ひうちがだけ

標高 2346m

尾瀬といったらやっぱり水芭蕉で、これが見たくて出かけたのだが、尾瀬ヶ原はただただ一面の雪野原であった。

早朝の燧ヶ岳

1984年5月19日

尾瀬に行こうと思った。
尾瀬といったら水芭蕉で、夏の思い出という有名な歌がある。

夏がくれば思い出す はるかな尾瀬 遠い空
霧のなかに うかびくる やさしい影 野の小道
水芭蕉の花が 咲いている 夢見て咲いている 水のほとり
しゃくなげ色に たそがれる
はるかな尾瀬 遠い空


なんかこの歌にあこがれて出かけるようなものであった。
東京から尾瀬は近い。
上野から上越線に乗って沼田まで行く。
5月の連休には、沼田から尾瀬に行く夜行バスが接続していた。
大清水に着いた時はまだ真っ暗だった。
バスに乗ってきたみんなは、てんでにヘッドライトとか懐中電灯を点けて歩き出す。
私には初めての道なのでこの人たちの後をついていった。
すぐに雪道になった。
三平峠に着く頃にようやく空が白み始めた。
峠から尾瀬沼に向かって下っていく。
林の間から雪に覆われた真っ白な山が見えた。それが霧の上に浮かんでいる。これが燧ケ岳であった。
すぐに尾瀬沼のほとりに出た。
尾瀬沼はまだ氷雪に閉ざされていた。その雪の上にうっすらと朝霧がかかっている、そして朝霧の上に燧ケ岳が聳えていた。燧ケ岳は朝焼けで薄いピンクに染まっていた。
すばらしく美しかった。
来て良かったと思った。
この湖畔のところが三平下で、ここから沼の縁に沿って歩いていく。
完全に雪の中の道であった。長蔵小屋に着いてちょっと休憩。
しかし…。
尾瀬は完全に雪に閉ざされていた。
私の目的である水芭蕉の花が見れるのかどうか心配になってきた。
長蔵小屋から再び沼に沿って歩き、沼尻に向かう。
この間の湖畔は入り組んでいて、道がくねくねと曲がる。
面倒なので沼の上を歩いてショートカットした。
沼は厚い氷に覆われていて、上を歩いても割れることはないだろうと思ったのだ。でも、いまから考えるとけっこう危なかったのではないかと思う。
沼尻から燧ケ岳に登る。
この道をナデツ窪という。すさまじく急な道であった。
今回、アイゼンは持ってきていなかった。念のためにピッケルだけは持ってきていた。これが役に立った。
燧ケ岳の山頂は二つあるということを知らなかった。
まず登りついたのが俎ーである。
ここからすぐ隣に同じようなピークが見えた。それが最高峰の柴安ーである。
俎ー山頂からは尾瀬沼が見えた。だけどそれは湖水ではなくて、白い雪原であった。尾瀬沼はなぜかひどく小さいものに見えた。
いったん急な斜面を下る。鞍部についてこれまた急な雪の壁を登る。私はピッケルがあったので本当に助かった。他の登っている人は、手で雪をつかんで登っていた。踏み跡にそって手の跡がたくさんついていた。
柴安ー山頂。岩が重なる山頂であった。岩にペンキで「柴安ー2360m」と書かれていた。
最近の登山ガイドを読むと柴安ーは2356mと書いてあるのだが。
道は登ってきた道を引き返した。
ナデツ窪の下りはすさまじく急で、下を見ると本当に恐い。よくこんな壁のような道を登ってきたものだと思ってしまった。
沼尻からは少し登があって、峠のようなところを越えると下田代十字路に着く。
ここから尾瀬ガ原が広がっている。
日本を代表する湿原で、夏はたくさんの高山植物の花が咲き乱れる。その美しい花々の間を至仏山に向かって伸びる木道。
早春には水芭蕉の群落。山上の楽園だ。
大いに期待していたのだが、目の前に広がっているのは、ただただ白い雪原であった。
水芭蕉なんてどこにもなかった。


雪野原をひたすら歩いた。
雪の中に木道が続いている。それは所々で雪の下に隠れる。
竜宮小屋から牛首を通って、山の鼻に着いたのは4時頃であった。
ここには小屋があるのだが、今回はあえてテントを張ることにした。雪の上でテントを張ったことはない。今回持ってきたのはシェルター型の夏用テントで、シュラフも夏用のものだ。耐寒訓練も兼ねて野営しようと思ったのだ。
さすがにテントを張っているのは私だけであった。

5月20日

この日は至仏山に登って鳩待峠に下ろうと思っていた。
今回、このページをまとめるに当たって写真とか登山記録を読み返したのだが、どう調べても山頂の写真が残っていなくて、おまけに山頂の記憶がない。
ずうっと至仏山には登頂したと思い込んでいたのだが、自信がなくなってきた。
ただ、雪の上の踏み跡をたどりながら鳩待峠まで行ったことは確かである。
樹林の中の道で、踏み跡もけっこう錯綜していた。時々道を失ったりした。それでも稜線の道なのでなんとか鳩待峠にたどり着けた。

次に私が尾瀬を訪れたのは2000年の秋であった。
花のきれいな時に訪れたいと思いながらも、なぜか別の季節になってしまう。
この時は草紅葉の真っ盛りで、尾瀬が原は黄金色におおわれていた。
天気もよくて、燧ケ岳、至仏山がすばらしくきれいであった。
今年こそは花が一番きれいなときに行こうと決心している。
あわせて至仏山の山頂を踏むということはもちろんである。

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2010年8月御池からの登山記録

三平峠から燧ヶ岳が見えた


朝霧に浮かぶ燧ヶ岳


燧ヶ岳の俎ー山頂


山頂から尾瀬沼


燧ヶ岳の柴安ー。2360m、こっちが高い


山頂から見る山々


尾瀬ヶ原はただひたすら雪野原。
水芭蕉なんてどこにあるんだ?







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BY:kudougao 2001/7/1





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