のこぎりだけ

標高 2675m
先週、夏休みで8つも山を登ったというのに、今週も出かけた。かねてからの懸案の鋸岳である。この山には私もビビッテいる。
鋸岳   

日本二百名山で登ることができないだろうと思っていた山が5つあった。
そのうちの3つは登山道のない山で、佐武流山、毛勝山、笈ケ岳である。残りの2つは岩稜の山で、妙義山、鋸岳なのだ。
佐武流山は幸運なことに栄村が昨年(2000年)の9月に登山道を切り開いてくれて、おかげで登頂できた。
毛勝山と笈ケ岳は残雪期に登るしかないのだが、ほとんど悲壮な覚悟で今年の
5月の連休に出かけ、なんとか登頂することができた。
さて岩稜の山だが、私には岩壁登攀の技術がない。このため妙義山についてもビビリまくっていたのだが、だめだったら引き返す覚悟で出かけてなんとか登ることができた。
そして最後に残ったのがこの鋸岳なのだ。
もし、この山に登ることができたら二百名山の完登が可能になる。
恐いけど、覚悟を決めて出かけることにした。


2001年824

24日は仕事の忙しい日で、自宅を出発できたのは夜の10時過ぎになってしまった。
一般道を走って本庄まで行き、ここから信越自動車道に入る。小山〜本庄間は70kmほどあって、2時間弱かかる。
高速に入ったのは12時頃であった。
ところが眠くて眠くてしょうがない。交通事故を起こしてしまいそうなほど意識がもうろうとしてくる。しかたがないので本庄のすぐ次のサービスエリアで仮眠した。
30分ほで眠って再び走り出したが、脳がまだ眠っているみたいで、スピードが定まらず、ハンドルもフラフラしている。
仕方がないので、横川のサービスエリアでもう一度仮眠したのだが、眼を覚ましたら2時を過ぎていた。
やばい。


825

今日は5時から歩き始めたいと思っている。
あわてて横川SAをスタートした。佐久インターで降りて、清里に向かう国道に入る。
清里を通過し、国道20号線に出たのは4時をまわったころであった。
国道をしばらく走ると左に入る道があるはずで、これが登山口に通じているのだが、その道が判らなくて変なところへ入りこんでしまった。
もう一度国道に出て、そして武智温泉に通じる道に入った。この道を走って林道に入るが、すぐに道を遮るゲートがあった。
ここから歩き始めるわけだが、
歩き出す前に登山ガイドをよく読んで見て驚いた。
このガイドには歩行時間9時間20分と書いてあったのだが、それは林道終点からの時間で、文章を読むとゲートから林道終点までは8kmあって、これが2時間20分かかると書いてある。
とんでもない。
林道歩きは往復にすると4時間20分かかることになって、この時間を足し込むと総歩行時間は14時間にもなってしまう。
5時に歩き始めても、帰ってくるのは7時ということになる。
ちょっと悩んだ。しかし、ここまで来て引き返すわけにもいかないので登山を強行することにした。林道歩きで時間を短縮するつもりだ。
5時、薄暗い中をともかく出発する。
左には笛吹川の広い川原。しっかりした林道を歩いていく。
40分ほど歩いた頃には空もすっかり明るくなって、行く手に高い山が見えてきた。あれが鋸岳の稜線らしい。
胸が高まってきた。
川にはいくつも砂防ダムがあって、最後が「本谷第4ダム」であった。
これを過ぎると道が少し下りになって、今はすっかり細い流れになってしまった笛吹川を渡る。ここで通行止めの標識。工事用の車もこれより先には入れないようだ。ただ林道は続いている。ブルドーザーが通るのだ。
この沢のところが林道終点だろうと思った。ここで時間は7時であった。
沢を渡って少し行くと、道がブルドーザーで掘り返されて林道も終わった。ここから本当の登山道になる。
後でよく地図を調べてみたら、林道終点は第3ダムのあたりで、今、林道は工事中でどんどん奥に伸びている状況なのだ。だから2時間20分の標準タイムでしか歩けなかったと思ったが、実は40分ほど短縮できていたのである。
登山道を沢に沿って登っていく。
ガイドには飯場跡とあるところに着いた。
ここは川原の幅が広がっていて、いくつかの沢が合流するところだ。道は川原の大きな石を越えて続いていて、少しわかりにくい。
ペンキの表示を拾いながら注意して歩いて行く。
沢はどんどん細くなって行く。
沢から離れて少し登ると、「この先源流」の指導標が立っていた。
ここからはすさまじい急登である。10分ほど登ると倒木があって、そこに矢印が2つ書いてある。左は源流に通じているらしい。
せっかくなので源流を訪ねておくことにした。
笛吹川の源流かと思ったら、これは富士川源流なのだった。
石に覆われた枯れ沢の末端、岩の間から清流が勢いよく流れ出ている。
これが富士川の最初の流れか、と感心しながらこの水を汲んで飲んだ。
うまかった。
ここからさっきの分岐に戻って、急登を続ける。このあたりが横岳峠の直下で、すさまじい登りになっているのだ。
峠に着いたのは8時55分。
ガイドには「草原状の峠で仙丈ケ岳と北岳が眼に飛び込んでくる」と書いていたので、ここからの展望にかなり期待していたのだが、林が展望をさえぎっていた。草原というのは、このあたりがちょっとした平坦地になっていて、それが草地であるというだけのものだった。
それでも木の間越しに、仙丈ケ岳の堂々とした山容を眺めることができた。
そしてその左には鋭い三角形の北岳が見えた。
すごい。ここは確かに南アルプスの一角である。
この峠から次に目指すのは三角点ピークである。
ここからも、とんでもな急登が続いた。林の中の道である。
この稜線の右手はすさまじい断崖絶壁になっていて、それが林の切れたときに見てとれる。
山頂直前で林から飛び出して、ガレ場を登る。仙丈ケ岳がすばらしい。
行く手に鋸岳が見えた。
呆然としてしまった。
槍ケ岳よりも鋭く切り立った岩峰が聳えていた。こんな山に登れというのか。
これは私には無理だ、とんでもない山に来てしまったと悔やんだ。ただ、出かける前にインターネットでこの鋸岳の登山記録を調べたら「登りは意外と簡単だった」というのがあった。山頂の左側には潅木が生えているのも見えるから、もしかしてあの中を通るのなら私にも登れるかもしれない。
それを頼りに進むことにした。

再び樹林の中に入ったが、そこに三角点ピークへの指導標が木に下がっていてた。三角点はこの登山道から少し入ったところにあるので、ともかく三角点を確認しに行くことにした。
5分ほど行くとちょっとした空き地があって、そこに三角点があった。山頂の標識はなかった。
登山道に戻って、急な道を下る。

鋸岳の登りの前に2つ岩峰を越さなければいけない。これが要するに鋸のようなギザギザを作っているのだ。
これが大変だった。恐い。
足場の岩は本当にもろくて崩れやすい。
実は本峰の登頂よりも、この岩峰を越えるほうが大変だったのだ。
沢を登って来る登山道が鋸岳の登り口で合流する。これが角兵衛沢の頭である。そこでこの沢を登ってきた人が1人いた。私も当初はこの道を登ろうと思っていたのだが。
本峰を登り始める。
確かにあまり苦労せずに山頂に着くことができた。
意外とあっけなくて、もう山頂かという感じであった。
でも、山頂に着いたときは本当にうれしかった。
やったあという感じである。
冒頭に書いた通り、私はこの鋸岳に登ることはできないだろうと思っていたのだ。
大感動である。時間は12時少し前であった。
山頂は霧の中で展望はきかなかった。
この山頂から甲斐駒ヶ岳を見たかったのだが残念である。
山頂で休んでいると、甲斐駒から縦走してくる人の声が聞こえてきた。
10分ほどしたらおばさん2人が登ってきた。え、この人たちでも甲斐駒からの縦走ができるのかと思ってしまった。でも、人は見かけによらないから、相当岩壁登攀をこなしてきた人達なのかもしれない。たぶんそうだろう。
帰りの道も長いので、早々に山頂から引き返した。
帰りでも思ったのだが、本峰の登りよりもやはりその前の岩峰を越えるのが遥かに大変だと思った。
振り返ると霧が晴れて、鋸岳がすばらしい迫力で聳えているのが見えた。
なんかこのまま帰るのがもったいないような充実した山行であった。
登って来るときに感じた急登は下りではさらに急に感じる。
木に捕まったりしながら、慎重に下らなければいけない。
下りで時間を短縮しようと思ったのだが、意外と時間がかかる。
しかし、林道に出たのは345分。
急ぎ足で林道を歩いて、ゲート前の車のところに着いたのは5時少し前であった。明るいうちに帰れた。
でも
疲れた。

国道に出るために車を走らせていくと、武智温泉の前を通る。ガイドブックには600円で入浴できると書いてあるので、温泉に入りたくなった。お願いしてみたら、時間が5時半にもなっているので、本当は宿泊者以外の入浴はだめらしいのだが、なんとか了解をもらった。
風呂に入って、ようやく今日の12時間に及ぶ山行の汗を流すことができた。
ため息が出た。

風呂から上がって、国道に出て、諏訪西インターから高速道路に入った。
明日は池口岳に登るつもりだ。



NEXT 池口岳

5:06長い林道歩きが始まる


5:51行く手に見えるのが鋸に続く山並み


6:58林道終点


飯場跡


8:06富士川水源の標識


これが富士川の源流


8:55ここが横岳峠。やっと稜線に出た


横岳峠から見る北岳


横岳峠から仙丈ケ岳


10:41鋸岳が見えた


このピークに登れというのか…


10:54三角点ピークの三角点


11:49山頂直下


11:53鋸岳山頂


山頂から三角点ピーク


山頂から下る


14:09横岳峠に帰ってきた


林道を歩いて行くと向こうに八ヶ岳


鋸岳を振り返る







      

横岳峠からの北岳


仙丈ケ岳と南アルプス林道

仙丈ケ岳




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