日本アルプス全山縦走 
きたほたかだけ

標高 3106m
槍岳山荘→2:20→南岳小屋→2:00→A沢のコル1:30→北穂小屋→1:20→涸沢のコル→1:10→穂高岳山荘

槍から北穂への縦走。すさまじいばかりの岩稜の道である。しかし、さらにすごかったのは北穂から涸沢岳への道だった。
北穂高岳

 槍岳山荘から大キレットへ 穂高の想い出

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2001年923

寒かった夜が明けた。
今日も快晴である。
槍ヶ岳山頂でご来光を見ようと思ったが、めんどうになってやめた。
朝はパックのご飯に熱湯を入れて、お粥のようにして食べた。ご飯のパックが使えないので、行動食を節約しなければいけない。けっこう情けない。
テントをたたんで出発したのは6時半であった。
まず大喰岳に登る。30分ほどで山頂に着くが、登山道は山頂の少し下を通るため、もう少しで山頂を見逃すところだった。
ここから見る槍ケ岳もすばらしい。堂々とした槍の穂先が目の前に聳えている。
西には朝日を浴びた笠ヶ岳がすてきだ。
一旦下って登り返すと中岳。ここから行く手の穂高が望めるようになってくる。
すごい岩峰群だ。あそこまで本当に行けるのかと思ってしまう。
中岳からは急な道を下る。下には平らなところが見え、これは季節が早かったら雪田になっているところだ。水場にもなっているはずなのだが、今は雪など一欠けらも見えない。
水の補給はできなかった。
実は水がない。槍ケ岳山荘で買うべきだったのだが、ここで水が補給できると思って買わなかったのだ。
ここから緩やかに登って、天狗原の分岐を通り、南岳山頂に着く。
ここからは真っ正面に穂高の急峻な岩峰が見える。
すごい景色である。自分が歩かなければいけない道を目で追ってみる。あんな絶壁を登るのか、道なんかないのではないかと思ってしまう。
実は私はこの道を一度通ったことがある。
このときは職場の仲間と二人で歩いた。すごい道だったというのは覚えているのだが細かなところは忘れていた。
また、このときは天気は曇りで、白い霧の中をひたすら歩いた。

今、目の前に聳える穂高には雲一つかっていなくて、自分がたどるであろう険しい道がくっきりと見える。
北穂はまるで垂直な絶壁のうえにあるようだ。まるで西洋の中世の城のようで、難攻不落の絶壁である。
南岳の山頂でただ呆然として、穂高を眺めていた。
ともかく行くしかない。すぐ目の下には南岳小屋が建っている。
小屋まで下って軽く食事をした。「腹が減っては戦はできぬ」という心境だ。
南岳小屋から少しだけ登り、ここから一気に絶壁を下る。
これがすごかった。岩場を下るのはなんとかなるのだが、崩れやすいガラ場が恐かった。足元が滑るのだ。もう膝がガクガクしてくる。
梯子を二つ下って、ようやく大キレットの底についた。
今、下ってきた道を振り返る。すごい絶壁だ。よくこんなところを下ってきたものだと思ってしまう。


縦走路から槍ヶ岳を振り返る


大喰岳山頂


中岳山頂


天狗原への下降路の分岐


南岳


南岳山頂


 大キレットから北穂高岳へ
A沢のコルから


北穂への登りから槍ヶ岳


北穂高岳山頂


ここからはちょっと険しい尾根の道を行き、長谷川ピークという岩峰を越える。
この岩峰もすさまじく険しい。
このピークを下ったところが「A沢のコル」で、ここで休憩。
ここから北穂を見上げる。
すさまじい岩壁が垂直に聳えていて、こんなところを人が歩けるのかと叫びたくなる。
ここからは無我夢中でほとんど記憶にない。
ただ目の前にある岩をひたすら攀じ登るだけであった。
難所といわれる「飛騨泣き」もいつのまにか過ぎてしまった。滝谷を見たときは、本当にこれは鳥も留まらない岩の墓場だと思った。
北穂の直下の急な斜面をジグザグに登る。
北穂小屋の直下まで来たときは本当にほっとした。振り返ると大キレットの向こうに槍ケ岳が聳えている。すばらしい景色だ。
足元にはすさまじい絶壁が落ち込んでいる。
ともかくここまで来た。
うれしかった。
北穂小屋ではカルビ丼を食べた。うまかった。
小屋から少し登ると北穂高岳山頂。
ここらは槍ケ岳がすばらしい。
そして行く手にはふたたび急峻な岩峰群が待ち構えている。
北穂から奥穂へ続く道も大キレットに劣らぬすごい道なのだ。今日は1日中、穂高の岩峰と戦うのである。



 涸沢岳から穂高岳山荘へ
北穂からはすごい岩稜が続く


涸沢岳山頂


涸沢岳山頂から槍ヶ岳



ジャンダルムと西穂へ続く岩稜


笠ヶ岳に夕陽が沈む


北穂から下る。涸沢に下る一般道と同じ道だが、すぐに分岐点に出る。
たくさんの登山者と別れて、涸沢岳に向かう道に入る。まず南峰に登る。
鋭い岩峰である。山頂に標識はなかった。
この北穂高岳南峰からは涸沢岳に続く道を見ることができる。
これはいったい何ナノだと叫びたくなる険しい道が続いている。さっきの大キレットもすごかったが、それに輪をかけたようなすごい道だ。
ゴジラの背鰭のようなギザギザの道が続いている。
ここからもひたすら、目の前の岩を攀じることに専念することになった。
最後の鎖を登ってようやく涸沢岳の山頂の一角に立ったときは、本当にほっとした。
涸沢岳にはたくさんの人が登っていた。
すぐ下に穂高岳山荘が見える。
槍、穂高縦走の核心部は終わった。ただ、ため息が出た。。
小屋に着いたのは3時少し前。
テント場はほとんどいっぱいになっていたが、なんとか空き地を見つけてテントを張った。丸石がゴロゴロしていて、快適な場所とはいえないのだが仕方がない。
テント場の真ん中がヘリポートになっていて、そこは真ん丸のコンクリート平地になっている。小屋で缶ビールを買ってきて、このヘリポートに座り込み、今日の自分の奮闘に一人で乾杯した。

夕日が沈むのを見物した。
笠ヶ岳の向こうに白山があって、その右に太陽が真っ赤になって沈んでいった。
目の前に奥穂が聳えている。その岩肌が夕日で赤く染まった。奥穂の上には白い三日月が見えた。
東には常念岳がみえる。その向こうには左に浅間山、そして長く連なる八ヶ岳連峰、少し離れて南アルプスの連なりが見える。さらにかなたには富士山も見えた。
山々が次第に暮れていく。
すばらしい山の夕暮れである。。


今日はテントの中を工夫した。ともかく昨日は寒くて眠れなかったので、テントの中に敷いていた銀シートをシュラフの上に掛けて寝ることにした。
そして足はザックにつっこんで寝た。おかげで昨日よりは暖かかった。


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2002/4/16 BY:kudougao






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