BACK 槍ヶ岳
2001年9月23日
寒かった夜が明けた。
今日も快晴である。
槍ヶ岳山頂でご来光を見ようと思ったが、めんどうになってやめた。
朝はパックのご飯に熱湯を入れて、お粥のようにして食べた。ご飯のパックが使えないので、行動食を節約しなければいけない。けっこう情けない。
テントをたたんで出発したのは6時半であった。
まず大喰岳に登る。30分ほどで山頂に着くが、登山道は山頂の少し下を通るため、もう少しで山頂を見逃すところだった。
ここから見る槍ケ岳もすばらしい。堂々とした槍の穂先が目の前に聳えている。
西には朝日を浴びた笠ヶ岳がすてきだ。
一旦下って登り返すと中岳。ここから行く手の穂高が望めるようになってくる。
すごい岩峰群だ。あそこまで本当に行けるのかと思ってしまう。
中岳からは急な道を下る。下には平らなところが見え、これは季節が早かったら雪田になっているところだ。水場にもなっているはずなのだが、今は雪など一欠けらも見えない。
水の補給はできなかった。
実は水がない。槍ケ岳山荘で買うべきだったのだが、ここで水が補給できると思って買わなかったのだ。
ここから緩やかに登って、天狗原の分岐を通り、南岳山頂に着く。
ここからは真っ正面に穂高の急峻な岩峰が見える。
すごい景色である。自分が歩かなければいけない道を目で追ってみる。あんな絶壁を登るのか、道なんかないのではないかと思ってしまう。
実は私はこの道を一度通ったことがある。
このときは職場の仲間と二人で歩いた。すごい道だったというのは覚えているのだが細かなところは忘れていた。
また、このときは天気は曇りで、白い霧の中をひたすら歩いた。
今、目の前に聳える穂高には雲一つかっていなくて、自分がたどるであろう険しい道がくっきりと見える。
北穂はまるで垂直な絶壁のうえにあるようだ。まるで西洋の中世の城のようで、難攻不落の絶壁である。
南岳の山頂でただ呆然として、穂高を眺めていた。
ともかく行くしかない。すぐ目の下には南岳小屋が建っている。
小屋まで下って軽く食事をした。「腹が減っては戦はできぬ」という心境だ。
南岳小屋から少しだけ登り、ここから一気に絶壁を下る。
これがすごかった。岩場を下るのはなんとかなるのだが、崩れやすいガラ場が恐かった。足元が滑るのだ。もう膝がガクガクしてくる。
梯子を二つ下って、ようやく大キレットの底についた。
今、下ってきた道を振り返る。すごい絶壁だ。よくこんなところを下ってきたものだと思ってしまう。
|
|
縦走路から槍ヶ岳を振り返る
大喰岳山頂
中岳山頂
天狗原への下降路の分岐
南岳
南岳山頂 |