたらたいしたことはないと思ってしまう。
稜線直下で薮を掻き分けて、稜線に出る。ここから少し行くとシリタカ山である。
天気は快晴。雪がまぶしい。
明るい稜線の雪道を行く。けっこう急な登りもあったりしたが、天気は最高で、振り返ると雪に輝く白山も見える。
ほとんど疲れを感じることなく笈ヶ岳山頂に着いた。
山頂から白山を眺める。
ものすごい満足感。
この山は登れないとずうっと思っていたのだ。

ガイドブックには「雪崩や凍結など、積雪状況を見極めた慎重かつ臨機応変なルート選定が求められる」と書いてあり、不安でしかたがなかったのだ。
しかし、今こうして山頂に立って、春の暖かな日を浴びながら白山山系の雪山の景観を一望にしていると、うれしさがこみ上げてくる。
山頂を後にしたのは8時。
白く輝く稜線を下る。岩底谷の頭からの下りはけっこうきつかった。先行していた10人ほどのパーティはロープを使っていた。ガイドブックには雪崩れ注意の表示がある個所だ。毛勝山の急峻な雪渓の下降を経験した私にはまったく苦にならなかった。
快調に下る。

テント場の手前で水を補給した。冬瓜山のほとんど垂直な山壁から水が流れているのを見つけたからだ。昨夜の野営でほとんど水は使い切っていた。雪を溶かして水を作らなければいけないと思っていたのだが、その必要がなくなった。9時、テントに帰ってきた。
軽く食事をして、テントを撤収。出発は9時40分。
登って来た道を引き返す。
ともかく、この山の登山道は薮に覆われていて、そのために今の残雪期しか登れない山になっている。雪がなくなっているところは、薮こぎをしなければいけない。
でも、稜線では踏み跡がしっかりしているので道に迷うことはない。
最後のピークの山毛欅尾山への登りはけっこうきつかった。
ここまで帰ってきた。最後にもう一度笈ヶ岳を振り返る。
白山は霞んでいた。
ここから下り始めると、次第に雪が少なくなっていく。
急な林の中の下りである。
13時15分、途中で道を失った。
しかし、おかげでカタクリの花の大群落のなかに迷い込むことになった。

ピンクのカタクリの花が一面に咲いていた。
すばらしくきれいだった。

迷って得をしたと思った。
貯水池に帰ってきたのは2時半。
登って来るときはあまり気がつかなかったのだが、ここから続く長い石段の下りはけっこうきつかった。

車を走らせて中宮の集落にいたる。
ここには村営の新中宮温泉がある。新しくできた温泉施設で、ここで汗を流した。
あとは小山までの400kmほどの道をひたすら走るだけである。


7:10 これが登山口の石段


7:25 貯水池


10:30 山毛欅尾山からは白山が見えた


10:32 山毛欅尾山から笈ヶ岳を望む


12:10 左:笈ヶ岳、右:冬瓜岳


17:20 テント場から笈ヶ岳を望む


6:30 シリタカ山から笈ヶ岳を見る


7:30 笈ヶ岳山頂、もうすぐだ


7:40 笈ヶ岳山頂にて。後は白山


山頂の標識


山頂から白山を望む


山頂から北の山


登ってきた道


帰りに入浴した新中宮温泉センター








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