1991年4月に、仙台から北海道の釧路に転勤になった。この釧路での3年間は忘れることのできない日々である。

今、こうして北海道で登った山の記録を整理してみると、転勤した月の4月だけはじっとしていたものの、5月から気が狂ったように山登りを開始している。
それまでの仕事が営業第一線の管理職だったのだが、この釧路から事務管理の仕事になった。営業管理というのは休みも平日も関係がない世界で、休みだからといってゆっくり登山なんかできる環境ではなかったのだ。
これからは休みが自由に使えるというわけである。おまけに単身赴任で、時間は有り余るほどある。
登山記録をみると、ほとんど毎週山に登っている。これでは、北海道には仕事で行ったのか、山を登りにいったのかわからない。


この北海道にいた期間に、今の登山スタイルが確立された。つまり、車を使って遠出して、土日の2日間で2つ以上の山を登るというスタイルである。また、よもや登れると思っていなかった北海道の山を登ることができたために、日本百名山を全部登ってみようかという気にもなった。
最初の年で北海道にある百名山9つをすべて登り、そして2年目で200名山の10座を登り終えた。

北海道には、本州とは違う一種独特のムードがあると思う。
本州はなんだかんだ言っても、人が必ず自然と関わっている。大げさな言い方をすると、弥生時代から近世に至るまで、日本おける文化とは稲作文化そのものであった。あらゆる土地を農耕の対象として開墾し続けてきた。その痕跡は、本州であるならばほとんどどこにでも見られる。だから本州においては人の手が加えられない土地はないといっていい。
山も同じで、平安時代、役の行者から始まる山岳修験道は日本のあらゆる山を開いていった。本州の山は長い歴史の中で、人が多く関わってきたのだ。初登頂と思われた剣岳の山頂に、杓杖や鉄剣が散らばっていたというのはその一例だと思う。
それを考えると、本当に原始の自然が残されているのは北海道だけだとさえ思ってしまう。
たとえば、日高の山には登山道がない。沢を遡るしかないのだ。
私が初めて沢登りを経験したのは、日高の山を登ることによってであった。百名山の幌尻岳登山では沢を何度も徒渉しなければいけなかった。沢を溯る以外に道がないというのは本当に驚きであった。
このときは徒渉のためにズック靴を持って行ったのだが、みごとに転倒しずぶ濡れになってしまった。このときビデオも水に浸かってしまって、幌尻岳山頂の記録を残すことができなくなってしまった。

沢登りで最も印象に残っているのは、クワウンナイ沢を遡ってトムラウシに登ったことである。
日本一美しいと絶賛されたクワンナイ沢は本当にすばらしかった。
数キロにわたって続く滑滝をさかのぼっていく山旅は、決して忘れることのできないものである。
また、熊の恐怖を感じながらすごした、カムイエクウチカウシ岳カールでの野営とか、大雪山の本州では考えられない規模のお花畑とか、数え上げたらきりがない。

もう一つ、北海道で忘れられないのは「釧路ハイキングクラブ(KHC)」のメンバーと知り合えたことである。それまで私は会に所属したことはなくて、ほとんど一人で山を登っていた。
KHCの仲間と、ワイワイいいながら山に登って、山頂ではビールをあけて、下山してからは必ず温泉に入って帰る。考えてみたら、こんな「遊び」感覚の山はやったことがなかったと思う。登山というのは楽しいものなのだということを知った。
このKHCの定例山行で忘れられないのは、10周年記念で行った雄阿寒岳の登山である。
それまで雄阿寒岳の山頂にはちゃんとした山名を書いた標識がなかった。あったのだが、少しみすぼらしいものであった。そこで会としてそれを山頂に立てようということになったのだ。みんなで分担して材料を運び上げて、山頂に標識を建てた。

青森に転勤したあとだったが、NHKの「日本百名山」というテレビ番組で、KHCのメンバーと建てた悪阿寒岳山頂の標識が映ったときは、懐かしかった。そして、自分もあれを運び上げた1人なんだと思うと、なにかしら誇らしい気持ちがした。

ともかく、北海道の山の思い出は尽きることがない。今でも、北海道ならもう一度赴任したいものだと思っている。



 


1991/5/12

雄阿寒岳

阿寒湖畔から登った

1991/5/19

雌阿寒岳

雌阿寒温泉から登る

1991/5/25

剣山

十勝岳に登る途中に寄った

1991/5/26

美瑛富士

望岳台から雪の稜線を縦走した。

1991/5/26

美瑛岳

1991/5/26

十勝岳

1991/6/8

斜里岳

清岳荘から熊見峠経由

1991/7/13

黒岳

層雲峡からロープウェイで登って、黒岳、旭岳に縦走。

1991/7/14

北鎮岳

1991/7/14

旭岳

1991/7/20

幌尻岳

初めて沢登りを経験

1991/8/4

羅臼岳

あこがれの知床へ

1991/8/11

トムラウシ

滑滝のクワウンナイ沢からトムラウシへ。そして大雪山に縦走した。

1991/8/12

化雲岳

1991/8/12

五色岳

1991/8/12

忠別岳

1991/8/13

白雲岳

1991/8/13

北海岳

1991/8/13

間宮岳

1991/8/14

後志羊蹄山

大雪山の帰りに寄った。

1991/9/14

利尻岳

釧路からは車で遠かった。

1991/9/16

天塩岳

利尻岳の帰りに寄った。

1991/10/5

夕張岳

芦別岳の前に寄った。

1991/10/6

芦別岳

ここで足にけがをした。全治3ヶ月

1992/5

ニペソツ

春になって一番に登った。雪山だった

1992/6/20

ユニ石狩岳

たった一人で音更山頂で野営。星がきれいだった。

1992/6/21

音更山

1992/6/21

石狩岳

1992/7/12

ペテガリ岳

長い長い尾根歩きだった

1992/8/1

芽室岳

1992/9/13

摩周岳

美しい摩周湖を半周して登る。

1992/9/15

阿寒富士

雌阿寒岳に登ってから登頂。

1992/9/19

カムイエクウチカウシ岳

沢登りから紅葉。山頂は雪だった。

1992/9/23

赤岳

大雪山の一角。帰りに西クマネシリに。

1日に2つ登った。

1992/9/23

西クマネシリ岳

1992/9/27

駒ケ岳

釧路から函館までは遠い。

1992/10/10

樽前岳

支笏湖湖畔の山。霧で視界ゼロ。

1992/10/11

暑寒別岳

雨龍沼湿原がすばらしい。

1992/10/11

南暑寒別岳

1992/11/3

楽古岳

冬山だった

1992/12/6

アポイ岳

花がきれいな山なのだが…

1993/6/26

ウェンシリ岳

1993/7/17

ニセイカウシュッペ岳

1993/7/17

三段山

富良野岳へ縦走する稜線にある山々

1993/7/18

上ホロカメットク山

1993/7/18

三峰山

1993/7/18

富良野岳

1993/7/25

伏美岳

1993/7/25

ピパイロ岳

1993/8/8

チロロ岳

1993/8/29

オプタテシケ岳

1993/9/12

雄阿寒岳(記念山行)

1993/9/15

神威岳

1993/9/23

コイカクシュサツナイ岳

1993/9/25

愛別岳

1993/10/16

標津岳

1993/10/17

武佐岳

1993/11/13

ペケレベツ岳

日勝峠から登る山だった

KHC

定例山行

硫黄山

知床半島にある山

硫黄山

川湯温泉の近くにある

藻琴山

冬に登った

ウペペサンケ山

白雲山

然別湖湖畔から登る

天望山

武華岳

十勝幌尻岳





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